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205   憲法・国防

                  

題  目

目  次

01 「日本弱体化政策」の検証〜日本の再生をめざして(長文)

02 日本国憲法は亡国憲法――改正せねば国が滅ぶ(長文)

03 憲法改正の方法論

04 新憲法へ――改正の時は今(長文)

05 日本再建のための新憲法――ほそかわ私案(長文)

06 日本精神を復興し、平成29年春までに亡国憲法の改正を

07 国防は自然権であり堤防のようなもの

08 国防を考えるなら憲法改正は必須(長文)

09 憲法第9条は改正すべし(長文)

10 集団的自衛権は行使すべし(長文)

11 スイスに学ぶ平和国家のあり方

12 三島由紀夫の『文化防衛論』を評す

13『フランス敗れたり』に学ぶ〜中国から日本を守るために(長文)

14 人類史上最も危険な思想〜中国の積極的核戦争論

15 核大国化した中国、備えを怠る日本〜日中戦後のあゆみ(長文)

16 中国の日本併合を防ぐには(長文)

17 安全保障関連法制の整備と課題取り組みを(長文)

18 戦後70年〜日本の誇りと平和を守り抜こう

19 いまこそ憲法を改正し、日本の平和と繁栄を〜9条と自衛隊(長文)

20 刑法の通牒利敵条項の復活を

21 國神社へ行こう!

22 慰霊と國〜日本人を結ぶ絆(長文)

23 安倍首相の國参拝〜意義と反響(長文)

24 冨田メモの徹底検証(長文)

25 令和の時代にこそ、憲法を改正し日本の再建を〜外国人材受け入れ拡大とアイヌ新法

26 ホルムズ海峡で緊張増大〜自国の船は自国で守れ

 

日本精神

公と私

家族・教育

人権・男女

●憲法・国防

天皇と国柄

祝日の意味

歴史再考

共産主義

心と宗教・哲学

政治・経済・社会

国際関係

人類の展望

 

 

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憲法改正の方法論

2000.5.30

 

 本年1月に国会に憲法調査会が設立され、憲法論議が進められています。各種世論調査によると、憲法改正を望む意見が、過半数から6割近くに上っています。

 私は今後、憲法改正を行なうにあたって、改正は一挙にではなく、段階的に進めるのが、現実的と考えます。

 

 その理由の一つは、現行憲法は占領下にGHQによって立案されたという特殊な成立事情を持ち、また50年以上も一切改正されていないため、多くの課題が山積していることにあります。

 また他の理由として、現行憲法の改正規定は、極めて条件が厳しいことがあります。改正は国会の両院の3分の2以上の議決をもって発議し、さらに国民投票で過半数の承認を必要とします。そのため、国民の大多数の合意を形成できなければ、一言一句も改正できません。緊急を要する課題であっても、対応できません。

 そこで改正のための方法論として、まず大多数の合意を得られることから改正し、段階的に進めることが現実的だと、私は思います。

 

 まず第1段階の目標としては、第9条と改正条項の改正を挙げたいと思います。前者は、憲法論議の最大の焦点です。国防・安全保障という国家の重大事に関することですから、これまでの論議の結果を出さねばなりません。また後者は、今後、多くの課題に関して改正を効率的に進めるために重要です。これらの改正の実現により、憲法というものは、国民の意思で変えられることを体験することが、国民の自覚を高め、改正を促進すると思います。

 併行して推進しなければならないのは、国民の意識改革と、次世代の教育です。憲法の文言を変えるだけで、国家・社会が変わるのではありません。国民の意識が変わってこそ、国家・社会の課題を解決できるのです。

 

 次の段階で、より大きな改正に取り組みます。ここでは、これまで改正の必要が論じられてきた課題を、多く解決することが目標です。この課題には、現行憲法の内容と表現の欠陥を直すことが含まれます。前文、天皇の位置付け、国民の権利と義務、総合安全保障、非常事態態勢、家族の重視、プライバシー保護、環境権、知る権利等、多くの課題が存在します。これらを一挙に検討し、合意を得ることは容易ではありません。私が段階的改正を考える所以です。

この新憲法は、日本の文化・伝統に則り、しかも21世紀の地球社会をリードできるようなものを目標とします。そうした新憲法の実現には、政治・社会の基本概念の検討や、人間・生命・自然を貫く根本原理の研究を深めてゆくことが必要です。そのためには、西洋近代思想を止揚する新しい哲学の構築が求められます。

 

 私は以上のような段階的推進が、憲法改正の現実的方法論であると思います。目標期間は、5年から7年で実現と考えます。ページの頭へ

 

参考資料

・私の新憲法案は、以下をご覧下さい。

 「新憲法へ――改正の時は今

日本再建のための新憲法――ほそかわ私案

 

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■日本精神を復興し、平成29年春までに亡国憲法の改正を

2015.3.21

 

平成27年(2015)2月23〜24日東京都港区で、「日本精神を復興し、亡国憲法の改正を」と題した講演を行った。その大意を掲載する。

 

●わが国の国柄と現行憲法

 

2月11日は現在、建国記念の日と呼ばれるが、戦前までは紀元節として祝われた。紀元節は、神武天皇が八紘一宇の理想を掲げて初代天皇の御位に就いた日を日本の起元とするものである。わが国の皇室は、神武天皇以来、今上陛下まで125代にわたり連綿として続いている。そこには、天皇が国民を「大御宝」と呼んで大切にする仁の伝統が脈打っている。このような国は、世界に他に存在しない。日本人が最も誇りとすべき事実である。

だが、現行憲法には、日本の素晴らしい歴史・伝統・文化・国柄が盛り込まれていない。大東亜戦争の敗戦後、GHQが秘密裏に起草し、わが国に押し付けた憲法だからである。現行憲法は、わが国を自壊滅亡に導く亡国憲法である。

わが国はその憲法を一字一句変えずに来てしまった。そのため、家庭・社会・国家のいたるところに深刻な危機を抱えている。今年は第2次世界大戦終結後、70年を迎える年で、中韓が反日的な行動を強めている。しかし、わが国はいわれなき事柄で誹謗中傷を受けても、堂々と反論できずにいる。こうした日本の現状を改めるには、日本人が日本精神を取り戻し、日本人自身の手で世界に比類ない日本にふさわしい憲法を作って、国家を再建することが必要である。

 

●経済再生の次は憲法改正が課題

 

昨年(26年)末の12月14日に衆議院総選挙が行われた。衆院選は、アベノミクスの是非について国民の信を問う選挙として行われた。自公が合計で定数の3分の2を上回る326議席を獲得して圧勝した。安倍首相はアベノミクスをはじめとする政策への信任を得て、長期安定政権の軌道に入った。

確かに日本経済の再生は重要であり、わが国は国民が一致協力してデフレを脱却し、経済成長の軌道に戻らねばならない。だが、もっと重要なのは、国家そのものの再建である。そのために急務となっているのが、憲法の改正である。

物質的な繁栄を追い求めるだけでは、国家の安泰と持続的な発展は得られない。また、経済にばかり力を入れ、国防を怠っていると、他国に侵攻・支配されることになりかねない。

本年(27年)1月20日「イスラム国」を自称する過激組織により、日本人2名が人質にされ、殺害される事件が起こった。ISILは、日本人にテロ宣言を行った。いつ日本人がまた襲われるかわからない。日本は平和ボケを脱し、安全保障を真剣に考える必要がある。

実は現在、中国は沖縄より尖閣諸島に100キロ近い浙江省温州市沖の南キ列島に新軍事基地を建設している。大型レーダー2台、超高速の通信情報網を設置、ヘリポート、軍用機の滑走路の建設等を進め、今年中に完成予定と伝えられる。南シナ海では、フィリピン、ベトナム近辺で5つの岩礁を埋め立てて基地を作っている。中国は本気である。尖閣を奪取したら、次に沖縄を狙う。沖縄を押さえられたら、わが国は窮地に陥る。

日本人の手で、独立主権国家にふさわしい憲法を作り上げてこそ、国家の安泰と民族の繁栄が得られ、世界の平和への貢献もできる。

 

●憲法の欠陥と改正のポイント

 

続いて憲法の欠陥を述べ、具体的なポイントを挙げて改正の必要性を話す。

 

 (1)根本的な問題

憲法は国の基本法である。国を成立たせている根本的な法律である。他の法律や政策は、憲法に基づいて作られる。わが国はその憲法に根本的に問題がある。だから日本はおかしくなっている。

現行憲法は、占領下で戦勝国に押し付けられた憲法である。日本を断罪し、弱体化するのが目的だった。自ずと国が崩壊・滅亡するような内容になっている。そのことをよく理解する必要がある。

 

 (2)前文

前文は、わが国の特徴が書かれておらず、どこの国かわからないような内容となっている。それは、書いているのが、日本人ではないからである。日本を占領したGHQの米国軍人が書いた。前文は、ハッシー海軍中佐が書いた。

前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と始まる。「代表者を通じて行動する」とは奇妙な表現。英語では、… acting through our duly elected representatives in the National Diet … この act through は「を代理として」という慣用句。英文原案を翻訳するようにと呼びつけられた日本の外交官が誤訳した。

特に注目すべきは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの生存と安全を保持することを決意した」と書いてあることである。

「平和を愛する諸国民」というが、それは戦勝国のことで、自分たちは平和を愛する国、日本は戦争を起こした悪い国として一方的に断罪している。だが、米ソは間もなく対立するようになり、冷戦下で様々な戦争が起こった。現在の中国・北朝鮮・ロシア等を見ても、前文はまったく宙に浮いた理想論となっている。しかも「公正と信義に信頼して」は、てにをはが間違っている。「〜を」でなければならない。

前文には、日本人の手でわが国の歴史・伝統・文化・国柄を書き、日本人自らの決意を盛り込む必要がある。

 

 (3)第9条

前文の関連のもとに定められているのが、第9条である。連合国の中心となった米国は、日本を弱体化し、再び日本が米国及び連合国の脅威とならないようにすることを占領目的とした。そのため、憲法で日本の国防が制限された。憲法改正で最も大きな焦点となるのが、第9条であり、次のような条文である。

 

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 

ここに戦争放棄・戦力不保持・交戦権の否認が規定されている。第9条を世界遺産に、9条を守っている日本国民にノーベル平和賞をなどという人たちがいるが、第1項は1928年の不戦条約と同じ主旨である。不戦条約は現在も約60ヶ国が当事者国である。戦争放棄は日本独自のものではない。

問題は、2項である。もし自衛力を含めてまったく戦力を持たないとすれば、独立主権国家として成り立たない。そこで「前項の目的を達するため、」という文言を入れた。これを芦田条項という。芦田均元首相が発案し、マッカーサーが承認した。自衛のための戦力は持てるという主旨だった。だが、わが国の政府は、自衛のために持てるのは戦力ではなく、最小限度の実力に限るとし、自衛隊は戦力ではないとしてきた。だがこの解釈では限界がある。限界の一つが、集団的自衛権の問題である。従来政府は、集団的自衛権は最小限度の範囲を超えるとし、権利は所有するが、憲法上行使できないという解釈を取ってきた。安倍内閣は、この解釈を変更し、限定的に行使できるようにしようとしているが、根本的な解決にはならない。9条の改正が必要である。

だが、9条の改正については、左翼・反日勢力が激しく反対する。そこで特に女性の理解が重要である。国民の半分は女性である。女性の多くが国防の重要性を理解し、平和と安全を守るために9条を改正しようという世論を生み出すことに、日本の運命がかかっているともいえる。

改正においては、侵攻戦争の放棄は維持しつつ、自衛権は自然権であり、自衛のための軍隊を持つことを入れることがポイントである。

 

(4)天皇

日本は、天皇を民族の中心として国民が団結力を発揮するという優れた国柄を持つ国である。GHQは、天皇と国民の結びつきを弱め、日本を弱体化しようとした。

明治時代に日本人自身が作った大日本帝国憲法では、天皇について明確に定めていた。「大日本帝國ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」「天皇ハ國ノ元首ニシテ統治權ヲ總攬シ此ノ憲法ノ條規ニ依リ之ヲ行フ」等である。

これに対し、現行憲法では、次のように定められている。

 

第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

 

第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

 

第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

 

第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。

 2 (略)

 

敗戦により、GHQの圧力で天皇は象徴となり、権威を引き下げられ、統治権の総攬から国事行為のみへと権限が縮小された。特に民族の中心として神に祈りを捧げるという役割が軽視されている。また、元首と規定されておらず、元首が天皇なのか、総理大臣なのか、あいまいな状態になっている。

改正では、天皇の精神的な役割を明確にすること、また「元首」と位置付けることがポイントとなる。

 

 (5)権利と義務

次に国民の権利と義務に関して述べる。現行憲法は、基本的人権の尊重を規定している。

 

第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

 

権利の保障が厚い反面、義務の規定が非常に少ない。勤労、教育、納税のみである。だが、権利には義務が伴い、自由には責任が伴う。多くの国では国家忠誠の義務や国防の義務が定められている。戦後のわが国はこうした義務がないため、利己主義が蔓延するようになってしまった。

改正においては、国民として必要な義務を定め、権利と義務のバランスを取ることが必要である。

 

 (6)家族保護条項

次に、家族について述べる。これに関係するのは、第24条である。

 

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

 

この「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」という規定が、日本の伝統を破壊するものとなった。GHQの若い米国人女性職員の意見が取り入れられた。結婚に両性の合意は必要だが、両性の合意のみに基づいて成立という規定が、家庭に個人主義を持ち込んだ。その結果、親子・夫婦・祖孫等の家族の絆が弱まっている。

男女が恋愛し、結婚するのは自然なことであり、憲法に結婚について定める必要はない。定めるとすれば、家族を尊重し、保護する条項である。わが国の憲法には家族保護条項がなく、かえって欧米諸国が憲法に定めている。

改正の際に、家族の尊重規定を盛り込む必要がある。

 

