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  家族・教育

                       

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■教育再生は社会総がかりで

2007.2.17

 

 <目次>

はじめに

教育再生会議が第1次報告を提出

社会総がかりによる教育再生を

呼びかけは全国民に向けられている

緊急対応は開始された

改正教育基本法に基づく改革を推進

7つの提言のうち第7が要

家庭での対応が最も重要

家庭を支える地域社会の取り組みを

企業にも意識変革が求められる

10. 社会全体で子供を守ろう

結びに〜一人ひとりが自覚と役割を持とう

 

 

 

はじめに

 

教育の改革は急務である。いじめ自殺、校内暴力、学力低下、引き篭もり、ニート等、問題は山積している。安倍首相は、著書『美しい国へ』で教育に関する所信を公にし、総理に就任するや教育改革を第一の課題として打ち出した。

その首相の意思を受けて改革のための具体案を検討しているのが、教育再生会議(野依良治座長)である。同会議は、このたび第1次報告を行なった。 その内容を概観し、要点となるところを検討したい。 

 

1. 教育再生会議が第1次報告を提出


 教育再生会議は、昨年(平成18年)10月に発足した。メンバーには、共産党の機関誌『赤旗』の寄稿者、ジェンダーフリーやフェミニズムの信奉者、ゆとり教育導入時の文部事務次官等がおり、議論を収拾できるのか案じられていた。しかし、個々の委員から、ゆとり教育の見直し、いじめへの真剣な取り組み等について真剣な発言がなされ、私は改革への意欲を感じていた。


 去る1月24日、教育再生会議の第5回総会が開催され、第一次報告「社会総がかりで教育再生を〜公教育再生への第一歩〜」が安倍首相に提出された。同会議が発足してわずか3ヶ月で報告が出されたことには、積極的な取り組みの表れだと思う。

 報告は、教育再生のための当面の取り組みとして、「7つの提言」を挙げ、「4つの緊急対応」を要望している。「7つの提言」は、教育内容の改革、教員の質向上、教育システムの改革、「社会総がかり」での全国民的な参画に関し、具体的な提案をするものである。「4つの緊急対応」は、いじめ問題対応、教員免許更新制導入、教育委員会制度の抜本改革、学習指導要領の改訂及び学校の責任体制の確立について、対応を求めている。


 安倍首相は、同会議総会の挨拶で、「教育再生は、私の内閣の最重要課題というだけでなく、現在そして将来の日本にとって最も大切な課題であります。今こそ私達が責任を持って教育再生に取り組まなければなりません。今後、この第1次報告の内容の実現に向けて、内閣をあげて取り組んでいくことをお約束します。また緊急対応が必要な問題については、いじめ問題の対応は、現行法でできること、出席停止制度の活用や通知等の見直しを早急に詰め、また法律の改正に関しては、三法(学校教育法、地方教育行政法、教育職員免許法)の改正に向け今通常国会において法案を提出し、教育再生について『待ったなし』であるという強い意志を示していきたい」と述べた。


 教育改革は、まさに「待ったなし」の課題である。今回出された報告の内容には、現行法ですぐできることと、法律の改正を要することがある。

 「4つの緊急対応」のうち、第一の「暴力など反社会的行動をとる子供に対する毅然たる指導のための法令などでできることの断行と、通知などの見直し」は、本年度中つまり3月末までの実施をめざしている。これは、体罰に関する定義の見直しを含むものだ。

 また、緊急対応の第2から第4は、教育三法のすみやかな改正を求めるものである。安倍首相は、これを受けて、25日にはじまった通常国会で教育三法改正の実現に意欲を明らかにしている。私は、この政府の取り組みを支持するとともに、国民の一人として、自分にできることをやっていきたいと思う。


 教育再生会議は、引き続き教育再生への検討を続け、今年5月に第2次報告、12月には最終報告をまとめるという。是非、実効性のある提案を練り上げて打ち出してほしいと思う。

 教育再生会議の第1次報告の内容は、首相官邸のサイトに全文が掲載されている。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/kettei/070124honbun.pdf

私は、この報告書はこれからの改革に大いに期待の持てる内容だと思う。教育の再生そしてそれを通じた日本の再建を願う人に、この報告書を読み、考え、行動していただきたいと思う。以下、報告書についての私見を述べ、参考に供したい。ページの頭へ

 

 

2.社会総がかりによる教育再生を

 

かつて平成10年6月に、文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会が、「幼児期からの心の教育の在り方について」と題する答申をした。この答申によって、世に「心の教育」の重要性が知られることになった。当時、いじめ、不登校、荒れる学校等が大きな問題になっていた。

しかし、現場の教員の多くは「心の教育」に積極的でなく、日教組が打ち出したジェンダーフリーや人権教育が推進された。この8年半、教育現場では性差の解消や児童の人権が熱心に教えられる中、いじめ自殺や校内暴力等が増え、教育問題は深刻化している。折角の中教審の答申は生かされなかった。

その原因の多くは、政治のリーダーシップの弱さにある。平成14年に首相となった小泉純一郎氏は、「米百俵」の逸話を引いて教育改革に意欲を見せるかと思いきや、経済優先の政策や郵政民営化に熱を上げ、教育問題は置き去りにされた。

今回の教育再生会議の報告は、中教審の答申の二の舞にしてはならない。ここ数年でますます悪化した教育を立て直すには、首相の強いリーダーシップと、全国民参加による取り組みが必要であると思う。


 教育再生会議の第1次報告書は、「社会総がかりで教育再生を」と題されている。表題は、全体の主旨を端的に示すものである。この報告の主旨は、「社会総がかりで教育再生を」訴えることにある。特に公教育の再生のために、全国民的な参画を求めるのが、この報告の眼目である。ところが、この主旨は、報告書の内容に十分表現されているとは言えないと私は思う。おいおい私見を述べていきたい。


