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  日本精神

                       

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説明: 説明: ber117

 

李登輝は「日本精神」の復興を訴えている

2003.2.1

 

<目次>

実現しなかった来日講演

「絶対必要不可欠な精神的指針」

台湾で敬愛される日本人・八田與一

日本精神の三つの特長

武士道は「人類最高の指導理念」

真の日本精神を発揚しよう

 

説明: 説明: ber117

 

1.実現しなかった来日講演

 

台湾前総統の李登輝氏は、慶応大学の学生サークル「経済新人会」から、平成14年11月24日に慶応大学の三田祭で、日本精神についての講演をするよう招聘(しょうへい)されていました。しかし、大学当局が学生たちに対し、開催を断念するよう働きかけたため、学生たちは計画を変更し、都内のホテルで行うよう手配しました。李氏は、これに応じ、学内講演のための訪日ビザの申請を取り下げ、改めてホテルでの講演のためのビザを申請し直そうとしました。ところが外務省は、二度目の申請は受け付けられないとしたため、李氏の講演は実現しませんでした。

李氏は、この講演のために原稿を準備していました。その内容は、日本の若者に、日本精神の素晴らしさを伝え、日本精神を取り戻すよう呼びかけるものでした。こうした内容の講演が、中国政府との関係を意識した大学当局や外務省によって阻まれたことは、まことに残念なことです。

講演草稿は、月刊『正論』の平成15年2月号に掲載されました。その内容を抜粋で紹介し、李氏が訴えようとした日本精神の復興について考えたいと思います。

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2.「絶対必要不可欠な精神的指針」

 

 李登輝氏は、「22歳まで自分は日本人だった」と言っています。それは、彼の祖国・台湾は戦前、日本の領土であったからであり、彼は日本人として教育を受けたからです。李氏は戦前、京都帝国大学に学び、陸軍少尉として日本軍に入隊しました。新渡戸稲造の『武士道』を愛読していた李氏は、戦後、武士道の「公に奉ずる精神」を持って、台湾の発展に尽くし、歴史的な民主化を実現させました。こうした李氏は、自分が日本人から学んだ日本精神を、人類にとって普遍的な価値のあるものとみなしています。

今回、李氏が用意していた講演原稿は、日本人に日本精神の復興を呼びかけるものでした。(原文は旧仮名遣い) 

 「いま、私たちの住む人類社会は未曽有の危機に直面しています」と李氏は説きお越します。「地球規模の大戦や骨肉相食(は)む血みどろの内戦や紛争の20世紀が終わり、平和や繁栄の時代が到来したと安堵したのも束(つか)の間、世界ではますます不穏が続き、2001年の9月11日にニューヨークやワシントンを多発的に襲った未曽有のテロ事件が発生しました。

 まさに、人類社会自体が危機竿頭(かんとう)の大状況に直面しているときだけに、世界有数の経済大国であり、平和主義である『日本及び日本人』に対する国際社会の期待と希望は、ますます大きくなると断言せざるを得ません。数千年にわたり積み重ねてきた『日本文化』の輝かしい歴史と伝統が、60億人の人類全体に対する強力な指導国家としての資質と実力を明確に示しており、世界の人々から篤い尊敬と信頼を集めているからです。

 この指導国家の資質と実力とは何でしょう。これこそは日本人が最も誇りと思うべき古今東西を通じて誤らぬ普遍的価値である日本精神でしょう。人類社会がいま直面している恐るべき危機状態を乗り切っていくために、絶対必要不可欠な精神的指針なのではないでしょうか」

 このように、李登輝氏は、日本精神は「人類社会がいま直面している恐るべき危機状態を乗り切っていくために、絶対必要不可欠な精神的指針」であるというのです。しかし、この日本精神は、現在の日本ではほとんど失われてしまっています。

 そこで、李氏は、次のように続けるのです。

「しかるに、まことに残念なことに1945年以後の日本において、このような代え難い日本精神の特有な指導理念や道徳規範が全否定されました。日本の過去はすべて間違っていたという『自己否定』な行為へと暴走していったのです。

 日本の過去には政治、教育や文化の面で誤った指導が有ったかもしれませんが、また素晴らしい面もたくさんあったと私はいまだに信じて疑わないだけに、こんな完全な『自己否定』傾向がいまだに日本社会の根底部分に渦巻いており、事あるごとに、日本および日本人としての誇りを奪い自信を喪失させずにおかないことに心を痛めるものの一人であります」

 そして、李氏は述べます。「これらが、私をして三田祭講演の招聘状を即座に承諾させた理由でもあります」と。

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3.台湾で敬愛される日本人・八田與一

 

 続く部分で、李登輝氏は、台湾で最も愛される日本人の一人である八田與一(よいち)について紹介します。八田を例にとって、日本精神の普遍的価値を明らかにしていきます。ここでは簡単に紹介することにします。

台湾は、戦前まで日本の領土でした。その台湾に、当時東洋一と言われた巨大ダムを建設して計り知れない利益をもたらし、今も台湾の人々から深く感謝されている日本人が、八田與一です。