 (7)緊急事態条項

現行憲法には、わが国が外国から武力攻撃を受け、またはその危険が切迫している場合、及び内乱・騒擾、大規模自然災害等の非常事態が生じた場合、どのように対応するかが、定められていない。多くの国の憲法には、緊急事態条項が設けられている。わが国でも、明治憲法にはその規定があった。それをもとに、2・26事件では戒厳令を発令した。しかし、現行憲法は、それがなくされてしまった。

緊急事態規定のないことと、第9条で国防を規制していることは、同じ事情による。占領下にアメリカによって作られた憲法だから、何か起これば、GHQが出動することになっていたからである。

私は、9年ほど前に新憲法私案をネットに掲載し、今も公開している。その中に、緊急事態条項を設けている。また憲法に緊急事態規定のない重大欠陥を指摘し、憲法を改正し、条項を新設するよう訴えてきた。当時はごく少数意見だった。

平成23年(2011)3月11日東日本大震災が発生した。原発の事故が起こり、爆発すれば東日本の大部分が危機的状態になり、国家全体もマヒする恐れがあった。だが、憲法にそうした非常事態への対応が定められておらず、また不幸にして当時は民主党政権のため、まともな対応が出来ず、いたずらに被害を拡大し、犠牲者を増やした。

その反省により、ようやく憲法に緊急事態規定を設けるべきという意見が多くなってきた。現在は共産党を除くすべての政党が必要性を認めている。大震災の影響で首都圏や南海トラフ等で巨大地震が起こる可能性が高まり、日本は天変地異の時代に入っている。改正の際、緊急事態規定を設け、国防と防災を一体のものとして強化する必要性がある。

 

(8)改正要件

現行憲法は、改正要件が非常に厳しい。GHQは簡単に改正できないようにしたものと思われる。

 

第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

 

この改正要件は、世界的に見て極めて厳しいものである。米国は、上下両院の3分の2以上の賛成で発議し、アメリカ全州の4分の3以上の州議会の賛成で改正。国民投票はない。ドイツは連邦議会・連邦参議院両方で3分の2以上の賛成だけで改正できる。フランスは国民議会と元老院両院でそれぞれ過半数の賛成で発議し、国民投票において有効投票数の5分の3以上で改正となる。わが国は、国会両院の総議員の3分の2以上の賛成で発議することに加えて、国民投票を実施しなければならないので、条件が厳しい。そこで、まず96条を改正し、憲法改正をしやすくするようにするのがよいという意見もある。

改正においては、発議要件を衆参各議院の「2分の1以上」などと緩和することが必要である。

 

●改正への取り組み

 

わが国は、こうした欠陥の多い憲法を、後生大事に押し頂いて来た。その結果、深刻な危機に陥っている。

世界の国々は、時代の要請に即した形で憲法を改正している。主要国を見ても、戦後の改正回数は、アメリカが6回、フランスが27回改正している。敗戦国でわが国と比較されることの多いドイツは憲法ではなく基本法というが、58回も改正を行なっている。

安倍首相は、第1次安倍内閣で、平成19年(2007)に、憲法制定後60年も放置されてきた憲法改正国民投票法を成立させた。第2次安倍内閣では、昨年6月、国民投票法の改正を行った。それにより、ようやく国会が憲法改正を発議する環境が整った。国民の立場としては、戦後初めて、国会の発議を受けて、国民投票で憲法改正を決するという手続きが具体化したわけである。

安倍首相は、憲法改正は自分の「歴史的使命」とし、憲法改正に意欲を示している。自民党は今年(27年)秋の臨時国会で最初の改憲項目を絞り込み、来年(28年)の通常国会に憲法改正原案を提出、参院選後で改憲勢力が多数を占めれば、秋の臨時国会で憲法改正発議を目指す。発議から6か月以内に国民投票を実施する日程案である。このスケジュールで行くと、来年秋か再来年(29年)春までに国民投票が実施されることになる。

現状では一気に憲法の全部を改正するのは難しく、改憲の必要性の高い重要項目に絞って、最初の改正を行うことになるだろう。本日話したポイントは、主な検討点となるだろう。

国会の現状は、平成26年(2014)12月の衆議院総選挙で当選した議員のアンケートでは、84%が憲法改正に賛成している。最も改正すべき項目は、1位が96条、2位が9条、3位が緊急事態条項の新設、という答えだった。一方、参議院は発議に必要な議席に、自公で27議席不足、改憲賛成の野党議員を加えても7議席不足する。来夏の参院選で改憲賛成の圧勝するのでないと、両院総議員の3分の2以上で発議というハードルを越えられない。憲法改正に向けて、国民の意識を高め、また理解を深めていく必要がある。

 

●日本精神を復興して、亡国憲法を改正しよう

 

憲法改正による日本再建には、日本精神の復興が必要である。押し付けられた憲法を改正して、日本の伝統・文化・国柄に基づく憲法を、日本人自身の手で創り出せるように、人々が日本精神を取り戻すことが求められている。

現行憲法は、国民主権を謳い、憲法の改正は国民投票の過半数で決すると定めている。憲法について、最終的な判断をするのは、一人ひとりの国民である。日本の将来のため、子供や孫のために、私たちには正しい選択をする責任がある。国民一人ひとりが日本の現在と将来を考え、積極的に選挙や国民投票に参加するように働きかける必要がある。

昨年(26年)6月に改正された国民投票法によって、国民投票権は当面20歳以上とし、4年後から18歳以上に引き下げられる。年齢を引き下げることで、青少年の教育が一層重要となる。日本人としての誇り、伝統・文化・国柄への理解、正しい歴史認識、国民としての道徳心等を育てる必要がある。

憲法改正による日本の再建のために、日本精神を取り戻そう。

 

講演では、わが生涯の師にして神とも仰ぐ大塚寛一先生の言葉を多く紹介したが、ここでは割愛した。大塚先生と真の日本精神を伝える運動については、下記のサイトをご参照ください。

http://www.nsfs.jp/sousai_sousai.htm

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関連掲示

・拙稿「日本国憲法は亡国憲法――改正せねば国が滅ぶ

・拙稿「日本再建のための新憲法――ほそかわ私案

 

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■国防は自然権であり堤防のようなもの

2002.1.20

 

日本は戦後、半世紀以上もの間、平和に過ごしてきました。平和はまことに貴いものです。しかし、この半世紀の世界を見ると、多数の戦争・紛争が起こっています。アジアでも、朝鮮戦争・ベトナム戦争、カンボジア内戦など、休む間なしに、争いが起こってきました。現在も日本周辺では、朝鮮半島や台湾海峡など、国家間の緊張は高まり、周辺諸国の軍備増強が続いています。さらに国家間の争いだけでなく、テロリズムが横行しており、地球は修羅場のような様相を呈しています。こうした世界において、平和を守るためには、自ら国を守る努力を欠かせません。

 

そもそも自衛は、生物に授けられている基本的な機能です。動物はみな自ら守る機能を備えています。例えば、イカはスミ、蜂は剣、牛は角で防衛します。防衛する武器を持たない動物は保護色を持っています。

人間の場合も、この自然の理に基づき、個人でも他人から危害を加えられそうなとき、急迫、不正でほかに手段がない場合は、正当防衛が認められています。国家も同じ行動を取ることが国際法上、認められています。

国連憲章第51条は「固有」の権利として個別的、集団的自衛の権利を保障しています。すなわち、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」と規定されています。

 

世界の諸国は、この固有の権利に基づいて、国防を行っています。自分の国を一致協力して守るということは、その国民の義務であり、そのように憲法に規定している国が多くあります。しかし、日本国憲法は国防について大きな制約が課せられており、国民の国防の義務も規定されていません。戦後の学校教育では、自衛力や自衛戦争までも「悪」というイメージが植え付けられ、若者から自分の国を守るという気概も失われています。

日本国憲法の原案を作成したのは、GHQです。もし、日本国憲法の規定が本当に良いと思うならば、まずアメリカ自身が自国の憲法に取り入れるべきでしょう。

 

誰でも風邪を引かないように、予防をします。うがいや手洗いをしたり、衣類を調節したり、部屋の温度や湿度に気をつけたりもします。国防も、これと同じことです。インフルエンザが流行っている時に、予防を怠っていると、ウイルスに入り込まれ、高い熱やせきに襲われます。ひどい時は数日も寝込んだり、悪くすると命に係ることさえあります。実際、人体に生来備わっている免疫機能が充分働くときは、侵入したウイルスを押し込め、健康を回復できます。しかし、白血病やネフローゼの人など、免疫機能が極度に低下している人は、風邪一つでも命を落としかねません。ここで健康を平和に、免疫機能を国防力に置き換えてみると、国防の大切さがわかるでしょう。

 

病気に限らず、個人や家庭では、火事や事故など、いざという時のために備えをしておかねばなりません。国家においても備えを怠ると、将来にわたって取り返しのつかない大悲劇を招きます。防災や国防は、まさかのために必要です。軍備というものは、海岸でいえば津波や洪水を防ぐ防波堤、河川でいえば堤防のようなものです。非常事態に備え不断に整えておかなければならないのです。

例えば、大東亜戦争の末期、日本が戦闘能力をほとんど失ったとき、ソ連は、一方的に日ソ中立条約を破棄して、満州や樺太等を侵攻しました。昭和20年8月9日のことです。その結果、多くの日本人が殺戮され、また暴行を受けた婦女も多数ありました。さらに、スターリンは国際法を無視し、日本人を俘虜として抑留し、極寒のシベリア等の地で強制労働を課しました。わが国の厚生省援護局の資料によると、抑留者は約57万5,000人、うち死亡者は、約5万5,000人とされています。日本の防衛がしっかりしていた時には、このような侵攻が防がれていたわけであり、軍備は海岸の防波堤、河川の堤防の役割を果たしていたのです。

 

人類は世界平和をめざして、粘り強い努力を続けなければなりません。しかし、今の世界はまだまだ弱肉強食の傾向を示しています。こうした中で、諸国民の公正と信義に信頼して日本は無防備でよいと、現実離れした理想を主張する憲法にとらわれていると、恐ろしいことになることを認識すべきでしょう。ページの頭へ

 

関連掲示

・国防について、さらに考えるには、以下の拙稿をご参照下さい。

国防を考えるなら憲法改正は必須」 

スイスに学ぶ平和国家のあり方

 

ber117

 

スイスに学ぶ平和国家のあり方

2002.2.20

 

 敗戦後、「戦争放棄」をし、「平和憲法」を持つ我が国にとって、永世中立国・スイスは一つの理想のように言われます。事実、スイスは、戦乱の多いヨーロッパで150年以上もの間、平和を保っています。そのスイスにおける国のあり方に、わが国が学ぶことは多いと思われます。

 

●スイスの『民間防衛』

 

 平和愛好国・スイスは、国民皆兵であることで知られています。国防は、国民の義務となっています。若者も老人も、男性も女性も、侵略や災害などに対し、不断の備えを怠らないのです。平時から戦時に備えて2年分位の食糧・燃料等の必要物資を蓄え、国民の95%を収容できる核シェルターをつくるなどして、常に体制を整えているのが、スイスです。同じように「平和を愛好する」といっても、わが国とは、基本的な考え方に大きな違いがあるのです。

 

 『民間防衛』という本があります。これはスイス政府が、全国の家庭に1冊ずつ配っているものです。戦争のみならず自然災害などあらゆる危険に備えるためのサバイバル教本です。日本語版が原書房から出ており、阪神大震災の後にはベストセラーとなりました。

 この本では、戦争について、核兵器、毒ガス、細菌兵器が使用された場合、占領下のレジスタンスの場合など、さまざまな状況を想定しています。そして、国民は何をなすべきかを具体的に説き、示しています。また、現代は「全面戦争」の時代ととらえ、国防は軍事的防衛だけでなく、政治的防衛、経済的防衛など「全面防衛」が必要だとしています。

 ここで注目したいのは、「心理的防衛」がいかに重要かが、強調されていることです。私は、わが国の国防を考える際、この点が今日最も大切と考えます。

 

●まず「心理的防衛」が重要

 

 スイス政府による『民間防衛』の序文には、次のように記されています。

 

 「…戦争は武器だけで行われるものではなくなりました。戦争は心理的なものになりました。作戦実施のずっと以前から行われる陰険で周到な宣伝は、国民の抵抗意志をくじくことができます。精神ー心がくじけたときに、腕力があったとて何の役に立つでしょうか…」

 同書は「心理的な国土防衛」という項目でも、繰り返し次のように述べています。

 「軍事作戦を開始するずっと前の平和な時代から、敵は、あらゆる手段を使ってわれわれの抵抗力を弱める努力をするであろう。敵の使う手段としては、陰険巧妙な宣伝でわれわれの心の中に疑惑を植え付ける、われわれの分裂を図る、彼等のイデオロギーでわれわれの心をとらえようとする、などがある…」

 

 『民間防衛』は端的に、「国防とはまず精神の問題である」と説いています。自ら国を守ろうという気概が、国防の根本です。そしてその気概のあるところ、外国のさまざまな働きかけに対する「心理的防衛」が自覚されます。

 ところが我が国では、戦後、「平和憲法」と日米安保の下で、自ら国を守るという気概が薄れ、「心理的防衛」という意識が低下しています。政府も国民も、国防という観点から外国の宣伝に防備・対抗するという意識を、忘れてしまったかのようです。その結果、今日では外交・報道・教育などあらゆる面で、外国の対日宣伝に対し、ほとんど無防備に近い状態となっています。(まるで免疫不全に陥った末期患者のように)

 

 現行憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とあります。しかし、現実には、国際社会で紛争や侵略が繰り返されています。そして、我が国の周辺には、我が国に不信と敵意を表す国家も存在しています。我が国に照準を合わせたミサイルが配備されています。

 『民間防衛』が教えるように、侵略国はある日突然、侵攻してくるのではありません。武力による直接侵略を行う前に、その攻撃を容易にまた効果的に行うため、長期的に、宣伝・諜報や反政府勢力の育成などを行っているのです。ですから、私はまず「心理的防衛」の意識を回復することが重要であると、考えるのです。言い換えると、精神の防衛です。