 まずこの報告書は、どういう考え方に基づいて作成されたのか。その点から見ていこう。それを述べているのが、「第一次報告に当たっての基本的考え方」という前文である。最初の部分を見てみよう。

 「1. 公教育再生のために」と題されたその部分は、以下のように書いている。


 「私たち教育再生会議は、昨年10月の発足以来、我が国の教育の在り方を根本から見直す作業を進めてきました。

 私たちは、子供たち一人ひとりが充実した学校生活を送り、自ら夢と希望を持ち、未来に向かって多様な可能性を開花させ、充実した人生を送るために必要な力を身に付けて欲しいと思います。そして、学校教育とともに家庭教育や大人社会全体の取組を通じて、我が国が永年培ってきた倫理観や規範意識を子供たちが確実に身に付け、しっかりとした学力と人格を磨き、幅広い人間性と創造性、健やかな心身をもって、21世紀の世界に大きく羽ばたいて欲しいと願っています。

 また、我が国は、魅力と実力を高め、国際社会から尊敬と信頼を得なければなりません。グローバルな知識基盤社会の到来で、情報や知識の社会的価値の重要性が格段に高まる中、イノベーションを生み出す高度な専門人材や国際的に活躍できるリーダーの養成が急務です。近未来の我が国と国際社会の情勢を見据え、世界最高水準の教育を達成しなければなりません。

 しかし、今日の学校教育は、学力低下や未履修問題、いじめや不登校、校内暴力、学級崩壊、指導力不足の教員、「事なかれ主義」とも言われる学校や教育委員会の責任体制のあいまいさ、高等教育の国際競争力の低迷など、極めて深刻な状況も見られます。なかでも、今日の学校は、特に、多くの公立学校が、「しっかりと学力を身に付けて欲しい。いじめや校内暴力のない安心して勉強できる学校であって欲しい」といった保護者の切実な願いにきちんと応えているとは言えず、「公教育の機能不全」と言っても過言ではありません。

 また、教育は保護者の経済力にかかわらず、機会の平等が保証されるべきであり、絶対に教育格差を生み出してはいけません。全ての子供たちが学校で、特に公立学校できちんと良い教育が受けられること。このことをしっかりと実現していかなければなりません。」

 

 長い引用になったが、この文章は、最初に今日の教育がめざすべき目標を述べている。そして、これに対して学校教育の深刻な現状を対比して、公教育が保護者の願いに応えられていない実態を、「公教育の機能不全」という強烈な言葉で言い表している。

 その「機能不全」に陥っている公教育を再生していくに当たり、「社会総がかり」での取り組みを訴えているところに、この報告書の要点がある。この「社会総がかり」という点を中心に、一人の国民として、また子を持つ親として、私見を述べたいと思う。ページの頭へ

 

 

3.呼びかけは全国民に向けられている

 

教育再生会議の報告書は、「公教育の機能不全」を指摘し、「社会総がかり」での取り組みを訴えている。その点に直接触れているのが、2の「「美しい国、日本」を目指して」の一節である。

 「かつて家族や地域社会が持っていた温かい人のつながりが希薄になる中、家族、地域社会、企業、団体、官庁、メディアなどあらゆる層の人々が、自分たちも「教育の当事者」であるという自覚を忘れ、行動を起こさず、非教育的でさえあることが、現在の教育荒廃を招いた大きな原因の一つであると深刻に受け止めています。子供は大人の背中を見ながら育ちます。大人一人ひとりが子供の目標となるよう誠実に努力する必要があります。子供の健全な成育に背を向ける身勝手は許されません。今こそ「社会総がかり」で教育を再生しなければなりません。」
 
 ここでは、現在の教育荒廃を招いた大きな原因の一つに、大人が「自分たちも「教育の当事者」であるという自覚を忘れ、行動を起こさず、非教育的でさえある」ことがあることを指摘し、大人が「誠実に努力する」必要があり、「身勝手」は許されないと言い切っている。そのうえで、「今こそ「社会総がかり」で教育を再生しなければなりません。」と呼びかけている。
 続いて、3の「第一次報告に当たって」では、「公教育再生への第一歩として、義務教育を中心に初等中等教育に関する基礎学力、規範意識などを当面の課題として焦点を絞り、学校はもとより教育委員会、家庭、地域社会、企業等が緊密に連携しながら、文部科学省はじめ政府も一体となって「社会総がかり」で取り組む方策について提言を行うことにしました。」とある。
 このように、この報告書は、「「社会総がかり」で取り組む方策」について提言するものであることを述べている。そして、4の「今後の検討と迅速な実行」では、教育再生のために政府が一丸となって取り組むよう求めるとともに、全国民に対して、以下のように訴えている。
 「保護者の皆様をはじめ、全ての国民の皆様におかれても、教育再生は自らの問題であるとともに、地域、社会、国全体の緊急課題であると捉え、勇気と覚悟を持って一緒に取り組んでいただくことを切望します。」と。

 私は、国民に「教育再生は自らの問題である」と自覚を促し、「地域、社会、国全体の緊急課題である」という認識を求め、「勇気と覚悟を持って」「一緒に」取り組んでもらいたいと望んでいるところを、国民一人一人が受けとめることが大事だと思う。特に「勇気と覚悟を持って」という一句は、今日、家庭や学校や地域で、子どもの問題、教育の問題に取り組むために、心にとどめるべき言葉だと思う。