八田は土木技師として、台湾中南部に「烏山頭ダム」を完成させました。それにより、不毛の荒れ野だった嘉南平野が潤い、台湾の全農地の6分の1にあたる15万ヘクタールが豊かな農地になったのです。このダムの一角に、台湾で唯一の日本人の銅像である、八田の像が立っています。

八田が構想した灌漑水利工事は、当時の日本国内でも前例がないほど大規模のものでした。ダム建設のために、鉄道が敷かれ、道路が建設され、技術者の家族の住む宿舎や、病院、工場、商店等が建設されました。ダムの建設は多くの困難を伴い、火災事故が起こったり、不況のため人員整理を余儀なくされたり、風土病に襲われたり、問題が次々に起こりました。しかし、八田は、それらを粘り強く克服しつつ、10年の歳月を掛けてこのダムを完成させました。

設計当時、ダムの寿命は50年と見られましたが、70年を経た現在でも、貯水能力は3分の2を維持し、竣工当時と同じように満々と水をたたえています。

大東亜戦争の昭和17年5月5日、新たな灌漑を命じられた八田は、視察のため船でフィリピンに向いました。彼は広島県宇治港から太平洋丸に乗り込み、南を目指しましたが、五島列島の南を航行中、アメリカ潜水艦の魚雷攻撃で撃沈され、八田も海の藻屑となってしまったのです。 享年56歳でした。彼の妻は、日本の敗戦が決まったとき、夫を偲んで台湾の烏山頭ダムの放水に身投げして45歳の生涯を閉じました。

戦後、八田の功績を称えて、台湾の人々は烏山頭ダムに八田夫婦の墓を作りました。そして、八田の命日である5月8日には毎年、八田を祀る祭礼が行なわれているのです。ページの頭へ

 

 

4.日本精神の三つの特長

 

 八田與一という日本人を例にとって、李登輝氏は、日本精神の特長を、三点挙げます。

すなわち、第一に「公に奉ずる」精神です。これこそが「日本および日本人の精神的価値観である」と李氏は述べています。第二に、「公義」すなわち「ソーシャル・ジャスティス」(社会的正義)です。これが日本精神を「国民的支柱」としていると李氏は述べています。第三に、「義を重んじ、まことをもって率先垂範、実践躬行する」ことです。「口先だけじゃなくて実際に行う、真心をもって行う」というところにこそ、日本精神の良さがあると李氏は述べています。

こうして、李氏は、公に奉ずる精神、社会的正義、真心からの実践躬行の三つが、日本精神の特長である、とします。そして、次のように続けます。

 「いまや、人類社会は好むと好まざるとにかかわらず、『グローバライゼーション』の時代に突入しており、こんな大状況のなかで、ますます『私はなにものであるか』というアイデンティティが重要なファクターになっています。この意味において日本精神という道徳体系はますます絶対不可欠な土台になってくると思うのです」

李氏は、こうして、日本精神は、人類社会が直面する危機を乗り切るために、「絶対必要不可欠な精神的指針」であることを、説いているのです。

台湾人である李登輝氏が、ここまで言うことに驚きを感じる人も多いでしょう。そこでもう一人、台湾人で李登輝氏とも親しい金美齢氏(JET日本語学校長)の言葉を引用することにしましょう。

金氏によると、台湾人は戦後、かつての日本時代を懐かしみ、その思い入れのすべてが、「日本精神」という言葉の中に凝縮されているといいます。

「台湾には今でも『日本精神』という言葉が残っている。日本語でも通じる漢字の表記であるが、台湾語で『リップンチェンシン』と言う。(略)台湾における『日本精神』は、勤勉、向学心、滅私奉公、真面目、約束事を守る、時間を守るといった諸々の価値を包括している。それはたとえば『この人は日本精神″で店を経営している』と言われる商店主は、大いに信用できるということなのである」

 「『日本精神』とは偏狭なモラルではない。世界に通じる、人間が真っ当に生きてゆくための基本的なルールであると言っていいだろう。かつての多くの日本人はそれを持っていた。自らの大切な伝統、価値観としてそれを連綿と伝え、さらにはそれを植民地にまで持っていって実践してみせた。台湾はそれを受け入れたのである。50年にわたる植民地時代にそれを自分たちの言葉とし、大切にし、今でも懐かしがっている」

「日本はいい国である。まだまだ間に合う。私はそう思っている。心から日本を信じるーーひとりひとりが国を愛し、支えていかなければ手遅れになるかも知れない。『日本精神』を今こそ再生して、より良い国をめざしてほしいと、私は心から願っている」

この金美齢氏の言葉は、李登輝氏の言わんとするところを、補うものといえるでしょう。(1)

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(1) 以下の拙稿をご参照下さい。

『日本人よ、しっかりしなさい!』〜金美齢

 

 

5.武士道は「人類最高の指導理念」

 