 

●心理戦としての反日運動

 

 スイスの『民間防衛』は「外国の宣伝の力」という項目で次のように述べています。

 「国民をして戦うことをあきらめさせれば、その抵抗を打ち破ることができる。…敗北主義ーーそれは猫なで声で最も崇高な感情に訴える。−−諸民族の間の協力、世界平和への献身、愛のある秩序の確立、相互扶助ーー戦争、破壊、殺戮の恐怖…。そしてその結論は、時代遅れの軍事防衛は放棄しよう、ということになる。新聞は、崇高な人道的感情によって勇気付けられた記事を書き立てる。学校は、諸民族との間の友情の重んずべきことを教える。…この宣伝は、最も尊ぶべき心の動きをも利用して、最も陰険な意図のために役立たせる」

 

 宣伝は、相手国の国民に、自信や誇りを失わせ、その国民であることを自ら嫌悪するまでにすれば、抵抗意志をくじき、失わせてしまうこともできます。そこで近年、周辺諸国が力を入れているのが、日本の歴史を断罪する教育内容と、「戦争の謝罪と賠償」の要求などだと見ることができるでしょう。この活動は今や、国際的な反日運動にまで拡大しています。

 これは単なる「謝罪と賠償」の人道問題ではありません。また単なる外交と経済のゲームでもありません。総合的な安全保障という観点から、とらえてみることも必要でしょう。つまり、軍事的侵略の前段階としての間接侵略、心理戦の一環としてとらえてみる見方です。

 

●どのように防衛を行うか

 

 それでは私たちは、どのように「心理的防衛」、精神の防衛を行うべきでしょうか。『民間防衛』は次のように説きます。

 「国民の義務とは、武器を用いることが第一なのではなく、まずその精神が問題である。外敵から国を守るため、および国内の秩序を保つため、岩のように固い意志を持つ必要があり、その意志が強固であるときのみ、われわれは持ちこたえることができるのである」と。

 そうした固い意志を持つとき、平時における「心理的防衛」は真に有効なものとなるのでしょう。それではそうした強い意志は、何によって可能となるのでしょうか。

 

 『民間防衛』は、スイス国民に問うています。

 「われわれは生き抜くことを望むのかどうか。われわれの財産の基本たる自由と独立を守ることを望むのかどうか」と。

 「生き抜くことを望むのかどうか」という問いは、重要です。たとえ、核兵器や毒ガスなどが使用された場合、首都や政府の機能が麻痺した場合、外国軍に占領される結果となった場合など、どのような状況となっても、どこまでも生き抜こうという意志。それが、全国民に求められています。

 

●守るべきものとは何か

 

 さて、次が「何を守るのか」という問いです。スイスでは、それは「自由と独立」とされています。これが国民の末端にまで、徹底されています。スイス国民は、命をかけて、「自由と独立」を守るのです。そのために老若男女みな、日々、国防の備えを怠らないのです。

 それでは、私たち日本人は、「何を」守ると言うべきでしょうか。自分の生命? 現在の生活? 民主主義? 主権と独立? 国益? 国柄?……日本国民は、皆で何を守るのか、そのコンセンスさえできていないでしょう。

 私たちは、何を守るべきなのか。「守る対象」を明確にしたうえで、それをいかに守るのか、が問われることになるでしょう。私は最も守るべきものとは、日本人が保ち続けてきた精神的価値であると考えます。言い換えると、「日本の心」です。このホームページは、そうした「日本の心」を明らかにするためのサイトです。ページの頭へ

 

ber117

 

三島由紀夫の『文化防衛論』を評す

2002.4.18

 

 今日わが国は、大きな危機にあります。昭和40年代にも、わが国は存亡の危機に直面していました。左翼の革命運動が高揚して国内が騒然とし、これに呼応して共産主義国が侵略してくる恐れがあったのです。当時、日本を守るために行動した人々の一人が、自決した作家・三島由紀夫です。

 日本のあり方が根本的に問われる今日、三島がかつて、日本の「文化」を守れと唱えたことを振り返ってみたいと思います。

 

●前置きとして

 

 三島由紀夫は、いわゆる70年安保を目前にした昭和44年、『文化防衛論』を発表し、日本の「文化」を守ることを提唱しました。その主張の内容に入る前に、ひとつ考えておきたいことがあります。

それは日本の何かを「守る」というときに、私たちは、何を守るべきであるかということです。

 まず「国土」や「国民の生命と財産」、あるいは「主権と独立」を守ることが考えられます。しかし、日本が共産主義国となっても、国土は国土であり、国民の生命や主権等を守ることは、変わりがありません。また、「自由・平等・民主・人権」などの価値を守ることは、どの民主主義国でも言っており、わが国では共産党までが言っています。

 つまり、これらを守るというだけでは、日本を守ることにはならないのです。

 日本を守るとは、その中に、わが国に古来伝わる独自の国柄を守るということがあることに思い至ります。これを伝統的な言葉でいえば、「国体」を守るということです。「国体」とは、簡単に言えば、日本の歴史・文化・伝統に基く、天皇を中心とした国柄だと言えましょう。そこには、自ずと「日本の心」が表れています。

三島が日本の「文化」を守ると言う時には、日本の国柄に表れた精神文化という意味がありますので、前置きとさせていただきます。

 

●文化を守ることを提唱

 

 昭和40年代、世界は共産主義の嵐に見舞われていました。わが国もまた、共産主義の革命運動が高揚し、大きく揺れ動きました。三島由紀夫は、この危機において、共産主義に反対し、日本の国柄を守ることを提唱したのです。『文化防衛論』で彼は、次のように述べます。

 

 「なぜわれわれは共産主義に反対するのか? 第一にそれは、われわれの国体、すなわち文化・伝統と絶対に相容れず、論理的に天皇の御存在と相容れないからであり、しかも天皇はわれわれの歴史的連続性・文化的統一性・民族的同一性の、他にかけがえのない唯一の象徴だからである。…」( 1)

 

 三島は、さらに独自の考察を進めます。同じ時期に出された書物から彼の言葉を引用します。

 

 「…どうしても最終的に守るものは何かというと、天皇の問題。それでもまだあぶない。カンボジアみたいに王制でだね、共産主義という国もあるんだからね。いまの共産党は『天皇制打倒』を引っ込めて十年経つが、ひょっとすると天皇制下の共産主義を考えているんじゃないかと思う。これでもまだまだだめだ。天皇を守ってもまだあぶない。そうすると何を守ればいいんだと。ぼくはね、結局文化だと思うんだ、本質的な問題は」( 2)

 

 このような考察に基いて、三島は、わが国独自の国柄、つまり国体を守るために、日本の「文化」を守ることを提唱しました。私は、重要な着眼だと思います。

国体とは、単に国家の通時的な構造をいうのではなく、文化の社会組織的な表現でもあります。文化とは心の表れですから、日本の文化とは、日本人の精神の表れです。それゆえ、「文化」を守るとは、日本の精神を守ることです。それは個々人にとっては自分の精神を、自分自身を守ることでもあります。つまり、これは日本人のアイデンティティに関わる根本課題です。

三島は、こうした課題を自己の問題として取り組むことを、同時代、そして将来の日本人に呼びかけたものと、私は思います。

 

●「文化概念としての天皇」を希求

 

 「文化」を守れ、という三島の提唱は、一般的な伝統文化・民族文化の保存を説くものではなく、国体を守り、天皇を守ることを訴えるものです。これは、彼の個性的な天皇論・文化論による主張です。

 三島は著書『文化防衛論」で、「政治概念としての天皇」に対する「文化概念としての天皇」という天皇像を提起しました。彼は、天皇の本質とは、政治的な権力者ではなく、「文化共同体の象徴」「文化の全体性の統括者」であると考えました。そして三島は、明治国家が創り出した天皇像を、西欧近代の国家原理の影響を受けて政治権力と結びつけられたものとして、拒否します。そして、「歴史的な古い文化概念としての天皇」の復活を希求しました。

 

 「われわれの考える天皇とは、いかなる政治権力の象徴でもなく、それは一つの鏡のように、日本の文化の全体性と、連続性を映し出すものであり、このような全体性と連続性を映し出す天皇制を、終局的には破壊するような勢力に対しては、われわれの日本の文化伝統を賭けて闘わなければならないと信じている…」( 3)

 

 こうした主張は、彼独自の文化論に則ったものです。彼は皇室を中心とした古代の王朝文化に、日本文化の最も重要な源を見ます。

 

 「日本の民衆文化は概ね『みやびのまねび』に発している。そして、時代時代の日本文化は、みやびを中心とした衛星的な美的原理、『幽玄』『花』『わび』『さび』などを成立せしめたが、この独創的な新生の文化を生む母胎こそ、高度で月並みな、みやびの文化であり、文化の反独創性の極、古典主義の極致の秘庫が天皇なのであった。…

 文化上のいかなる反逆もいかなる卑俗も、ついに『みやび』の中に包括され、そこに文化の全体性がのこりなく示現し、文化概念としての天皇が成立する、というのが、日本の文化史の大綱である」( 4)

 

 そして、彼は次のように述べます。

 

 「天皇を否定すれば、我々の文化の全体性を映す鏡がなくなるだろう。天皇は最終的に破壊されれば、我々の文化のアイデンティティはなくなるだろう」( 5)

 

 さわり程度の紹介ではありますが、三島はこのような天皇論・文化論を展開して、「文化」の防衛を訴えました。「文化」を守ることなくしては、国体、そして天皇を守ることはできず、日本を守ることはできないと考えたわけです。それは、昭和40年代、日本共産化の危機が迫る状況の中で、突き詰められていった考察でした。

 

●日本の将来を洞察

 

 いわゆる70年安保をめぐる騒乱の中で、昭和45年11月25日、三島は、自衛隊市谷駐屯地において、自衛隊員に憲法改正を目指す決起を呼びかけて失敗、割腹自殺しました。当時、私は高校2年生でした。

 自決事件の4ヶ月ほど前、三島は、次のような感懐を記しました。

 

 「私はこれからの日本に対して希望をつなぐことが出来ない。このまま行ったら日本はなくなってしまうのではないかという感を日増しに強くする。日本はなくなって、そのかわりに、無機的な、空っぽな、ニュートラルな、中間色な、富裕な、抜け目がない、ある経済的大国が極東の一角に残るであろう…」( 6)

 

 また、前年10月の講演で、次のように語りました。

 

 「この安保問題が一応片がついたあとに初めて、日本とは何だ、君は日本を選ぶのか、選ばないのかという鋭い問いかけが出てくると思うんです。そのときはいわゆる国家超克という思想も出てくるでありましょうし、アナーキストも出てくるでありましょうし、われわれは日本人じゃないんだという人も出てくるでありましょう。……そのときに向かって私は自分の文学を用意し、あるいは行動を用意する。そういうことしか自分に出来ないんだ。これを覚悟にしたい、そう思っているわけであります」( 7)

 

 これらの発言は、その後の日本について、予言的な響きがするほどに、深い洞察を示したものだと思います。

 

●どのように評価するか

 

 三島由紀夫の行動と死に対する評価は、さまざまです。私は、彼が昭和40年代の日本の危機において、いかにして日本を守るかを考え、発言・行動したことを評価します。しかし、彼が自衛隊にクーデターを呼びかけたこと、また自決したことは評価できません。

 私は、もし彼が自らの美学へのとらわれを捨て、死への衝動に打ち克ち、国家社会のために生き抜き、尽くす道を選んだならば、もっと有意義な行動をなし得たに違いないと思います。その点は残念ですが、彼が「文化」を守ることを提唱した言葉の中には、日本人が避けることのできない重要な問題が多く語られていると思います。ページの頭へ

 

(1)三島由紀夫著『文化防衛論』(新潮社、初版は昭和44年)

(2)同上『若きサムライのために』(文春文庫、初版は昭和44年)

(3)-(6)  (1)と同じ

(7)産経新聞 昭和45年7月7日号

参考資料

・猪瀬直樹著『ペルソナ 三島由紀夫伝』(文春文庫)

 

ber117

 

 

■戦後70年〜日本の誇りと平和を守り抜こう

2015.9.18

 