 さて、報告書は、「教育再生のための当面の取組」として、「7つの提言」と「4つの緊急対応」を挙げている。
 「7つの提言」は、初等中等教育を中心としたものである。高等教育については、第2次報告で提出されるだろう。今回の提言では、7つのうち、1〜3は「教育内容の改革」に関するもの。4は「教員の質の向上」、5〜6は「教育システムの改革」、7は「「社会総がかり」での全国民的な参画」に関するものとなっている。
 「教育内容の改革」に関する提言としては、「1.「ゆとり教育」を見直し、学力を向上する」「2.学校を再生し、安心して学べる規律ある教室にする」「3.すべての子供に規範を教え、社会人としての基本を徹底する」の三つが提示されている。
 「教員の質の向上」に関しては、「4.あらゆる手だてを総動員し、魅力的で尊敬できる先生を育てる」、「教育システムの改革」に関しては、「5.保護者や地域の信頼に真に応える学校にする」「6.教育委員会の在り方そのものを抜本的に問い直す」、「「社会総がかり」での全国民的な参画」にかんしては、「7.「社会総がかり」で子供の教育にあたる」が提示されている。

 7つの提言は、それぞれ具体的な提言内容を列記し、実現を強く訴えている。方針や姿勢、方策・手段等が混在したまま発表されたのは、それだけ事態が切迫しているからだろう。
 報告は、提言を迅速かつ確実に実施することを求める。それだけでなく、「4つの緊急対応」として、以下の対応を強く求めている。

(1)暴力など反社会的行動をとる子供に対する毅然たる指導のための法令等で出来ることの断行と、通知等の見直し(いじめ問題対応)【18年度中】
(2)教育職員免許法の改正(教員免許更新制導入)【平成19年通常国会に提出】
(3)地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正(教育委員会制度の抜本改革)【平成19年通常国会に提出】
(4)学校教育法の改正(学習指導要領の改訂及び学校の責任体制の確立のため)【平成19年通常国会に提出】

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4.緊急対応は開始された

 

まず政治家や官僚が、4つの緊急対応という要望を真剣に受け止め、審議することが最も求められている。

緊急対応の第一であるいじめ問題対応は、平成18年度中すなわち3月末までに実行して、新学期から現場で即行動ができるようにしてほしい、ということである。

この点は、提言の第2「学校を再生し、安心して学べる規律ある教室にする」の(3)に「暴力など反社会的行動を繰り返す子供に対する毅然たる指導、静かに学習できる環境の構築  18年度中に通知等を見直す」とあることを、緊急対応として打ち出したものである。

その(3)には、対応内容として、以下のようにある。

 

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○国において、教員が毅然とした指導ができるよう、学校の指導や懲戒についての昭和20年代の「体罰の範囲等について」など関連する通知等を、18年度中に見直し、周知徹底の上、来年度新学期から各学校で取り組めるようにする。

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 年度変わりの4月から実行しようというのは、非常によい発想である。
 体罰について言うと、関係法規は、学校教育法第11条である。「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、監督庁の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない」とされている。

上記の教育再生会議の要請を受け、文部科学省は、2月5日全国の教育委員会などに通知を出した。動きが早い。

通知は、生徒指導の充実、出席停止の活用、懲戒(罰)・体罰についてである。

体罰の基準については、「児童懲戒権の限界について」と題した昭和23年の法務庁長官回答が国の法的見解となっている。今回の文科省通知は、基本的にこれに準じ、「殴る、ける、長時間立たせるなどの肉体的苦痛を与える行為は体罰であり、許されない」との基本的な考え方を明示している。

その上で、授業中に生徒が騒いで授業が成立しない場合、他の児童生徒の教育権を保障する目的であれば「居残り指導」などは許容される罰としている。また、「教員や他の児童生徒に対する暴力を正当防衛として制止する」「教室の秩序維持のために、室外で別の指導を受けさせる」「授業中に通話した場合に携帯電話を一時的に預かる」ことなども許容される罰として例示した。

出席停止については、いじめの加害者に対して、必要であれば「最後の手段」として認められると明記した。「毅然とした指導」を行うよう求めている。

 

私見を述べると、近年、児童・生徒の指導について、なんでもかんでも体罰だとして、極端に体罰の範囲が拡大されてきた。廊下に立たせても、グランドを走らせても、いけない。厳しい言葉で注意すると、言葉の暴力だという。教師が真剣に指導を行うと、自分の責任は棚に上げて、父母が教師を告発する。校長や教育委員会は、親に注意するのではなく、その教師に懲戒を行う。教師は、下手に厳しく指導すると、教師をやめなければならなくなる。これでは、全人格をかけて子供と向き合う指導は、できないだろう。

こうした事態の背景には、権威を否定する風潮、力の行使を嫌う感情、「児童の人権」という観念、親の身勝手な姿勢等がある。そのため、暴力を振るったり、授業を妨害したりする児童・生徒に対して、教師が毅然とした対応をすることが出来なくなっている。それが「荒れる学校」やいじめの蔓延を許した一要因だと思う。

今回の通知は、こうした傾向を改め、懲罰を例示することによって、現場に毅然とした対応を期待するものだろう。この通知で効果が上がるかどうか、一定期間の後にチェックを行なって、効果が上がらなければ、踏み込んだ検討が必要だろう。プラン・ドゥー・アンド・チェック(計画・実行・点検)は、物事をなすときの鉄則である。

 

私は、体罰イコール暴力イコール絶対反対という硬直した発想は考え直すべきだと思っている。自由や権利の先進国である欧米では、大人と子供の立場をはっきり分け、厳しい教育をしているところは多い。体罰が一切禁止されているかというとそうではない。国や州によって、体罰を教育的な一手段と位置づけ、基準を決めて、一定の範囲で認めている例がある。

そうした事例も参考にして、わが国の伝統と実情にあった形で、体罰を教育に有効に生かすべきだと、私は考える。児童・生徒による教師への暴行・器物損壊などを抑え、学校を崩壊から救うことにもなると、私は考える。そのために英知を集め、法改正を行い、体罰を懲戒の一手段として認め、同時に具体的な制限事項やガイドラインを作っていくのがよいと思う。