 さて、李登輝氏は、他の機会にも、日本精神について語っています。そこでは、日本精神を、より具体的に「武士道である」と述べ、武士道は「人類最高の指導理念であると言っても過言ではない」と述べています。

 

「日本及び日本人特有の精神は何かと問われれば、私は即座に『大和魂』、あるいは『武士道』であると答えるでしょう。『武士道』は日本人にとっては最高の道徳規範です。しかもそれは日本人にだけでなく、世界にとってもきわめて貴重な財産であると考えているのです。

現在の人類社会では、台湾海峡やパレスチナ、アフガニスタン、イラク、朝鮮半島など、各地において危険な動きが増大しています。更に政治や軍事の面だけではなく、経済の面においても、世界同時不況の予兆が高まっています。このような危機的状況を乗り切っていくためには 、何を精神的指針とすべきかを考える時、私は迷わず日本の『武士道』を挙げたいと思います。『武士道』とは、人類最高の指導理念であると言っても過言ではないのです。

しかし、まことに残念ながら、世界が今最も頼りとするべき日本では、『武士道』も『大和魂』も一九四五年の終戦以降は、ほとんど見向きもされず、足蹴にされている状況にあります。もちろんその背景には日本人の『過去』に対する全面否定、つまり自虐的価値観というものが大きく作用しているのでしょう。『武士道』などと言えば非人間的、反民主的な封建時代の亡霊であるかのように扱われている状況です。しかし日本を苦悩させている学校の荒廃や少年非行、兇悪犯罪の増加、失業率の増大、官僚の腐敗、指導者層の責任回避と転嫁などといった、国家の根幹をも揺るがしかねない今日の由々しき事態は、武士道という道徳規範を国民精神の支柱としていた時代には、決して見られなかったことなのでした。つまりこれらの諸問題は、戦後の自虐的価値観とは決して無関係ではないということなのです。ですから『武士道』の否定は、日本人にとっては大きな打撃と言わざるを得ません。もちろんそれは同時に、世界の人々にとっても大きな損失であると言うこともできるでしょう。

私は台湾人であり、日本人から見れば外国人ですから、日本に対してここまで言うのはどうであろうかという気持ちもありますが、ただ一人の人間として、やはり良いものは良い、悪いものは悪いと言うべきだと考えております。それに私は日本の教育も受けておりますから、日本の良いところはよく知っているつもりです」

 

以上のように、李氏は、日本精神について述べたことを、武士道についてもほぼ同じ主旨で述べているのです。実際、日本精神は武士道によく表われており、武士道は日本精神の精華ということもできます。(1)

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(1)以下をご参照下さい。

「日本の心」→「武士道」の項目

現代に求められる武士道の精神

武士とは、武士道とは

武士道の復活を願う〜新渡戸稲造

 

6.真の日本精神を発揚しよう

 

わが国は古来、敬神崇祖、忠孝一本の国柄です。そこに形成されたのが、親子一体、夫婦一体、国家と国民が一体の日本精神です。日本精神の特徴は、武士道において、皇室への尊崇、主君への忠誠、親や先祖への孝養、家族的団結などとして表れています。そして、勇気、仁愛、礼節、誠実、克己等の徳性が、武士という階級を通じて、見事に開花・向上しました。日本精神は、武士道の発展を通じて、豊かに成長・成熟したのです。

明治維新によって、武士階級は消滅しました。しかし、武士道は、武士という特定の集団の道徳であることを超えて、全国民に通じる普遍的な道徳として、教育され普及しました。そして、武士道は、日本精神の精髄を為すものとして、今日も日本人の精神的

指針たるべきものであり続けているのです。

李登輝氏は、世界的な視野をもって、日本人は、日本精神・武士道を取り戻してほしいと訴えているのです。そして、日本は、人類社会の「指導国家としての資質と実力」を持つ国であり、日本人は日本精神を、今日の危機を乗り越える「精神的指針」として、人類に示して欲しいと願っているのです。

私たち日本人は、こうした元日本人の期待に応え、真の日本精神を学び、発揮し、世界の平和と持続可能な成長に貢献できるよう、奮起しようではありませんか。(1)

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(1)  次の掲示文をご覧下さい。

 「基調」→「その1 世界に通じる日本の心ー日本精神」

(2) 李登輝氏は、本稿の後、再び日本精神について書いている。

 「『日本精神』こそ世界の指針

(3) 他の台湾人による日本精神論も、ご参照下さい。

 「『日本人よ、しっかりしなさい!』〜金美麗

 「アジア諸国は日本精神を学ぶ〜黄文雄

参考資料

    『李登輝氏の慶応大学講演草稿「日本人の精神」全文』(月刊『正論』平成15年2月号)

    李登輝著『武士道解題――ノブリス・オブリジェとは』(小学館)

    蔡焜燦(さいこんさん)著『台湾人と日本精神〜日本人胸を張りなさい』(小学館文庫)

  日本精神復興促進運動のホームページ

 「真の日本精神は、世界を変える

 

 

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