平成27年(2015)9月13〜14日東京都港区で、「戦後70年〜日本の誇りと平和を守り抜こう」と題して講演を行った。その大意を掲載する。


●戦後70年を迎えた日本

 本年は、大東亜戦争の敗戦から70年となった。この間、わが国は占領期を経て独立を回復し、奇蹟的な復興の後に驚異的な経済成長を成し遂げた。今日、世界の先進国の一員として、ますます強い指導力を求められている。
 ところが、戦後70年たった今も、わが国には、戦勝国が一方的にわが国を断罪した東京裁判に基づく自虐的な歴史観が横行している。朝日新聞などのマスメディアは、慰安婦の「強制連行」などの虚構を創り出し、それを中韓が反日的な対外活動に利用している。
 こうしたなか、安倍首相がどのような談話を出すか、大きな注目が集まった。村山談話や小泉談話が示した「植民地支配」と「侵略」を認め、「おわび」と「謝罪」を要求する圧力が、国の内外からかけられた。
 安倍首相は、有識者会議を開いて広く意見を求めてこれを参考にし、また単に総理大臣個人が談話を出すのではなく、閣議決定をするという手続きを取った。
 8月14日、安倍首相は、戦後70年談話を発表した。談話は、世界の中での日本の歴史を振り返ったうえで、歴代内閣の立場を引き継ぎつつも、子孫に「謝罪を続ける宿命」を背負わせてはならないとして、未来志向に立ち、積極的平和主義による国際貢献を行う意思を表した。
 概略を述べると、談話は、「百年以上前の世界」には「西洋諸国」等の「広大な植民地」が広がっていた。「日露戦争」は、「植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々」を「勇気づけ」た。しかし、「世界恐慌」が発生し、「欧米諸国」が「経済のブロック化」を進めると、「日本経済」は「大きな打撃」を受けた。日本は「世界の大勢」を見失い、「満州事変」「国際連盟からの脱退」等と「進むべき針路」を誤り、「戦争への道」を進み、「敗戦」した、と日本の歴史を世界の動きの中で振り返った。
 談話は「国内外に斃れたすべての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の、哀悼の誠を捧げます」と語り、「尊い犠牲の上に、現在の平和がある」と述べた。
 有識者間で「侵略」については意見が分かれたが、談話は「いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」という文脈に「侵略」という文言を入れた。どの国にも当てはまる言い方である。そして、戦後の日本は「自由で民主的な国」を創り上げ、「法の支配」を重んじ、「不戦の誓い」を堅持してきたとし、「七十年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります」と述べて、戦後日本の歩みへの「誇り」を示した。
 また「お詫び」という文言については、「我が国は、先の大戦における行いについて」「繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ち」を「表明」し、その思いを「実際の行動」で示してきた。「こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります」という文脈で述べた。その一方、国家間では「寛容の心」のが大切だと相手側に諭した。
 また「日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と明確に述べた。
 そして、「我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、『積極的平和主義』の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります」と結んだ。
 概略このような内容だが、特にこれからの世代に「謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」として、日本が謝罪の歴史に終止符をうち、未来志向に立つことを世界に対して発信したことは、高く評価できる。
 先の大戦において、わが国は莫大な富を失い、何百万という人が犠牲になったが、その代償によって有色アジア人が長い間の白人の奴隷化状態から解放されたという側面がある。現在、戦前の日本を非難し続けているのは、中国・韓国等のごく一部の国々に過ぎない。それらの国も国内の矛盾から国民の目をそらすために、反日宣伝に力を入れている。その一方、大戦後独立したアジア・アフリカ諸国のほとんどは、日本の貢献に感謝し、ますますの協力を日本に求めている。
 安倍首相の談話は、中韓等を除く多くの国々から高く評価されている。また、中韓もあまり強い不満を言えない周到な内容になっている。この談話を機に、わが国は謝罪外交と決別し、誇りある歴史認識を持って、21世紀における日本の役割をしっかり果たしていくことが必要である。それには、日本人は日本精神を取り戻し、日本の再建を進めていかなければならない。

●厳しさを増す国際環境

 戦後70年を迎えたわが国は、厳しい国際環境にある。第2次大戦後も弱肉強食の世界が続いている。
 その後、様々な時代があったが、弱肉強食の世界は変わっていない。近年日本を取りまく安保環境は、再び厳しさを増している。最大の脅威は、ソ連に代わって台頭した中国である。中国は、政治・外交・経済・軍事等を総動員して、覇権の拡大を進めている。
 9月3日、中国は抗日戦争勝利70周年記念式典を行った。戦勝とは真っ赤な嘘で、共産党は日本軍とあまり戦っていない。シナ事変など日本軍と国民党軍を戦わせる謀略を行った。日本は米国に敗れたので、大陸を撤退した。共産党は日本軍との戦いで弱った国民党軍を攻めて、まんまとシナを共産化した。だが、共産党は日本軍からシナを解放したという虚偽によってしか正統性を主張できないから、堂々とウソを言っている。
 今回の軍事パレードで、中国は国産の新型兵器(ICBM、IRBM、空母艦載機等)を多数繰り出し、わが国や周辺諸国を威嚇し、米国に挑戦の意思を明らかにした。軍事費は、平成元年から毎年二けたの率で増加し、この27年間に41倍に増えている。韓国のパク・クネ大統領は記念行事に出席し、中国にすり寄る姿勢を明らかにした。韓国人の潘基文国連事務総長が出席したのは、全く立場を考えない中立性を欠く行動だった。
 中国は南シナ海の南沙諸島で岩礁を埋め立てて7つの人工島を作り、そこに軍事基地を作っている。そのことにより、中国と米国や周辺諸国の間で緊張が高まっている。
 わが国の多くのマスメディアは、南シナ海にばかり注目し、わが国近傍での中国の動きをあまり報道しないが、中国は東シナ海でも軍事基地を着々と建設中である。基地が作られているのは、浙江省温州市沖の南キ列島で、沖縄より尖閣諸島に100キロ近いところにある。既に大型レーダー2台、超高速の通信情報網を設置、ヘリポート、軍用機の滑走路の建設等が進み、今年中に完成予定と伝えられる。
 その上、中国は東シナ海で、海洋プラットホームを急速に増設させている。この1年間に11基から16基に増えた。海洋プラットホームは、海底から石油や天然ガスを掘削・生産するために必要な労働者や機械類を収容する施設である。中国は、ガス田を共同開発するという日中の合意に反して資源を強奪している疑いがある。もしプラットホーム上に、レーダーや水中音波探知機(ソナー)、弾道ミサイル発射装置などが配備されれば、沖縄本島や南西諸島すべてが射程内に入る。わが国の安全保障は、これまでにない危機にさらされることになる。
 中国は本気である。尖閣を奪取したら、次は沖縄を狙う。沖縄を押さえられたら、わが国は窮地に陥る。だが、こんな状況において、沖縄では親中派の翁長知事が普天間基地の辺野古への移転に反対している。米軍基地をなくし、中韓と提携しようとしている。中国は背後で沖縄を独立させる画策をしている。
 ところで、日本人は、尖閣・沖縄には関心が向くが、新潟・佐渡は死角になっている。中国は、新潟・佐渡も狙っている。領事館用だとして新潟市内に1万5千平米もある広大な土地を購入し、新潟市民が反対運動を行っている。シナ系の帰化人が佐渡にある「道の駅」を1円で購入した。新潟市内の土地と併せて軍事拠点として、中国が使用しようとしているのではないかと懸念されている。細川は、昨年10月にそのことをネットに書いた。そこまでは考えすぎではないかと思う人が多いだろうが、これは、単なる空想ではないことが明らかになった。
 昨年末、中国人民解放軍が佐渡を占拠し首都中枢を攻撃することを想定した日米軍事合同演習が行われた。軍事演習の最中、陸上自衛隊やアメリカ陸軍の幹部の間では、幾度も「リアルなシナリオ」という言葉が飛び交ったと伝えられる。
 今年の6月に新潟・佐渡に行って現地を見てきたが、地元の人々は強い危機感を持っている。

●求められる安保法制の整備

 厳しい国際環境において、日本人が誇りと平和を守り抜くためには、憲法の改正が不可欠の課題である。だが、今なおわが国は憲法を改正できていない。その間に世界は大きく変化した。宇宙兵器、サイバー兵器、国際テロリズムの時代となり、もはやどの国も一国では国を守れない。日本も同じ。自ら国を守る体制をしっかり整えるとともに、地球規模での国際協力を行うことが必要になっている。
 今できることとして、憲法解釈を変更して集団的自衛権を行使できるようにすることが必要である。また、日米の連携を強化するとともに、自衛隊が積極的に世界の平和と安全に貢献できるようにする。そのために急がれるのが、安全保障法制の整備である。

 4月28日、安倍首相は、オバマ大統領と共同声明を発表し、地球規模での日米の緊密な連携を謳った。翌日安倍首相は、日本の総理大臣として初めて、米上下両院合同会議で演説し、日米同盟を「希望の同盟」に、と訴えて、高い評価を受けた。旧敵国が和解し、地球の平和のために連携することは、人類に希望を与えるものとなった。

 5月14日、安全保障関連法案が閣議決定され、国会で審議が行われている。
 安保法案は、10の既存法の改正と1の新法の制定に分けられる。既存法は、つぎはぎのため切れ目があり、一貫性・整合性がない。既存法の改正案を一括し、「平和安全法制整備法案」と呼ぶ。新法は、「国際平和支援法案」という。特措法で対処してきたのを改め、恒久法を作る。
法案の内容は、日本の平和と安全に関するものと、世界の平和と安全に関するものに分けられる。主なものを挙げる。

 まず、日本の平和と安全に関するもの。
 第一に、有事への対処。自衛権を行使するのは、「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」事態に限る。これを「存立危機事態」と呼ぶ。
 わが国への武力攻撃には、個別的自衛権を行使する。新たに、日本が中国等に侵攻された時や朝鮮半島等で戦争が起こった時を想定し、集団的自衛権の行使ができようにする。それによって、戦争抑止力を高める。
 集団的自衛権の行使として武力を行使するのは、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」が発生した場合で、わが国にとって「明白な危険」があるとともに、「他に適当な手段がない」こと、「必要最小限度」の範囲であることという三つの要件を満たす必要がある。それゆえ、この場合の武力行使は厳しく限定されている。
 第二に、有事でも平時でもない中間的事態への対処。警察・海上保安庁が警察行動を行う平時でも、自衛隊が防衛出動する有事でもない中間的な事態に対処できるようにする。
一つは、武力攻撃に至らない離島上陸などのグレーゾーン事態への対処である。緊急な判断が必要だが、速やかな臨時閣議開催が困難なときは、首相の主宰により、電話等により各閣僚の了解を得て閣議決定する。
 もう一つは、日本有事や周辺有事ほど深刻ではないが、放置すれば日本の平和と安全に重要な影響を与える重要影響事態への対処である。従来の「周辺事態」を「重要影響事態」に改め、「日本周辺」の概念を外す。自衛隊が地理的な制約なしに活動でき、また米軍以外の国々の軍隊をも後方支援できるようにする。
 第三に、平時の活動。海外でテロに襲われた日本人を自衛隊が救出に行けるようにする。当該国の同意があれば、その国の警察・軍隊とともに救出活動を行う。

 次に、世界の平和と安全に関するもの。
 第一に、国際社会の平和と安全を脅かし、日本が協力する必要がある事態を「国際平和共同対処事態」と呼び、「国際平和支援」の活動のため、自衛隊が多国籍軍などを後方支援することができるようにする。自衛隊の派遣は、国連総会か国連安全保障理事会の決議を要件とする。
 第二に、日本人NPO職員・他国軍等に対する「駆けつけ警護」ができるようにする。正当防衛・緊急避難による自己保存目的に限っていた武器使用は、任務遂行目的の使用を可能にする。
 第三に、人道復興支援は、国連決議がない場合も、EU等の国際機関の要請があれば、自衛隊を派遣する。

 法案は、衆院では可決し、現在参院で審議がされている。16〜18日に成立の見込みである。最後は「60日ルール」により衆院で3分の2以上の賛成で再可決すれば成立できるが、成立まで予断を許さない。
 安保法制の整備は、できるだけ急いだ方が良い。今のままでは、中国が尖閣諸島や新潟・佐渡を攻めてきても、日本はまともな防衛ができない。朝鮮戦争が起こってもまともな対応ができない。当面安保法制を整備して国防を強化し、戦争抑止力を高め、いざという時には対処できるようにしたうえで、憲法の改正を行わねばならない。今回の安保法制は、憲法を改正して、ちゃんとした体制を創るまでのつなぎである。

 なぜ、安保法制に関する議論はわかりにくいか。政府が、先ほど私が述べたような迫りくる中国の脅威をハッキリ述べないからである。私が述べたようなことを国会で詳しく述べ、だから安保法制の整備が必要だと国民に語れば、多くの国民は、そういうことなのだとわかる事柄である。
 反対派が安保法案に「戦争法案」というレッテルを貼り、戦争に巻き込まれると主張しているのは、大きな誤りである。集団的自衛権の行使容認による日米同盟の強化は、中国等の侵攻による戦争を防ぐ抑止力を高める。逆に、現在の欠陥だらけの法制では、その隙を突かれて、中国による尖閣諸島・沖縄等への侵攻を許すおそれがある。「戦争法案」だと反対する者は、中国や北朝鮮の軍備増強を批判しない。
 安保法案を非難しているのは、中韓等、ごく一部の国のみである。米・欧・アジア等の国が次々と賛意を表明しており、支持・賛同する国は、50カ国以上となっている。日本が戦争を起こすための法案なら、そうした国々が賛成するはずがない。
 憲法学者の多くが安保法案は違憲だと言っているが、戦後間もない時期の鳩山一郎・岸信介が首相だった時には、わが国は集団的自衛権を行使できるというのが政府見解だった。その後、政府の解釈が変わったのを、元に戻そうというのが、安倍内閣の姿勢である。憲法解釈を決めるのは学者ではない。最高裁判所である。最高裁は砂川判決でわが国は主権国家として、個別的自衛権にとどまらない「固有の自衛権」を持つという判断を示している。憲法学者には左翼的な考えの者が多い。そういう学者のいうことに従っていたら、憲法守って国滅ぶということになる。
 自衛隊の海外派遣が際限なく広がりかねないという不安から反対している人もいるだろう。憲法上、一般に海外派兵はできない。武力攻撃を目的として他国の領土等に入ることはできないというのが政府見解。まずここがポイント。次に、後方支援のための国際平和支援活動は、例外なく国会の事前承認が必要としている。集団的自衛権の行使や重要影響事態への対処も、原則的に事前承認を必要とする。緊急時の対応であれば、例外的に事後承認も可とするが、その場合、国会が承認しなければ、撤退命令が出される。こういう歯止めがかかっている。

 

●自ら国を守る意思を持ち、憲法の改正へ

 安保法制の整備は、起こり得る事態に対処するための選択肢を広げるものである。そのうえで、実際にどう対処するかは、政治の判断である。主権と独立、国民の生命と財産を守るため、国益を第一とした判断がされねばならない。
 集団的自衛権の行使も自衛隊の海外派遣も、国会の承認を必要とする。国会の承認とは、最終的には国民の意思によるということである。
 ますます厳しくなっている国際環境において、日本人は、安全保障の問題を避けて通れない。政治家がレベルアップしなければならない。国民もレベルアップしなければならない。ただ平和を祈っていれば、平和が守られるのではない。国民が自ら国を守るという意思を欠き、そのための取り組みもしない国民は、他国に支配され、滅びの道をたどるだろう。
 日本人は滅びの道へ進みたくなければ、自ら自国を守るという意思を持ち、国を守るための努力をしなければならない。当面安保法制を整備した上で、できるだけ早く憲法を改正し、国家を再建して、日本の平和と安全を守る体制を確立しなければならない。
 来年(平成28年)夏の参院選で改憲勢力が多数を占めれば、秋の国会に憲法改正案が提出される。各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国民に発議される。発議後、6か月以内に国民投票が行われる。平成29年の早期までに国民投票を実施することが、改憲派の目標となっている。これが最も順調に行った場合の最速のスケジュールである。29年早期とは、神霊教の開教が70周年を迎えるまさにその時期である。