自殺者を生むいじめや集団的な暴行にも、教師が毅然とした対応を出来るようにするには、そこまで踏み込んで考える必要があると思う。(註1

 

緊急対応の(2)〜(4)は、教育三法の早期改正を求めるものである。「教員免許更新制導入」「教育委員会制度の抜本改革」「学習指導要領の改訂」及び「学校の責任体制の確立」をめざし、現在会期中の通常国会で法改正をしてもらいたいというわけである。

このように明確に時限を切って、政府や官庁に実行を迫っているところに、この報告の真剣さがある。政治家や官僚は、いじめや校内暴力等の問題に、身を張って取り組もうというこの教育再生会議の真剣な提言・要望に、逃げることなく応えて欲しい。


 首相のリーダーシップに関わることとして、教育三法の改正がある。安倍首相は、今通常国会で教育三法の改正の実現に意欲を示している。
 三法のうち、学校教育法は、教育の目標や学校運営を定めている。同法の改正では、改正教育基本法にあいまいながら盛り込まれた愛国心に関わる規定を、学校教育にどう反映させるかが焦点となる。また、教育再生会議の報告は、副校長や主幹ポストの新設等を提案している。

地方教育行政法(地教行法)は、教育委員会制度を定めている。報告は、教育委員会への外部評価の導入、人口5万人以下の市町村教委の統廃合、教員人事権を都道府県教委から市町村教委への委譲等を提案している。
 教員免許法は、教員免許について定めている。報告は、教員免許の更新制を導入し、講習の修了認定を厳格に行うよう提唱している。指導力が改善しない場合は教壇から排除する考えを盛り込んでいる。


 これら三法の改正点を見ると、教育現場及び地方教育行政における日教組・全教の影響力を除くことが、中心課題であると思う。教育現場における左翼系組合の支配を打ち破るには、校長の権限を発揮する必要がある。副校長や主幹の新設は、校長の指導力を補強するためだろう。

組合の支配は、教育委員会と組合の癒着によって、地方教育行政にも及んでいる。教育委員会への外部評価の導入や人事権の委譲は、教育委員会の本来の機能を回復するものとなるだろう。

教員の中には、教育専門職としてよりも、左翼活動に熱心なものがいる。教員免許の更新制等の導入は、こうした教員の違法な活動を取りしまるうえでも有効だろう。

 
 報告書の具体的な内容には、注目すべきことがいろいろあるが、次項から、私が最も強く感じる点について書きたい。それが、社会総がかりによる教育再生である。
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(1)体罰については以下の拙稿をご参照ください。

 「体罰は教育的な一手段

 

 

5.改正教育基本法に基づく改革を推進

 

 教育再生会議による7つの提言は、多岐にわたって重要な事柄を列挙している。私は、その内容の多くを支持するものである。そのうち、私が特に重要だと考えるのは、7つめの「「社会総がかり」での全国民的な参画」である。
 この報告書は「社会総がかりで教育再生を」と題したものだった。先に見たように、報告書は、「社会総がかり」による教育の再生を呼びかけ、「社会総がかり」で取り組む方策を提言し、保護者や全ての国民が、教育再生を自らの問題であり、また地域、社会、国全体の緊急課題であると捉えて、勇気と覚悟を持って一緒に取り組むことを切望している。単に幼児・児童・生徒の親や教師、教育関係の専門家や政治家・官僚だけでなく、国民みなが教育の再生を考え、全国民の参加で教育改革を行なうことを訴えている。

 その点から見ると、「7つの提言」のうち、最後におかれてはいるが、「「社会総がかり」での全国民的な参画」という提言は、最も重要な提言だとも言えるだろう。そう理解してこそ、この報告書「社会総がかりで教育再生を」の主旨が徹底されると思う。

 そこで、この点を中心に私見を述べたい。


 まず改正教育基本法と社会総がかりによる教育再生の関係を示したい。同法で、社会総がかりによる教育再生の根拠となる条項は、以下の通りである。

 

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◆改正教育基本法


(家庭教育)

第十条 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。

2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。


(幼児期の教育)

第十一条 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。


学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)

第十三条 学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。

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 教育再生会議の報告書は、これらの条項を教育改革に適用しようというものだと理解できる。ページの頭へ

 

 

6.7つの提言のうち第7が要

 

 提言の第7「「社会総がかり」で子供の教育にあたる」では、最初に次のような説明が掲載されている。

 「子供たちは、地域の人と触れ合い、家族とともに生活する中で、社会性が育まれ、学校では学べないことも身に付けていきます。また、子供が学校以外の世界でも人とのつながりを持つことは、様々な悩みや挫折に直面した時に大きな救いともなるものです。教育再生を実現するためには、学校だけの問題ではなく、住民や家族、企業といった地域の関係者全てが当事者意識を持って社会総がかりで、「国の宝」である子供を育てていかなくてはなりません。」

 この文章は、「社会総がかり」に重点を置いているためか、家庭よりも地域の役割を強調した文章になっている。この報告は、公教育の再生を課題にしているからか、親や保護者の責任についての記述が少ない。教育において最も基礎となる家庭教育が、学校や地域における教育に対して相対的な位置づけに置かれているうらみがある。


 この文章は、子供を「国の宝」と言っている。これは、その通りである。子供は単にその親の子であるだけでない。地域全体、国民全体にとっての子供でもある。社会総がかりで、地域みんなの子、国民みんなの子を育てるという意識を持つことが必要である。