●偏向したマスコミとこれへの対処

 歴史認識、安保法制、憲法改正等について、マスメディアの多くは、偏向した報道をしている。国民大衆はマスメディアによって巧妙に操られている。報道機関に対して、国民はしっかりした目を持たなければならない。
 メディアの偏向の原因は、(1)GHQによる言論統制を引き継ぎ、自己検閲していること、(2)そこに左翼思想を持った者が多く入ったこと、(3)さらに近年、外国籍人の職員が増えていることが挙げられる。
 10年ほど前から(3)が大きな問題として浮かび上がっているが、昭和40年代から三国人がテレビ・映画等のマスコミを握って、思想面からの破壊的謀略工作が進められてきた。三国人とは、敗戦後日本領でなくなった旧外地、朝鮮・台湾等の国民を言う。その後、日本のマスコミには、在日韓国人・中国人等が多く入り込んできた。マスメディアが左翼的・反日的に偏向しているのは、そのことも要因となっている。NHKにも多くの外国人職員がいる。諸外国では、国営放送や公共放送は外国籍の者を職員に雇わない。TBSは在日の枠を設けて、在日を多く採ってきたことで知られる。彼らが編集・編制などの要職に就いている。日本に帰化した者も、名前は日本風だが、魂は外国人のままの者が多くいる。彼らは自分の祖国に有利になるような報道をする。
 表現の自由は憲法で保障されているが、メディアには政治的な中立性、事実関係の正確な報道が要求される。視聴者や政治家が偏向した報道は許さないという明確な意思表示をしないと、マスコミはやりたい放題になる。マスコミの横暴を許せば、国の進路を誤る。
 特にマスコミに入り込んで強い影響力を振るっている在日韓国人・中国人等の存在を明らかにして、彼らの反日的な活動を防がねばならない。
 在日外国人の通名変更を認めないなど、通名使用を規制する方向に進んでいるが、一定の役職以上の者は公職として出自を明らかにするなどが必要。帰化する場合は、日本への忠誠義務を課し、日本人に成りすまして日本を破壊する活動を防がねばならない。国会議員の中にも、相当数、反日的な帰化人がいる模様である。彼らの謀略を打ち破るには、三代前まで出自を明らかにするなどを義務付けることが必要である。日本の改革を推し進めるには、日本人が日本精神を取り戻して、一致団結しなければならない。
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関連掲示

・拙稿「尖閣を守り、沖縄を、日本を守れ
・拙稿「新潟・佐渡が中国に狙われている

・拙稿「安全保障関連法制の整備を急げ

・拙稿「日本精神を復興し、平成29年春までに亡国憲法の改正を
・拙稿「在日特権集団の特権を廃止しよう

 

ber117

 

■刑法の通牒利敵条項の復活を

2005.7.16


 現代における戦争は、軍事力を行使して戦う実際の戦闘以上に、情報の盗取や世論の操作等による心理戦が重要になっている。

わが国は、もともと正直・素直な国民性であるところに、大東亜戦争の敗戦後、通牒利敵行為の取り締まりが極度に弱くなり、「スパイ天国」とまで言われている。
 スパイ行為への無防備状態が、旧ソ連の左翼運動への支援や北朝鮮による日本人拉致を許してきた。私は、それ以上に重大な損害を受け続けているのは、中国の特務機関による対日工作だろうと想像している。政治家・外交官・自衛官等が、金銭や女色の罠にかかり、どれほど国益を損なっているかわからない。
 通牒利敵行為への対処のために、まずなすべきことは、刑法第85条、86条の復活である。以下の記述は、中川八洋氏の『国が亡びる〜教育・家族・国家の自壊』(徳間書店)に多くを負う。
 刑法は、第82条の次が第87条となっている。この間の四つの条項は削除されている。第二編第三章「外患に関する罪」という章にあった条項である。まず章の全体を示してみよう。

―――――――――――――――――――――――――――――――
第三章 外患に関する罪
(外患誘致)
第八十一条  外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する。
(外患援助)
第八十二条  日本国に対して外国から武力の行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えた者は、死刑又は無期若しくは二年以上の懲役に処する。
第八十三条  削除
第八十四条  削除
第八十五条  削除
第八十六条  削除
(未遂罪)
第八十七条  第八十一条及び第八十二条の罪の未遂は、罰する。
(予備及び陰謀)
第八十八条  第八十一条又は第八十二条の罪の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
第八十九条  削除
―――――――――――――――――――――――――――――――

 便宜のために算用数字で書くが、この第81条・第82条をもって、外患罪という。未遂・予備・陰謀も罰する。こうした重要なことを定めた章の中で、第83〜86条が削除されている。「通謀利敵」と題された条項である。この四条は、昭和22年、GHQの命令によって削除となった。そのまま今日まで復活されていない。原文は以下のものである。

―――――――――――――――――――――――――――――――
(通謀利敵)
第八十三条 敵国ヲ利スル為、要塞、陣営、艦船、兵器、弾薬、汽車、電車、鉄道、電線其他軍用ニ供スル場所又ハ物ヲ損壊シ若クハ使用スルコト能ハサルニ至ラシメタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ処ス
(同前)
第八十四条 帝国ノ軍用ニ供セサル兵器、弾薬其他直接ニ戦闘ノ用ニ供ス可キ物ヲ敵国ニ交付シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ処ス
(同前)
第八十五条 敵国ノ為メニ間諜ヲ為シ又ハ敵国ノ間諜ヲ幇助シタル者ハ死刑又ハ無期若クハ五年以上ノ懲役ニ処ス
(同前)
第八十六条 前五条ニ記載シタル以外ノ方法ヲ以テ敵国ニ軍事上ノ利益ヲ与ヘ又ハ帝国ノ軍事上ノ利益ヲ害シタル者ハニ年以上ノ有期懲役ニ処ス
―――――――――――――――――――――――――――――――

 敗戦によってGHQが占領していた間、日本は主権を喪失していた。占領期間は、国を守る国家組織は存在してはならず、軍事的武装解除を定める条約として、GHQは現行憲法第9条2項を、事実上命令した。また、刑法第83条、第84条は、軍事に関するものゆえ、削除させられた。同時に、外国人の国内での諜報活動や外国への日本国民の通牒から国を守る対抗諜報(防諜)等の行動も組織も禁止された。それが、第85条、第86条の削除の理由である。
 アメリカは、占領解除と同時に、日本が刑法第83〜86条をすぐ復活できるように、削除のままにした。ところが、独立回復後、左翼の学者らが、通牒利敵条項の復活を阻止してきた。そのうえ、保守の政治家も条項を復活する大切さを忘れたまま、現在に至っている。これらの条項の復活なしは、わが国は独立主権国家としての主権を完全に回復したとは言えない。

 私は、特に第85条、第86条の復活が重要と思う。復活の際は、現行刑法に合わせて、一部の用語を修正し、以下のようになるだろう。

―――――――――――――――――――――――――――――――
第八十五条 敵国のために間諜をなし、又は敵国の間諜を幇助した者は、死刑又は無期若くは五年以上の懲役に処する。
2 軍事上の機密を敵国に漏泄した者についても、前項と同様とする。
第八十六条 第八十五条に記載した以外の方法を以て敵国に軍事上の利益を与え、又は日本国の軍事上の利益を害した者は、二年以上の有期懲役に処する。
―――――――――――――――――――――――――――――――

 国家安全保障を強化するために、上記の条項の復活は、不可欠である。こうした刑法改正の上に、はじめてスパイ防止法の制定も意味を持つ。
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ber117

 

國神社へ行こう!

2001.8.21

 

あなたは國神社に行ったことがありますか。

國神社を語っていながら、実は自分は行ったことのない人が多いようです。かく言う私自身、最初は大東亜戦争の戦死者が祀られている所というイメージを持ち、「戦争」「右翼」を連想して、敬遠していました。身近に戦死した係累もないので、関心もありませんでした。しかし、ある時、吉田松陰、坂本竜馬、高杉晋作などの維新の英雄たちが祀られていることを知り、意外に思いました。そこで初めて由来を知り、自分で参拝してみて、ようやく蒙を啓(ひら)かれたのです。

 

●創建の由来

 

國神社は、大東亜戦争で戦死した人たちだけを祀る神社ではありません。こんな基礎知識さえあやふやな人が、國廃止論を唱えていたりします。

國神社の創建は、明治2年(1869)。明治天皇の思し召しにより、幕末維新の戊辰戦争で亡くなった人たちを祀るためでした。最初は東京招魂社と呼ばれましたが、明治12年に國神社と改称されました。その後、ペリーの黒船が来航して以来、国内の戦乱に殉じた人たちを合祀するようになり、また、外国との戦争で日本を守るために斃(たお)れた人たちが祀られることとなりました。その中には、兵士だけでなく従軍看護婦、空襲で亡くなった老人や女性や子どもたち、さらに台湾人兵士なども祀られています。現在は、およそ246万余柱(はしら)の人々が、國に祀られています。

まさに國神社は、日本の近代の歴史を象徴する場所とも言えるのです。

 

●国家指導者の迷走

 

 占領下にあった日本は、昭和27年4月28日、講和条約の発効をもって、悲願の独立を回復しました。その前年、講和条約の締結が成るや、時の首相・吉田茂は、國神社に参拝し、英霊に奉告しました。以後、歴代の首相が参拝しました。首相が参拝することを問題にする外国もありませんでした。

 

ところが、三木武夫首相が「私人」としての参拝を強調したため、事がややこしくなり、昭和60年8月、中曽根康弘首相が、首相としての資格で「公式参拝」したところ、中国政府などが強い不快感を表明するようになりました。中曽根首相は、変則的な参拝をしたあげく、参拝を取りやめてしまいました。この政治家の大きな汚点といえましょう。

以来、中国共産党政府は、我が国に対し、國神社が「A級戦犯」(戦勝国が違法に決め付けたもの)を合祀しているということを理由に、首相の「公式参拝」をさせないように圧力を掛けるようになりました。韓国も同様です。対日外交のカードとして使っているわけです。日本の多くのマスコミはこれに同調し、世論を誘導しています。

 

 そういうなか、平成8年7月に橋本龍太郎首相は、國神社に参拝したのですが、与党内にはこれに支持・応援がなく、再び首相の参拝が行われなくなってしまいました。そして、平成13年、圧倒的な国民的支持を集めて登場した小泉純一郎首相は、8月15日に、國神社に参拝することを公約し、正常化に大きな期待が寄せられました。しかし、小泉首相は中国・韓国の外圧に屈し、当日を避けて参拝するという、中途半端な選択をしました。

 

●英霊の慰霊は世界の常識

 

終戦の日に首相の参拝がされていない理由は、近隣諸国の感情に配慮してといわれていますが、実質的には中国政府の内政干渉に、過剰反応しているためです。

国を守るために亡くなった戦没者を、国家が慰霊するのは、どこの国でも行なっていることで、世界の常識です。戦没者の慰霊は、純然たる国内事項であり、どこの国でも、その国の伝統的に基いて行なっています。他国がどうこう言うべき事ではありません。また、憲法の政教分離の原則に違反するという見方もお粗末な謬説です。アメリカは正教分離の国ですが、戦没者が眠るアーリントン墓地では、キリスト教に基く儀式が行われ、大統領が参加しています。

 

●求められるのは、首相の決断

 

こうした事を見れば、日本の首相が、國神社に参拝し、日本の伝統に基く慰霊の儀式に参加するのは、当然のことです。

小泉首相に対し、石原都知事は、東京都知事として、國神社に参拝することを公言し、終戦の日、國神社に参拝しています。平成12年の参拝の模様は、当日17:00からの日本テレビのニュースで放送されました。石原氏が國神社に見えると、沿道の人々から歓声が上がり、「よく来た」「よくやった」と声が飛びました。これは多くの人々の声を代弁したものでしょう。都庁の調査によると、都民の8割は知事の公式参拝に賛成とのことです。また、首相の公式参拝を望む国民は6〜7割にのぼり、反対は1割しかいません。

首相の参拝は、憲法上、全く問題のないことです。必要なのは、外国の干渉やマスコミを恐れずに、正しいことを実行する、国家指導者としての勇気と決断のみです。

 

●日本の再生のために

 

一国の指導者が、国家・国民・子孫のために命を捧げた人たちを、ないがしろにしているようでは、どのような改革も成功できるはずがないと私は思います。また、国民が國神社の意義を忘れ、英霊に対する感謝や尊敬を失っているのは、日本の国家の来歴と、国民の魂を忘れることです。こうした状態が続けば、国民の道徳は低下し、青少年の心は荒れ果て、国が衰えるのは避けられないと思います。

 

國神社に対して正しい認識を持つことは、日本の国のあり方を考える上で、必要かつ大切なことです。

國神社に行ったことの無い人は、一度足を運び、英霊の残した遺書をじっくり読んでみてください。行ったこともなく、読んだこともなく、良し悪しを論じる愚は、避けたいものです。

まだ國神社に行ったことのない人は、まず自ら参拝され、あらためてこの問題を考えることを、お勧めします。ページの頭へ

 

詳しくは、「慰霊と國〜日本人を結ぶ絆」をお読み下さい。

 

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■令和の時代にこそ、憲法を改正し日本の再建を〜外国人材受け入れ拡大とアイヌ新法

2019.7.1

 

はじめに

 私は、令和元年(2019年)5月下旬から6月中旬にかけて、鎌倉と新潟で、「令和の時代こそ日本の再建を〜外国人材受け入れ拡大とアイヌ新法」と題して講演を行った。その要旨を掲載する。

 

1.御代替わりと世界に比類ない国柄

5月1日、皇太子殿下が天皇に即位され、令和の御代が始まった。

御代替わりに伴い、元号が改まった。この度は、202年ぶりの天皇の譲位に際し、新元号が前以って発表された。

 元号は、シナに由来するが、わが国では645年に「大化」の元号が建てられたのがはじめで、今日まで1300年以上も続いている。「大化」から数えて「令和」は248番目にあたる。元号制度の歴史で初めて、国書である万葉集が典拠とされた。「初春の令月にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ」から来ていると説明された。

「令」の文字が元号に用いられるのは、初めてという。『漢字源』という漢和辞典によると、もとは「こうごうしい神のお告げ」を意味するという。字の形は、△印は「おおいの下に集めること」を示し、下の部分は「人のひざまずく姿」を表す。「人々を集めて、神や君主の宣告を伝えるさまをあらわす。清く美しいの意を含む」と説明している。こうした意味を持つ文字が、今回は新たな元号に使われた。これから昼の時代を迎える時期に、こうした元号が定められたことは、まことにふさわしい。

さて、新帝陛下は、神武天皇以来、第126代に当たる。一系の皇統が古代から今日まで続いていると信じられている。日本の皇室は、一説によると、紀元前660年から今日まで2679年という悠久の歴史を誇っている。欧州には国王がいる国がイギリス、スペイン、オランダ等あるが、その歴史はせいぜい数百年でしかない。古代から今日まで、皇室を民族の中心と仰ぐ日本の国柄は、世界に比類のないものである。

現在皇位継承に伴う様々な儀式が行われているが、10月22日には「即位礼正殿の儀」が執り行われ、天皇陛下が高御座(たかみくら)に立ち、国内外の賓客に即位を宣言される。また「祝賀御列の儀」が催され、陛下はパレードで国民の祝福を受けられる。また26日には、一般参賀が行われ、天皇陛下は国民の祝福をお受けになる予定である。
 御代替わりにおいて最も重要な儀式は、「大嘗祭」である。11月14〜15日に、大嘗祭の主要儀式である「大嘗宮の儀」が執り行われ、新帝陛下は神前に新穀を供え、国の安寧や五穀豊穣を感謝し、祈りを捧げる。
 こうした一連の厳粛・盛大・華麗な儀式は、世界の人々から注目を集め、日本の国の伝統・文化・国柄のすばらしさが大きな感動を呼ぶことになるだろう。こうした意義深き時に臨み、日本人は日本精神を取り戻し、またその真髄を学ぶ人が増えることが期待される。

 

2.外国人材受け入れ拡大には危険性が

本年秋は、皇位継承に伴う儀式が世界の関心を集める。来年は東京オリンピック・パラリンピック、令和7年(2025年)は大阪万博が行われ、日本はますます世界から注目されることになる。その一方、わが国は多くの問題を抱えており、さらに新たな問題が生じてもいる。その新たな問題の中に、外国人材受け入れの拡大とアイヌ問題がある。

 近年、日本で働く外国人が目立って増えている。平成30年(2018年)10月時点の外国人労働者は、146万463人で過去最高を更新した。10年間で3倍に増えた。その多くは、中国人である。

政府は、さらに外国人労働者を多く受け入れるために出入国管理・難民認定法、いわゆる入管法の改正を進めた。本年4月、改正入管法が施行された。

これまで日本は、外国人労働者の受け入れを高度な専門的な能力を持つ人材に限っていた。だが、改正入管法によって、外国人政策を大きく転換し、比較的単純な仕事のできる外国人の受け入れを積極的に拡大することになった。

受け入れを拡大するのは、農業や介護、建設、造船、宿泊などの14業種である。理由は、人手不足が深刻な産業分野だからという。政府は、本年度からの5年間で最大34万5,150人を上限として受け入れるとの方針を示している。

日本で外国人が生活や労働の出来る資格を、在留資格という。改正入管法は、新たな在留資格を設けた。「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ者には、「特定技能1号」の資格を与える。在留期間は通算5年で、家族の帯同は認めない。さらに高度な技能を持つ者には「特定技能2号」の資格を与える。2号は、長期在留や家族の帯同が認められる。現行法では、日本に10年在留すれば、永住権を獲得できるようになる。

入管法改正への動きは、唐突で拙速で杜撰だった。国会に法案が提出されると、多くの問題点が指摘された。最終的な見込み人数は何人か。日本人と仕事の奪い合いになる恐れはないか。外国人労働者の医療、健康保険などのコストをどうするのか。地方の人手不足は解消されないのではないか。不法滞在・不法就労、犯罪、トラブルが増加するのではないか等々である。だが、それらの問題点の多くが解消されないまま、短時日で入管法の改正が決議された。

多くの問題点が上がったように、改正入管法は国民生活に大きな影響をもたらすことは、明らかである。とりわけ大きな問題点は、ある程度の技能を持つ外国人には、永住への道が開かれることである。

日本は「和」を尊ぶ国柄で、古代から外国人が渡来すると、これを受け入れ、日本の社会に同化させてきた。だが、これまでは外国から入ってくる人数が少数だった。受け入れる人数が多すぎ、かつあまりにも急速に増えた場合は、同化しきれなくなる。受け入れ人数制限を厳しくし、際限なき増加を防ぐための具体的な措置を講じなければならない。

外国人材の受け入れ拡大がなし崩し的に進められれば、実質的な移民拡大になり、日本は移民国家に変貌していく恐れがある。特に注意すべきは、入ってくる外国人労働者の多くは、中国人となることが確実であることである。

ヨーロッパ諸国は第2次世界大戦後、安い労働力として、アジア、中東、北アフリカ等から外国人移民を多数受け入れた。それは、大失敗だった。移民の多くはイスラーム教徒で、キリスト教文化を受け入れず、文化摩擦が強まり、犯罪やテロが蔓延するようになった。

ましてわが国は、世界最大の人口を持つ共産主義国家、中国から多数の外国人が入ってくる。そうなると、ヨーロッパ諸国以上の混迷に突入するおそれがある。

中国では平成22年(2010年)に国防動員法が施行された。緊急時には海外在住の中国国民も動員に応ずることが義務づけられた。仮に日中が紛争状態に陥った時、在日中国人は、中国共産党の命令に従って動く。自衛隊や米軍の活動を妨害するために、集団的に行動するだろう。これは、日本の安全と国益にとって重大な問題である。

 

3.アイヌ新法は日本を分断し、亡国に導く

 次に、平成31年(2019年)4月19日に「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」が成立した。アイヌ施策推進法と呼ぶ。

同法は、法律として初めてアイヌを「先住民族」と明記し、独自の文化の維持・振興に向けた交付金制度を創設すること等を定めた。政府は、同法のもとにアイヌ政策推進本部を設置し、政府や自治体の責任で産業や観光の振興に取り組み、アイヌ以外の国民との共生や経済格差の是正を図るとのことである。「先住民族」と法律に規定したことによって、今後多大な影響が予想される。私は、慰安婦問題以上の国際的な問題に拡大していくだろうと懸念する。

アイヌは、特色ある文化を持ち、北海道の観光地で親しまれている。自然と共生する民族というイメージを持っている人も多いだろう。

実は、アイヌが北海道の歴史に現れるのは、13世紀のことである。それ以前には、5世紀からオホーツク人の文化、7世紀から北海道縄文人の擦文文化があった。これらが突然消滅して、アイヌが登場した。

 『日本書紀』は、7世紀後半に阿倍比羅夫が、北海道の蝦夷を服属させ、粛慎(オホーツク人)を平らげたと記している。7世紀後半に北海道に先住していた者がいたこと、大和朝廷は北海道を平定し、これを日本の一部としていたことがわかる。

かつては、アイヌ民族は縄文人の子孫であり、原日本人であるという見方が定説のようになっていた。だが、近年遺伝子の研究が進み、アイヌは、北海道縄文人の単純な子孫ではないことがわかった。その一方、オホーツク人とは遺伝的に近いこともわかった。そこで、アイヌはもともと日本に住んでいたのではなく、大陸や樺太から来て、オホーツク人や擦文文化人を滅ぼして、北海道に広がったのではないかと考えられる。アイヌの熊送りの儀式が北海道縄文人や東北地方には見られず、ユーラシア大陸の狩猟民族の典型的な宗教文化であることと符合する。

仮にアイヌは縄文人の子孫であるとしても、日本人のほとんどは縄文人の子孫であるから、アイヌは日本民族と別の民族ではなく、アイヌを先住民族と規定するのは、間違いとなる。逆に、アイヌが700〜800年ほど前に大陸から侵入した民族だとすれば、北海道には別の民族が先住していたので、アイヌは先住民族ではない。どちらにしても、アイヌを先住民族と規定するのは間違いということになる。

ところで今日、誰がアイヌかを認定するのは国でない。アイヌの団体である北海道アイヌ協会が認定している。アイヌ協会の理事長が承認すれば、アイヌと認められる。アイヌ協会は、「アイヌの血を引くと確認された者」だけでなく、その配偶者・子孫、養子縁組による者にまでアイヌと認定している。アイヌと認定されると、異常に手厚い社会保障を受けることができる。アイヌ協会が認定すれば、アイヌの血を引いていなくとも誰でもアイヌになれるから、アイヌ新法のもと、全国で補助金目当てのにせアイヌが増えるだろう。北海道には、アイヌが約1万3千人いる。東京は、以前は3千人弱だった。ところが、今では東京に、7万5千人のアイヌがいることになっている。これは北海道のアイヌの約5倍である。

アイヌの団体であるアイヌ協会には、様々な問題があることが指摘されてきた。アイヌ協会は、補助金の不正支出や使途不明金が多い。協会の役員が大学の修学資金、就職支援金、住宅購入の貸付金等を不正受給していたことも発覚している。だが、彼らは逮捕も訴追もされず、マスコミも取り上げない。また、アイヌ協会は、左翼の過激派や在日韓国人・朝鮮人、旧部落民等の団体と結びついており、政治的に非常に偏向している。

アイヌ新法のもと、補助金等の不正支出・不正受給や政治的な偏向などアイヌ協会の問題が全国に拡大されるだろう。また、アイヌは先住民族だと法律に定めたことにより、一部のアイヌが「和人はアイヌに土地を返すべきだ」「謝罪と賠償を要求する」などと言い出すだろう。さらに、自治権や日本からの独立を要求することが予想される。外国勢力や反日勢力は、こうした動きを後押ししている。

特に中国共産党は、早くからアイヌに目をつけてきた。昭和47年(1972年)の日中友好回復の前の年に、アイヌを中国に招いた。すると、アイヌは中国を素晴らしい国だと思うようになった。その後、中国共産党は何度もアイヌを呼んで洗脳したので、アイヌ協会は中国共産党と密接な関係がある。

中国は、北海道の各地で土地を買収し、多額の資本を投資し、また北海道に多くの中国人を送り込んでいる。北海道の水や農産物、鉱物資源等に目をつけ、北海道の支配を狙っている中国にとって、アイヌの自治区創設ほど都合の良い話はない。アイヌに自治区をつくらせ、さらに独立運動を起こさせて、北海道を分断して支配し、さらに日本の支配を進める足掛かりとすることを警戒しなければならない。

こうしたアイヌに関する問題を知っている国民は、まだほとんどいない。アイヌ新法をそのままにしておくと、日本は内部から分断され、亡国の道へ進む危険性がある。

 

4.憲法改正による国家再建が一層急務に

 日本を揺るがす新たな問題として、外国人受け入れ拡大とアイヌ新法について述べた。マスメディアは、これらの問題について、ほとんど国民に伝えていない。

外国人材受け入れ拡大で多数の外国人が入ってきて、ヨーロッパ諸国以上の混迷に突入するおそれがある。アイヌ新法で一部のアイヌが自治権や独立を要求し、外国勢力がそれを利用することが懸念される。

ここで真剣に考えなければいけないのは、わが国は、未だ日本人自らの手による憲法の改正ができておらず、国家の再建ができていないことである。そこに外国人、特に中国人が多数入ってきたり、一部のアイヌの過激な運動を中国が後押ししたりすれば、日本の危機は強まる。

わが国は、戦後、外国から憲法を押しつけられ、それを今日まで改正できずに来ている。今の憲法には、日本の国柄・伝統・歴史が書かれていない。どこの国の憲法かわからないような内容になっている。戦勝国によって国防に規制がかかられ、自国の存立を他国に委ねさせられている。国民には、国家への忠誠や国防の義務がない。そのため、日本は独立主権国家としての要件を欠いており、日本人は国家・国民の意識が薄弱となっている。また、国を守ろうという意思が失われている。日本の安全と繁栄のためには、この憲法を改正して、国のあり方を根本から立て直すことがどうしても必要である。

移民受け入れ拡大を決め、またアイヌを先住民族と規定してしまったからには、憲法の改正を急ぎ、国のあり方を根本から立て直さなくてはならない。私は、入管法の改正、アイヌ新法の制定によって、憲法改正の重要性が一層高まったと考える。自衛隊の明記、緊急事態条項の新設等だけでなく、憲法の全面的な改正が急務である。

日本はどういう国柄・伝統・歴史を持つ国であり、これからどういう理想に向かって進むのか。それを憲法に書き込むこと。それが、日本人の国家・国民の意識を高める。また、外国人が日本の一員となる場合、日本の国柄・伝統・歴史を学んで、日本の平和と繁栄のために貢献する国民となってもらうことにもつながる。

これを欠いたまま、外国人労働者を多数受け入れ、永住権を持つ者を増やしたり、アイヌの自治区をつくったりしてしまうと、日本は独自の国柄・伝統を失い、ますます衰退してしまうだろう。