 それと同時に、親は、子供を持つ者としての役割の大切さを認識したいものだ。子育ては、自分の子供を自分の子供として育てるだけではなく、この社会の一員、この国の一人の国民を育てるのである。言い換えると、一個の日本人を育てることなのである。またそのことを通じて、人類の一員を育てることにもなるのだ。だからこそ、親は、自分の子をウチの宝であるとともに、「国の宝」でもあると認識して子育てをする志を持ちたいものである。難しい話ではない。世の中で人の役に立てる人間に育てること、日本人としての誇りを持った日本人に育てること。それを目ざすということである。


 報告書は、先ほどの文章のもとに、四つの領域での対応を打ち出している。

(1)家庭の対応 −家庭は教育の原点。保護者が率先し、子供にしっかりしつけをする−

(2)地域社会の対応 −学校を開放し、地域全体で子供を育てる−

(3)企業の対応 −企業も「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」を実現し、教育に参画する−

(4)社会全体の対応 −有害情報から子供を守る−


 以上の四つである。

 この報告書は、最も基礎となる家庭教育が、学校や地域における教育に対して相対的な位置づけに置かれているうらみがあると先に書いたが、報告書で、家庭教育が主題的に書かれるのは、ようやくこの場所である。しかも、項目としては地域の役割を強調した構成のなかに、家庭教育が置かれている。公教育の再生をめざす報告書ゆえ、家庭教育を副次的に扱っているのかもしれないが、親の役割と責任の大きさを考えると、私はバランスを見直すべきだと思う。ページの頭へ

 

 

7.家庭での対応が最も重要

 

教育再生会議は、四つの領域における対応を求めている。第1は、家庭での対応である。前回書いた構図の中ではあるが、以下のように書いている。

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(1) 家庭の対応 −家庭は教育の原点。保護者が率先し、子供にしっかりしつけをする−

「家庭の日」を利用しての多世代交流、食育の推進、子育て支援窓口の整備】


 家庭は教育の原点であり、基本的な生活習慣や感性などの基礎は家庭で培われるものです。家庭の教育力は、子供に対する愛情の上に、保護者がその責任を自覚することから始まります。保護者は教育を学校任せにせず、厳しさと愛情を持って子供としっかり向き合わなければなりません。

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 至極まっとうなことが書かれている。特に保護者は「厳しさと愛情を持って子供としっかり向き合わなければなりません」と書いて、「厳しさと愛情」「しっかり向き合う」という言葉を入れているのがよい。
 次に、報告書では、具体的に6点の対応内容が挙げられる。

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国・教育委員会・企業等をはじめとする全ての関係者が、保護者が家庭教育に責任を持つこと、及び保護者としての責任を果たせる環境づくりが何より重要であるという価値観を社会全体で共有し行動するよう努める。

家族が集う正月、盆、彼岸などにおいて、家族、ふるさとの価値・すばらしさ、生命継承の大切さを考える気運を高める。44都道府県で行われている「家庭の日」なども活用し、多世代交流をすすめる。知恵や人生経験の豊かな高齢者は、特に主役である。

早寝早起き朝ごはん運動の推進、挨拶の励行、食育、睡眠の大切さの普及などを通じて、子供たちの生活習慣の改善に努める。また、家庭学習の習慣をつけるよう各家庭でも努力する。

核家族化により祖父母の子育て経験が世代間で受け継がれにくくなっている状況を踏まえ、教育委員会、自治体、関係機関は、子育て・家庭教育に関する相談・支援窓口の整備など子育て支援を充実する。また、一人親家庭や経済的・時間的に子育てに困難を伴う家庭への支援策を講じる。

乳幼児期の子供の親やこれから親になる人たちが、子育てについて学べる機会を拡充する。

子供の発達と成長、育児環境の在り方などを考えるため、脳科学者、児童精神科医、小児神経科医、小児科医や療育の専門家を含めた、科学的知見を発信する国レベルの学際的な会議を開催し、親が子供の発達と成長などについて理解を得られる機会を提供する。

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 ここでも大切なことが挙げられている。5点目、6点目は、「親学」に関するものである。この報告書では、提言の第三「すべての子供に規範を教え、社会人としての基本を徹底する」に親学という用語が使われている。すなわち、その「(1)社会人として最低限必要な決まりをきちんと教える」の四番目の対応内容に、「教育委員会、自治体及び関係機関は、これから親になる全ての人たちや乳幼児期の子供を持つ保護者に、親として必要な「親学」を学ぶ機会を提供する。」とある。
 また、「教育の再生のための今後の課題」の第4「社会総がかり」での全国民的な参画」には、Aとして「家庭における生活習慣の改善や、乳幼児期の子供の親やこれから親になろうとする人が育児について学ぶ「親学」や親を支援する諸制度の充実などの方策」が挙げられている。

 これは、もっと重視すべきことである。実は今日の「公教育の機能不全」の大きな原因の一つは、親がまともな子育てをできていないことにある。いじめや校内暴力、少女売春、麻薬使用等の問題も、家庭に問題があったり、親の対応が弱かったりする事例が多いようだ。
 顕著なのは、小学校1年生、新入学児童の学級崩壊である。学校で公教育を始める前に、崩壊してしまうクラスがある。しつけができていないからである。1年生どころか、全国の保育園・幼稚園で、3歳児崩壊と呼ばれる状態が起こっている。胎教や乳児教育段階で、非常に重要な問題が生じているのである。公教育以前のところに改革の開始点を置かなければ、目的は達成できない。
 公教育の再生のためには、家庭の再生が不可欠であり、家庭の再生こそが、公教育の再生の要なのである。そのことを、全国の親に、大人に、その一人一人に直接訴えるべきである。

 私は、今後、教育再生会議が第2次報告、最終報告を検討するにおいては、家庭教育の重要性、親の責任と役割の大きさをもっと掘り下げ、報告書に積極的な形で表現するよう強く要望したい。ページの頭へ