また、憲法の改正において、国民には国防の義務と国家への忠誠の義務があることを定めるべきである。憲法に国民には国防の義務があると定めないと、日本国籍を取った外国人が、元の祖国と日本の間で紛争が起った時に、元の祖国のために裏切り行為をする可能性がある。アイヌの場合も、先住民族を理由として、外国勢力と通じ、日本の国益に反する行動をするおそれがある。また、わが国には、スパイ防止法がなく、スパイ天国といわれる。憲法に国家への忠誠の義務を定めないと、外国人が日本国籍を取って元の祖国を利するためにスパイ行為をする可能性がある。

憲法をしっかり改正しないまま、外国人を多数受け入れて好き勝手に行動させたり、先住民族だとして権利をどんどん拡大してしまうことは、日本の自滅行為である。

 

結びに

安倍首相は、本年(2019年)1月30日通常国会の代表質問に答えて、憲法改正の必要性を訴えた。自民・維新は前向きだが、公明・立民は憲法改正に触れもしなかった。4月に衆院憲法審査会がようやく開かれたが、ほとんど内容のある話はされていない。国民は国会で憲法改正の議論がされるように求めていかなければならない。本年7月に参議院議員選挙がある。自民党は、公約に「早期の憲法改正」を盛り込んだ。これまで以上に踏み込んだ表現である。参議院は任期6年で、半数ずつ改選がされる。憲法改正に必要な改憲勢力が3分の2以上の議席を維持できないと、以後、3年間は憲法改正ができなくなる。逆に国政選挙のたびに、国民が正しい選択をして、憲法改正反対勢力を国会から除いていかねばならない。

この令和の時代に、日本精神を取り戻し、日本人自身の手で新しい憲法をつくり、日本の再建を進めよう。ページの頭へ

 

関連掲示

・拙稿「外国労働者受け入れ拡大で、日本の再建が一層の急務

・拙稿「アイヌ施策推進法は改正すべし〜その誤謬と大いなる危険性

・拙稿日本国憲法は亡国憲法――改正せねば国が滅ぶ

・拙稿日本再建のための新憲法――ほそかわ私案

 

ber117

 

■ホルムズ海峡で緊張増大〜自国の船は自国で守れ

2019.8.17

 

●はじめに

 

 米国とイランの関係が悪化し、ホルムズ海峡の緊張が増大している。わが国は、これにどのように対処するかを決定し、すみやかに実行すべきである。報道によると、政府は、米国が呼びかける有志連合には参加せず、かといって自衛隊の護衛艦を送って自国の船舶を守るのではなく、海上自衛隊のP3C哨戒機等を派遣して、他国に情報提供をするという方針を検討しているという。そこにないのは、自国の船舶や船員は、自国で守るという国家として当然の姿勢である。

 

●米国とイランの関係悪化

 

 イランは、イスラーム文明の地域大国であり、中東の強国である。イランは、宗教的に対立する核保有国イスラエルに対抗し、またイスラーム教内で宗派の違うスンナ派諸国より優位に立つため、極秘に核開発計画を進めていた。そのことが発覚し、2015年7月、イランと、核兵器保有の阻止を目指す米英仏独中ロの6カ国が合意を結んだ。これによって、イランは、濃縮ウラン貯蔵量の削減や兵器級プルトニウム生産の禁止、査察強化などを受け入れた。2016年1月、国際原子力機関(IAEA)が「イランは合意を履行している」と発表したので、欧米諸国は見返りとして経済制裁を解除し、イランは原油や天然ガスを輸出できるようになった。

 だが、トランプは2016年の大統領選挙期間中から、この合意が核開発の制限を一定期間後に解除し、ミサイル開発を黙認していることなどから、「最悪の取引(ディール)」と批判し、オバマ前大統領の政策を転換すると公約していた。

 その公約通り、トランプ大統領は2018年5月、イランとの核合意からの離脱を宣言した。同年8月7日、制裁の一部を復活させ、昨年11月までに、イランの石油輸出、船舶、金融など、米国政府が「経済の重要部門」と位置づけるものすべてを対象として制裁を発動した。イランにとっては、非常に厳しい経済制裁である。

 トランプ政権は、核・ミサイルの開発を続ける北朝鮮に経済制裁で「最大限の圧力」をかけて、歴史的な米朝首脳会談を実現させた。イランに対しても制裁を再開することで、譲歩を引き出そうとしている。トランプ政権は、イランが貿易や金融取引で得た外貨を核開発に使っていると見ており、その資金源を断つのが直接的な狙いである。

 トランプ政権は、イランに対して12項目の要求を突き付けている。その内容は北朝鮮への要求よりはるかに厳しい。核開発の活動の恒久的な破棄、ウラン濃縮停止・プルトニウム抽出の再処理の禁止、核兵器搭載可能なミサイルシステムの開発の停止等で核開発を完全に断念させるだけでなく、中東のテロ集団への支援の停止、シリア全域からのイランが指揮する全ての部隊の撤退、タリバン・アルカイダ他のテロリストへの支援の停止、イラン革命防衛隊によるテロリストや軍事パートナーへの支援の停止、米国の同盟国等の近隣諸国に脅威を与える行為の停止等をも要求している。最後の近隣諸国にはイスラエルやサウジアラビア等を含む。

 今回のイランに対する制裁の再開においては、アメリカ企業に対して指定された分野の物品の輸出を禁止するだけではない。外国企業も同じ分野でイランと取引すると、制裁の対象になる。これには、日本企業も含まれる。

 日本は、イランとの核合意に参加していない。また、イランとは友好的な歴史を持ち、原油も輸入している。イラン産の割合は5.5パーセントだが、日本は調達先の多様性を確保することに重きを置いている。

 米国は2018年5月イラン核合意から離脱した後、同年11月5日以降にイラン産原油の取引を続ける企業に対して制裁を加えると表明した。日本はこの要求に迎合せず、制裁対象から日本企業を除外するよう求め、米国はこれを受け入れた。日本を含む8カ国・地域に対して、制裁の適用除外措置がとられた。一定期間の間、除外するという措置である。ところが、本年(2019年)4月、米国は、日本を含む5カ国への適用除外措置を撤廃すると発表し、5月1日までにイラン産原油の輸入を全面停止するよう求めてきた。措置対象国のうち3カ国は既に除外措置が打ち切られていた。措置が撤廃されれば、イランから原油を輸入すれば、米国の制裁措置の対象となる。

こうしたトランプ大統領のイランへの強硬な姿勢は、来年11月に行われる大統領選挙対策でもあると見られる。トランプ大統領の支持層には、イスラエルに有利な政策を要求して巨額の政治献金をするユダヤ系勢力や米国人口の4分の1を占める親イスラエルのキリスト教右派等がある。彼らのようなコアな支持層を固めて、2期目となる選挙で優位を確保するという目論見である。

 

●ホルムズ海峡に緊張高まる

 

 こうした状況において、6月13日ホルムズ海峡近くで日本とノルウェーのタンカー2隻が何者かによって攻撃を受けた。安倍首相がイランを訪問し、米国とイランの間の緊張の緩和を図っていたまさにその時の出来事だった。同月20日には米国の無人偵察機グローバルホークがイラン付近の海上で撃墜された。これによって、米国とイランの間の緊張が一層高まった。米国とイランの主張は真っ向から対立しているが、いずれもイランの革命防衛隊の関与が疑われている。7月11日には、イギリスのタンカーがイランの革命防衛隊によって拿捕されかかった。イギリスの護衛艦がタンカーを守ったが、もしそのような機動力を持たない国のタンカーが狙われたら、大きな事件になるところだった。今度は、イランの革命防衛隊が動いた。そこには、明らかに挑発的な意図が感じられる。革命防衛隊は、国家に所属する軍隊である。イラン政府の中枢と直結する組織と見られる。アメリカの経済制裁がこれまで以上に効いてきており、武力で対決することで窮地を打破しようとする意図があるのではないか。

 ホルムズ海峡は、世界の原油の約2割が通過する国際的な大動脈である。とりわけわが国にとって、原油輸入量に占める中東依存度は約88%を占める。ホルムズ海峡を通過する日本企業の船舶は年間に延べ1700〜1800隻とされ、そのほとんどがタンカーである。安全にタンカーが通行できない状態になれば、わが国の経済及び国民生活への影響は極めて大きい。石油の備蓄量は、国家備蓄と民間備蓄の合計で222日分とされる。

 ホルムズ海峡で紛争が起こったり、この海峡が封鎖されるような事態が生じたら、いずれ日本の死活問題になる。ホルムズ海峡をめぐる国際間の緊張増大は、遥か遠い彼方の事案ではなく、すぐそこで起こっているのと同じか、それ以上の影響力を持つ事案であることを、日本人はしっかり認識する必要がある。

 

●緊張増大にどう対応するか

 

 米国は、イラン沖のホルムズ海峡などを通過する民間船舶を護衛するため、同盟諸国との有志連合の構想を打ち出している。7月25日ポンペオ米国務長官は、「ホルムズ海峡の開かれた通航が確保されていることで利益を得ている各国は(構想に)参加する必要がある」として、日本や英仏独、ノルウェー、韓国、オーストラリアなどに参加を要請している。トランプ政権は今回の構想について、イランの核保有阻止に向けた圧力政策とは無関係だとしている。

 米国の動きに対し、イランは、日本や英独仏等に対し、「ペルシャ湾の緊張緩和につながらない。イランは歓迎しない」と外交ルートで通告し、有志連合に参加しないよう促している。日本は、唯一の同盟国である米国と伝統的な友好国であるイランの板挟みの形となっている。これらの国々との関係を考慮しつつ、いかにして自国の船舶を守るかを決めて対応しなければならない。

 

 基本的な選択肢は、外交による解決を図るか、自国船舶警護の行動を起こすかにある。

 外交による解決は、日本が米国とイランの間に立って、両国を合意に促すことである。これは、容易な課題ではない。基本的な問題はイランが核開発をしてきたことにある。これに対して、核兵器保有の阻止を目指す米英仏独中ロの6カ国がイランと合意を結んだのだが、日本はその合意に参加していない。言い換えれば、当事者ではない。トランプ大統領はオバマ前大統領が行った対イラン合意に不満を表し、イランへの経済制裁を再開した。日本は、トランプ政権を対イラン合意に戻させるだけの対応ができるだろうか。これはイランに対して、米国政府が納得するような対応を約束させることと、米国政府に対して、その約束を受け入れさせることの両方ができなければならない。

 安倍晋三首相は6月にイランを訪問し、ロウハニ大統領、ハメネイ最高指導者と会談して米国との対話を促した。だが、ハメネイ最高指導者との会談の当日に、日本関連のタンカーが何者かによって襲撃された。私は、このことが示しているのは、本件は日本の外交力の範囲を超えているということだと思う。安倍氏は、現在世界で最も外交手腕が優れている指導者として、各国指導者から尊敬を受けている。しかし、その安倍氏によっても、本件は日本の外交力で解決に導ける課題ではないということである。日本のタンカーが何者かによって襲撃された件について、米国はイラン側の仕業だと発表した。だが、わが国の政府は、何者の仕業であるか不明だとして、これを公式見解だとしている。イラン側の仕業とみなせば、イラン政府から日本は米国と一体だと見られて関係が悪化することを恐れたものだろう。イランの指導層は長期的に安定した体制ゆえ、劇的に政策が変わる可能性は小さい。一方、米国は来年11月に大統領選挙があり、もしトランプが再選に失敗し、大統領が替わったら、大きく政策が変更される可能性はある。現状では、50%前後だろう。だが、この可能性は、わが国の外交とは直接関係がない。

 それゆえ、わが国にとっての選択肢は、自国船舶警護の行動を起こすことしかないと私は考える。何も行動しないとすれば、日本は自国の船舶や船員を守る意志のない国家だということになる。他国の軍隊に自国の船舶や船員を委ねることになる。だが、トランプ大統領は、各国はホルムズ海峡を通る船舶を自分で守れという姿勢であるし、他の国も危険を冒して日本の船舶を守ってくれるとは限らない。

 私は、自国の船舶を自らの力で守ることをせず、他国の軍隊に自国の船舶を委ね、それを金銭を支払って護衛してもらうなり、結果とて守ってもらった場合に金銭で解決するのは、最悪の道だと考える。独立主権国家として、恥ずべき行為であり、国際社会での信頼は再び地に落ちる。再びとは、湾岸戦争の時の国辱の再現という意味である。その時の反省をもとに、わが国は、自衛隊を国連平和維持活動に参加するようにし、モザンビーク、南スーダン、イラク等に自衛隊を派遣してきた。平成21年(2009年)からは特別立法で海賊対処法を制定し、アフリカ・ソマリア沖などの海賊対策として、外国船を含む民間船舶を護衛するために海上自衛隊を派遣している。こうした活動によって、わが国は、ようやく国際社会の信頼を獲得できるようになった。この信頼を再び失うようなことをしてはならない。勇気がなく、自分を守ることしか考えず、最後は金で解決しようとするような人間を誰が信頼してくれるか。

 

●日本の船舶は自国で守れ

 

 では、具体的に自国船舶警護のため、どのような行動をとるべきか。

 8月6日付の産経新聞は、一面トップで「ホルムズに自衛隊『独自派遣』 政府検討 哨戒機で警戒監視」という記事を掲載した。

 「政府が中東・ホルムズ海峡での航行の安全確保に関し、自衛隊の独自派遣を軸に検討していることが分かった。米国が呼びかける有志連合への参加は法的なハードルが高い上、イランとの関係悪化も避けられないため、自衛隊単独での警戒監視や情報収集などを通じ日本の役割を果たす方針だ。複数の政府関係者が5日、明らかにした。

 派遣する場合は、海上自衛隊のP3C哨戒機などが有力で、護衛艦といった艦船は送らない方向だ。艦船の場合、軍事衝突に直接巻き込まれるなどの可能性があるため。活動は防衛省設置法の「調査・研究」に基づく情報収集や警戒監視などが想定されている。