 

関連掲示

・拙稿「親学を学ぼう、広めよう

 

 

8.家庭を支える地域社会の取り組みを

 

教育再生会議が対応を求めている第一の領域は家庭だった。第2〜第4は、地域社会、企業、社会全体である。

第ニの領域である地域社会における対応について、教育再生会議の要望を見てみよう。


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(2) 地域社会の対応 −学校を開放し、地域全体で子供を育てる−

【放課後子どもプランの全国展開、地域リーダー(教育コーディネーター)の活用】

 

 子供たちは、健全な生活習慣の中で、よく学び、よく遊んでこそ育つものです。子供のいる人もいない人も地域社会の全ての人たちは、子供たちと積極的にかかわり、学校との連携を深め、地域住民が教育に参画することが必要です。

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 こういう説明のもとに、以下のような具体的な対応策が提示されている。

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○ 「放課後子どもプラン」(注)は、異年齢交流や集団活動により、子供を心豊かにたくましく育てるための「根っこ」となるものであり、学習意欲と学力・体力・創造力の向上に資するところも大である。さらに、地域の生活環境の改善、地域活性化の起爆剤ともなるものである。

 本事業においては、学校のほか自治体、スポーツ団体、ボランティア、地元企業等が連携して、多様なプロジェクト(地域の祭りなどの伝統・文化活動、スポーツ活動、演劇などの芸術活動、自然体験活動など)に取り組む。そうすることで、家庭や学校とは異なる子供たちの「居場所」を確保し、様々な体験を通して、地域社会と交流を深め、対人関係能力の向上を図る。省庁の縦割りを排して現場中心の取組とするため、地域リーダーの協力を得て、実効ある実施体制を設けるなど、各自治体が責任をもって取り組む。

  「放課後子どもプラン」については、7頁参照。

○ このような活動を推進し、新たな地域コミュニティーづくりに成功している自治体等の好事例を紹介し、全国的な国民運動として拡大する契機とする。
○ 地域の教育資源を効果的に活用し、体系的で充実した子供の学習・体験活動につなげていくため、地域の教育活動で活躍しているNPOや企業などの民間主体をコーディネーターとして活用する。

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 どれも実現してもらいたい対応策だと思う。ただし、こうした対応は、今まで何もやっていなくて、まったく新たに始めようというものではない。「大人が変われば、子供も変わる」という標語がある。社団法人青少年育成国民会議によるものである。この団体のもとに、「大人が変われば、子供も変わる」運動が行なわれている。

http://www.nayd.or.jp/

 青少年育成国民会議は、昭和41年(1966)に発足した。今日も活動を続けている。青少年育成国民会議は、次ぎのように言っているーー青少年がのびのびと健やかに成長することは、すべての大人の願いである。それを実現するためには、子どもが育つ第1の場〜家庭、第2の場〜学校、第3の場〜地域社会が手をつなぎ、協力体制をつくりながら、親や大人、子どもや青年も参加する地域ぐるみの取組を進めていくことが必要である、と。

 こうした地域ぐるみの取組を全国に広げようと発足したのが、この団体である。47すべての都道府県に青少年育成都道府県民会議があり、全国の約7割の市町村に市町村民会議が結成されている。内閣府・警察庁・法務省・文部科学省・厚生労働省・NHK・日本民間放送連盟が後援している。


 これだけ多くの省庁やマスメディアがバックアップしているのであれば、国民の間に、周知されていてもおかしくない。しかし、青少年育成国民会議も「大人が変われば、子供も変わる」運動も、その存在を知る人は少ないはずである。それは、それは、行政やメディアの推進が弱いからだろう。また、一方では、地域の子どもたちの教育に参加して、自ら取り組んでいる人は少ないためだと思う。私自身、民間で青少年の教育に関わるようになってから、自分で調べてこの団体・運動を知った。だが、その後もめったにその活動に触れることがない。

 

「大人が変われば、子供も変わる」という標語は、本質を突いている。教育再生会議は、なぜこの標語を生かさないのか。いろいろなプランやプロジェクトを提案するのはいいことだが、もっと一人ひとりの心に訴える呼びかけが必要だと思う。

大人が変わることなくして、子供は変わらない。一個の人間として、各自、自分を省みて、少しでも子供の手本となれるよう努めたい。地域の子供は、地域のみんなで守り育てるという気持ちを持ちたい。身近な子供たちにあいさつするなど気軽に声をかけたり、他人の子でも良いことはほめ、良くないことは注意できるような、「やさしくて恐いおじさん、おばさん」「やさしくて恐いお兄さん、お姉さん」になれるよう目差したい。

一人ひとりがそういう行動を始めてこそ、教育再生会議が要望する方策が現実のものとなるのではないか。ページの頭へ

 

 

9.企業にも意識変革が求められる

 

教育再生会議が対応を求めている第三の領域は、企業である。以下が、企業への要望である。

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(3)企業の対応 −企業も「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」を実現し、教育に参画する−
【学校への課外授業講師の派遣、子供の就業体験等の積極受入れ、休暇制度の改善・充実】

 子供たちに職業観をもってもらい、世の中に対する興味・関心を広げ、さらに未来の健全な消費者として成長してもらうには、企業も教育に対して重要な役割を担っています。また、子供は無意識のうちに、メディアや玩具をはじめとする商品など、様々なものから影響を受け、感化されています。
企業は、自らの社会的責任を果たすためにも、その活動に非教育的側面がないか点検し、行動すること、企業の持つ人材やノウハウを、組織的に系統立てて学校や地域の教育に積極的に活かすこと、さらに従業員が「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」が図れるよう諸制度を見直し、多様な働き方を推進しながら、従業員が育児や学校教育に積極的に参画できる機会を設けることが必要です。
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 戦後のわが国は、経済中心・金銭中心の世の中に変貌した。男たちは、猛烈社員として夜遅くまで、また休日も返上して働いてきた。企業は、子供たちから父親を奪った。女性の社会進出が進み、社会で働く女性が多くなった。フェミニズムと結びついた企業は、子供たちから母親をも奪っている。教育再生会議が「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」を打ち出したのは、画期的な要望である。具体的には、次のような対応を要望している。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー○企業は、多様かつ柔軟な働き方による「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」の実現を目指す。
○企業の経営トップは、子育て世代の育児を支援するために、「ワークライフバランス」を経営上の基本方針の一つとして位置づけ、育児・教育に活用できる有給休暇制度等の諸制度の改善・充実を図る。また、管理職層は、育児や地域の教育イベント参加のための休暇取得などについて許容し合える職場風土をつくる。
○ 企業の経営トップは、教育委員会や学校と連携を図り、率先して教育現場に出向き、その事業や自らの経験を子供たちに語りかけたりすることで、子供たちに社会について教える。
○ 企業は、次世代を担う人材の育成に協力する観点から、以下のような取組を一層推進する。
・教育界との組織的人材交流の推進
(企業からの課外授業講師や非常勤教員の派遣、教員の社会体験研修の受入れ)
・工場・研究所等の見学への協力や、企業の保有する施設(グラウンドや体育館など)の開放
・職場体験、就業体験(インターンシップ)の積極的な受入れ
・大学教育への協力(カリキュラムの開発や研究施設など実践的な場の提供など)
・ものづくりや科学技術の現場の活動について関心を深める機会の提供(技能五輪大会への協力など)
・社会の動きに対応した教員研修への協力(IT リテラシー、インターネット交信のマナー教育)ならびに校長、教頭など管理職を対象としたマネジメント研修への協力
○ 行政、経済団体、マスコミ等が、「ワークライフバランス」や「企業の育児・教育への取組」の成功例を発信することにより、市民の教育への参加を促す。
○ 企業は、採用に当たって、企業が求める人材像を明らかにし、社会の多様な価値観を教育界に伝える。
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 これらの対応策は、「ワークライフバランス」「企業の育児・教育への取組」の対応と、産学連携等が混在していて、もう少し整理が必要だと思う。
 私は、「ワークライフバランス」「企業の育児・教育への取組」は重要だと思う。それは、国の政策から方針を転換する必要がある。政府・企業のあり方と家庭教育とが関係するでは、最大のポイントは、フェミニズムの弊害を是正することにある。
 働く女性の権利を保護するのは良いことだが、急進的なフェミニズムは家庭を解体し、子供たちの健全な成長を阻害するものである。子供が3歳までは、母親が家庭にあって子育てができるような経済的社会的な支援を制度として確立すべきである。
 このことは、少子化対策にも直結した課題である。私見については、下の拙稿をご参照願いたい。
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関連掲示
・拙稿「脱少子化と日本再建は一体の課題」の第5章以下

 

 

10.社会全体で子供を守ろう

 

教育再生会議が対応を求めている第四の領域は、社会全体である。社会全体の対応として、次のような対応を要望している。

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(4)社会全体の対応 −有害情報から子供を守る−
【家庭自身がチェック、フィルタリングの活用、企業等の自主規制の一層の強化】

 テレビ、インターネット、ゲーム、出版物から送り出される不用意な有害情報が子供の心を傷つけて、犯罪を助長させる要因の一つにもなっています。その大きな悪影響を見過ごすことは断じてできません。家庭、メディア、企業、販売業者は、子供を有害情報から守る責任があります。
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 社会全体の対応は、「有害情報から子供を守る」という一点に絞られている。それほどに、テレビ、インターネット、ゲーム、出版物等の情報が、子供たちに深刻な影響を与えているという認識に基づく要望だろう。具体的には、以下のような対応内容を求めている。

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○ 子供が俗悪番組や、性・暴力などの有害情報に接しないよう、各家庭ではテレビの視聴、携帯電話の持たせ方、テレビゲームの遊び方、インターネット利用などについての家庭内のルール作りやフィルタリングの活用などにより、家庭自身で子供が何をしているかチェックする。特に、携帯電話については、フィルタリングを利用することと、親が直接契約の場に立ち会うことを基本とする。
○ 俗悪番組、コミックや成人雑誌などの出版物、ゲームやインターネット上の有害情報が子供に悪影響を与えないよう、特に、メディアやスポンサー企業には、自覚を促す。
 有害情報や俗悪な番組に関して意見を通報する窓口(放送倫理・番組向上機構()など)やフィルタリングの活用を広く周知して積極的活用を図るとともに、有害情報から子供を守るために国民全体としての運動に早急に取り組む。
※「放送倫理・番組向上機構(略称 BPO)」の視聴者応対専用連絡先は、次のとおり。
TEL 03−5212−7333(平日10:00〜12:00、13:00〜17:00)
○ 上記に関係する企業や販売業者等は、子供が接することのできる有害情報を社会に氾濫させている当事者の一人であるとの自覚を持ち、子供の教育に悪影響を及ぼすような企業活動の自粛等、自主規制の一層の強化を行うべきである。
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 今日の情報社会では、セックス、ホラー、殺人、政治家の汚職、官僚の過剰接待など、大人社会のことが、直接、洪水のごとく子供に押し寄せてくる。子供は情報をえり分けることができない。マスコミやスポンサーの企業は、そのことに対して責任を負おうとしない。無責任なまま、いいも悪いもごちゃまぜにして販売・発信している。