 派遣地域はホルムズ海峡のほか、海賊対策にあたるため自衛隊が拠点を置いているアフリカ東部ジブチに近いバベルマンデブ海峡も選択肢に浮上している。

 米国は日本を含む同盟諸国に対し、ホルムズ海峡などでの航行の安全確保に向けた有志連合への参加を呼びかけている。ただ、日本には法的な課題が大きい。海賊対処法は他国船を含めた民間船舶を警護できるが、海賊対策に限られる。政府は6月にホルムズ海峡で日本のタンカーを攻撃した主体を特定しておらず、根拠にするのは難しい。

 自衛隊法に基づく海上警備行動は、日本と無関係の外国船舶は護衛できず、武器使用の権限も正当防衛や緊急避難など警察権の範囲に限られる。安全保障関連法に規定される重要影響事態や存立危機事態には厳格な歯止めがあり、認定される可能性は低い。

 イランとの関係悪化も懸念される。政府関係者は「米国が主導する有志連合に加わればイランとの関係が損なわれ、かえってエネルギー安全保障が脅かされる可能性もある」と語る。

 一方、原油輸入の9割近くを中東に頼る日本にとって重要なシーレーン(海上交通路)のホルムズ海峡で何も対応しないわけにはいかず、単独で空から収集した情報を米国や有志連合に提供する形で貢献する案が有力となっている。政府は現地の情勢を注視しながら、引き続き具体的な対応策を検討している」。

https://www.sankei.com/politics/news/190806/plt1908060004-n1.html

 

 何もしないわけにはいかず、米国が呼びかける有志連合への参加は法的なハードルが高いし、イランとの関係悪化も避けられないから、自衛隊単独での警戒監視や情報収集などを通じて日本の役割を果たすという案である。私は、ここにないのは、自国の船舶や国民を自ら守るという、国家として最も大切な姿勢だと思う。また、他国に単に情報を提供するだけで、相手国はよく貢献してくれたとして、日本の船や船員を危険を冒して守ってくれるだろうか。虫のいい話だと思われるだけではないか。

 私は、わが国がとるべき行動は、日本独自に自衛隊を派遣して自国船舶を護衛するか、米国主導の有志連合に参加して他国と連携して警護するかのどちらかであると考える。

 日本独自に自衛隊を派遣して自国船舶を護衛する方法として、すぐできるのは、自衛隊法に基づく海上警備行動で海自護衛艦などを派遣することである。

 海上警備行動は、海上での人命や財産を保護する必要が認められる場合、首相が承認し防衛相が発令できる。対象は、原則的に、日本関連船舶で日本が仕向け地であれば、乗組員に日本人がいなくても警備できる。武器使用は正当防衛・緊急避難等の必要最小限に限られる。

 ただし、日本が独自に警備行動を行うのだから、有志連合に参加した場合との違いが出る。元海将の香田洋二氏は、「各国と情報を共有できず、運航統制も利かなくなる」と指摘する。

 この点を考慮するならば、米国主導の有志連合に参加して他国と連携して警護する方法を検討すべきである。ただし、有志連合の内容をよく検討し、米国が呼びかけている国々の態度も見て判断すべきである。わが国が最優先に追求すべきは、自国の国益であり、米国の国益への奉仕ではない。また、トランプ政権に引き回されるのではなく、トランプ政権が暴走しないように制御することが必要である。

 有志連合に参加する場合、まず自衛隊法に基づく海上警備行動を発令し、その行動範囲に限って、他国軍と連携する方法が考えられる。これによって、他国軍と連携することによって、互いに情報の提供をし合って船舶警護を行うことができる。だたし、警護の対象は、原則的に日本関連船舶に限り、武器使用は正当防衛や緊急避難など必要最小限に限られる。それゆえ、民間船舶を襲う相手側の出方によっては、適切な警護ができない事態が考えられる。

 そこで、とりあえず海上警備行動で発令するとしても、事態が長期化する可能性と悪化する可能性の両方を想定して、特別措置法をつくって対応することを検討する必要があると私は考える。

 これまで自衛隊に海外で危険な任務を遂行させる場合、期限を区切った特別措置法を制定し、武器使用の条件を緩和し、有効な活動ができるようにしてきた。ホルムズ海峡というわが国の生命線となるシーレーンの防衛のためには、それ相応の特措法をつくって対処すべきである。政府は、状況に応じて、すみやかに特措法を制定できるよう準備を進めておく必要がある。

 さらに、今後もしホルムズ海峡で国際的な紛争が発生した場合、平成27年(2015年)成立の安全保障関連法の適用が検討されよう。日本への武力攻撃に至るおそれがある「重要影響事態」と判断すれば、自衛隊は補給や輸送活動を通じて米軍や多国籍軍を後方支援できる。また、「存立危機事態」と判断すれば、集団的自衛権を行使できる。こうした法的な枠組みは、一応整えられてきてはいるが、実際に重要影響事態ないし存立危機事態かどうかの検討を要する事態になった時、政府や国会が適切な対応をできるかどうかは、わが国の大きな課題である。立法段階で検討したことに漏れや甘さはなかったか、徹底的に検討し、いざという場合に備えることが必要である。

 

●専門家の見解

 

 次に、専門家の見解を掲載する。一言断っておくと、以下に掲載するのは、8月6日の産経の記事が伝えた、現在検討中という政府の方針が明らかになる前に、各専門家が発表した見解である。

 

まず、防衛の専門家として、海上自衛隊で自衛艦隊司令官を務めた元海将・香田洋二氏(元海将)は、7月26日付の産経新聞の記事で、インタヴューに答えて、有志連合に参加し、海上警備行動を発令して、海上自衛隊を派遣すべきという意見を述べている。

 

−−有志連合構想はどのような形を想定しているか

 「海上交通の安全確保と秩序維持が目的で、海峡周辺で船舶への攻撃を警戒する態勢の濃淡をなくすことを目指している。時間帯や海域によって警戒が手薄なところがあれば攻撃側はそこを突いてくるからだ」

−−具体的な運用は

 「ある海域を午前6時にA国の軍艦が自国に関係する船舶を護衛して航行し、正午にB国が同様に通り、午後6時はC国で、夜間は航行しないというように運航を統制する。タンカーや軍艦が航行する情報の共有を重視している」

「有志連合では米軍が指揮を執るのではない。指揮はその国ごとに行い、自分の国の船舶はあくまで自分の国で守る。連合作戦ではなく、個別作戦だ」

ーー日本の選択肢は

 「4つある。@日本は有志連合に参加しない、A連合に参加しないが、自衛隊を派遣して独自に守る、B参加して自衛隊を派遣、C参加するが、財政貢献だけを行うーー。Aだと各国と情報を共有できず、運航統制も利かなくなる」

ーーBが妥当だと

 「そうだ。日本の船舶や日本人の船員が危険な状況の中で日本として守ることができないというのが最悪の選択だ。米国も今は海上交通に関しては自国で面倒をみてくれという姿勢で、他の国も日本の船舶を守ってくれるわけがない」

ーー自衛隊派遣の法的根拠は

 「海上での人命・財産の保護や治安維持のため発令する自衛隊法の海上警備行動はこういう対処のためにある。(正当防衛・緊急避難で相手に危害を与える)危害射撃も可能だ。日本の船舶を守るため自衛隊の警察活動として海外に派遣することに何も問題はない。外国侵略に加担するわけではなく、憲法の制約も集団的自衛権も関係がない」

ーー海自は日本周辺の警戒監視などで運用が厳しいが、護衛艦を派遣できるか

 「大変だが、間に合わなければアフリカ東部のジブチを拠点にソマリア沖・アデン湾で海賊対処に当たっている護衛艦にホルムズ海峡周辺での警戒に当たれと命令を出し直し、護衛艦を振り向けられる。P3Cも振り向ければ広い海域を監視でき、有効だ」

ーー有志連合に参加するとイランとの外交関係が悪化するとの指摘がある。

  「自国の船舶を守るのであってイランに戦争を仕掛けているわけではない。イランは日本のタンカー攻撃を否定しているが、実際に被害が出ている。不明の脅威に対処する活動とも位置づけられる」。

https://special.sankei.com/a/international/article/20190726/0003.html

 

 次に、民主党政権で防衛大臣を務めた拓殖大学総長の森本敏氏は、7月29日付の産経新聞の記事で、日本は有志連合の構想に賛同しても良いが、実際に行動する場合には関係国の対応などを見極めながら慎重にすべきとの見解を述べている。

「日本は有志連合の構想に賛同しても良いが、実際に行動する場合には関係国の対応などを見極めながら慎重にすべきである。現状では、有志連合に部隊を送るような切迫した状況にはない。

今後、有志連合への取り組みを考える際の評価要素は、(1)日米同盟重視の観点からどのようなリスクやコストを払うべきか(2)湾岸や欧州・アジアの関係国の対応を見て日本はいかなる手段をとることが望まれるか(3)中東に原油の8割、天然ガスの3割を依存し、ホルムズ海峡にその8割を依存している日本としてエネルギー安全保障、国内経済発展の観点から、いかなるリスクを払って海上輸送路と国民の安全を守るべきか(4)良好な日・イラン関係を維持しつつ対応する手段とは何か(5)いかなるリスクとコストを払うことが国民の幅広い理解と支持が得られるか、であろう。

原油輸入国はコストを払えという米国の主張は理解できるし、日本としては財政支援をすべきであるが、それをやれば後は有志連合任せというわけにはいかない。

従って現状をみる限り、すぐに行動する必要はないが、当面は外交手段による解決を模索しながら事態の変化に迅速に対応できる態勢を検討しておくべきである」。

「船団護衛を派遣して、かえって日本タンカーがリスクを負うようなことはあってはならない。まずは、外交努力によって対話に尽力しつつ、事態の変化に応じて、国民の安全を守りエネルギー安全保障や日米同盟を重視していかなる取り組みをすることが最も国益に合致するかを考慮して、国民の理解が得られる手段を多角的に検討すべきである。そして、ひとたび手段が決まったら、その活動を確実に実行すべきである。こうした全体の対応ぶりで日本の真価が問われることになるであろう」

https://special.sankei.com/f/seiron/article/20190729/0001.html

 

 次に、外交の専門家として、外交評論家の岡本行夫氏は、自国の船を自国で守るという当たり前のことを決断し、自分の力で自国民を守るべきだという見解を7月28日付の産経新聞の寄稿記事に書いている。明確な文言による言い方ではないが、自衛隊法の海上警備行動で有志連合に参加すべきとの趣旨の意見である。

「トランプ大統領は、各国はホルムズ海峡を通る船舶を自分で守れとツイートし、米国は「有志国連合」を提案している。具体的な中身は不明だし、欧州の足並みもそろわない。しかし、仮にそのような構想が動き出すときに日本はどうするか。いよいよ安倍外交の正念場である。答えるべきは、同盟国として米国に協力するかどうか、ではない。自国の船を自分で守るのか、それともリスクを他国に押しつけて自分は圏外に立つのか、という選択である」「今回はカネで済ませられる話ではない。有志国連合といっても、目的は自国船舶保護である。個別的自衛権の話だ」「野党は「武力衝突に発展していく可能性が高い」と反対している。日本の船を守って相手から攻撃されれば防戦しなければならないので参加するな、というわけだ。要するに個別的自衛権も正当防衛も悪だという議論である。この人たちに致命的に欠落しているのは、「日本船防護のリスクは、日本が引き受けなければ他国が背負わされる」という事実だ。

「日本船警護は、自衛隊法の「海上警備行動」として法律上すでに想定されている」。

「イランへの説明は必要だ。同国はこれまでのタンカー攻撃への関与を強く否定しているのだから、「テロリストからペルシャ湾の安全を守ることはイランの利益にも資する」と繰り返せばよい。現に日本関連タンカーが安倍−ハメネイ会談の当日に攻撃されたのだから、日本船警護にイランが文句をつける理由はない。

要は、自国の船を自国で守るという当たり前のことを決断し、1987年以来の不作為国家から脱却する意思があるかどうかだ。今度こそ自分の力で自国民を守るという課題に、正面から向き合うときだろう」。

 

以上の三氏のうち、香田氏は、自分の国の船舶は自分の国で守るのが当然だという立場であり、アフリカ東部で海賊対処に当たっている護衛艦とP3Cをホルムズ海峡に振り向けるという具体案も提示している。

森本氏は、現状では有志連合に部隊を送るような切迫した状況にはないという情勢判断のもとに、外交努力を行いつつ、国民の理解が得られる手段を多角的に検討すべきという意見である。その「国民の理解が得られる手段」として、氏自身がどういう手段を取るべきかは、具体的に示されていない。

岡本氏にあって森本氏にないのは、自分の力で自国民を守ることが当然であり、自国の船を自国で守ることを当たり前のことと明言する姿勢である。私は、まずこの姿勢を日本の国民が持つことが、第一の課題と考える。外交での解決に努力するにしても、国民全体がその姿勢をしっかり持っていなければ、有効な外交はできないだろう。

 

●自国船舶警護の行動を起こすべし

 

先に、米国とイランの対立から生じている現在の状況は、日本の外交力で解決に導ける課題ではないと書いた。わが国にとっての選択肢は、自国船舶警護の行動を起こすことしかないと私は考える。自衛隊の艦船や偵察機を派遣する場合、イランに対しては、イラン政府は安倍首相がイラン訪問時に襲われたタンカーに関与していないという立場であり、またわが国政府は襲撃者は不明としているのだから、自衛隊の派遣はイランへの敵対行為ではなく、自国のタンカーと船員を守るための派遣であると説明すればよいだろう。

ただし、日本独自に自衛隊を派遣して自国船舶を護衛するだけでは、十分な警備行動はとれず、米国主導の有志連合に参加して他国と連携して警護する方向を検討すべきだと考える。その際、重要なのは、わが国はあくまでわが国の国益のために行動することであり、他国の利益のために利用されることのないように、主体的な判断をなすべきであると思う。ページの頭へ

 

関連掲示

・拙稿憲法第9条は改正すべし

・拙稿「安全保障関連法制の整備と課題取り組みを

・拙稿「いまこそ憲法を改正し、日本の平和と繁栄を〜9条と自衛隊

 

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