 テレビについては、暴力的な場面や露骨な性的描写などが盛り込まれた番組を子どもに視聴させない具体的な手立てを考えなければならない。イギリスやフランス等では、子どもに不適当な番組をあらかじめ画面上警告する事前表示が制度化されている。アメリカでは、親が子どもに不適切と判断する番組を見られないようにするVチップをテレビに内臓することが義務付けられている。VはViolenceのV。Vチップは「暴力遮断回路」とでもいった意味である。
 日本は、これらの諸外国に比べ、番組内容がさらにひどいと、海外の人々から驚かれている。性描写・暴力・猟奇。暴力的・破壊的・扇情的内容。大衆の欲望を煽り、それで儲ける産業が大人も子供も心を蝕んでいる。視聴率追求や利益優先の商業主義の害悪である。テレビの番組を制作する方も、スポンサーとなる方も、自分たちの利益ばかりを考えている。果たして自分たちの子供に見せられるものかどうかを考えてみればよい。こうした経済中心、お金中心の社会が、子供の心を荒廃させ、親も教師も手におえない子供たちを生み出していると私は思う。
 それとともに、わが国では、大人と子供も平等という誤った考えが悪しき事態を助長している。大人の文化と子供の文化の境目、区別がない。大人の社会全体に性の道徳や倫理が乱れて、大人の欲望を満たすためのものが世の中のあらゆるところに溢れ、子供たちはそれに接してしまう。コンビニ、レンタル・ショップ、本屋など、子供が出入りする場所に、有害な漫画やビデオやゲームなどが溢れている。親は子供の目に触れさせない、与えないという毅然とした態度が必要である。

 有害情報を規制しようと自治体が条例を厳しくしても、業界側はなかなか自主規制しようとしない。公共の福祉より個人の権利を優先する考え方や、表現の自由や児童の人権を極端に尊重する考え方も、妨げになっている。この社会を変えてゆかなければ、家庭や学校でいくら親・教師が努力しても間に合わない。国民全体が真剣に考え、決断しなければならない。教育再生会議が社会全体の対応として「有害情報から子供を守る」ことを要望していることは、非常に重要なことだと思う。
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結びに〜一人ひとりが自覚と役割を持とう

 

教育再生会議は、第一次報告を「社会総がかりで教育再生を〜公教育再生への第一歩〜」と題し、提言の第7に「「社会総がかり」で子供の教育にあたる」を掲げている。そこで、本稿では、この報告書の言う「社会総がかり」とはどういうものかを確認し、「社会総がかり」についての具体的な提言内容を、家庭、地域社会、企業、社会全体という順に見てきた。

この報告書は「社会総がかりで教育再生を」と呼びかけ、「「社会総がかり」で子供の教育にあたる」という提言をしている。それゆえ、この提言は報告書の多岐にわたる提案・要望を集約するものとして位置づけられるだろう。同時に、「社会総がかり」で子供の教育にあたることが、教育改革を底から支えることになると思う。


 「「社会総がかり」で子供の教育にあたる」という提言は、次のような文章を揚げていた。

「子供たちは、地域の人と触れ合い、家族とともに生活する中で、社会性が育まれ、学校では学べないことも身に付けていきます。また、子供が学校以外の世界でも人とのつながりを持つことは、様々な悩みや挫折に直面した時に大きな救いともなるものです。教育再生を実現するためには、学校だけの問題ではなく、住民や家族、企業といった地域の関係者全てが当事者意識を持って社会総がかりで、「国の宝」である子供を育てていかなくてはなりません。」

こうした説明文のもとに、報告書は、家庭、地域社会、企業、社会全体という四つの領域での対応を要望している。繰り返しになるが、以下のような対応である。


(1)家庭の対応 −家庭は教育の原点。保護者が率先し、子供にしっかりしつけをする−

(2)地域社会の対応 −学校を開放し、地域全体で子供を育てる−

(3)企業の対応 −企業も「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」を実現し、教育に参画する−

(4)社会全体の対応 −有害情報から子供を守る−


 私は、報告書が提案しているほかの六つの提言は、全国民が上記四つの対応に参加し、自分のできることを実行する時にこそ、大きな効果を生み出すものと思う。再度引くが、提言の全体は、以下の通りである。


1.「ゆとり教育」を見直し、学力を向上

2.学校を再生し、安心して学べる規律ある教室にする

3.すべての子供に規範を教え、社会人としての基本を徹底する

4.あらゆる手だてを総動員し、魅力的で尊敬できる先生を育てる

5.保護者や地域の信頼に真に応える学校にする

6.教育委員会のあり方を抜本的に問い直す


 そして、最後が、

7.「社会総がかり」で子供の教育にあたる

である。


 全国民の参加、まさに「社会総がかり」で、こうした提言を実現したいものだと私は思う。

 安部首相は、教育再生会議の緊急対応の要望を受けて、いじめ問題対応のための通知等の見直しを始めた。また、教育三法の改正を国会に提案する意思も明らかにしている。教育再生会議は、5月に第2次報告、12月に最終報告を行なうという。是非さらなる熱意をもって検討がされ、一層踏み込んだ提案・要望が出されることを期待したい。


 教育の改革は、政府や教育の専門家がやっていればよいというものではない。私が強調するように、公教育の再生のためには、家庭の再生が不可欠であり、家庭の再生こそが、公教育の再生の要である。そして、家庭を中核として、社会全体で取り組み、国民みなが何かできることを実行してこそ、戦後教育の大改革は成し遂げられる。日本の再建のために、私たち一人一人が自覚と役割をもって、この大改革を推し進めたいものである。ページの頭へ

 

関連掲示

・日本の教育を本格的に建て直すためには、教育基本法の再改正が必要だと私は考える。以下の拙稿をご参照願いたい。

 「日本再建のため、教育基本法の再改正を〜ほそかわ私案

 

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