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■安倍首相の靖国参拝――意義と反響

2014.2.18

 

<目次>

はじめに
1.安倍首相の靖国参拝への思い
2.首相靖国参拝への内外の反響
結びに

 

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はじめに

 

安倍晋三内閣総理大臣は、昨年12月26日靖国神社に参拝した。政権発足から1年となる日に、かねて心に決していた靖国参拝を実行した。首相が国民を代表し、国のために戦死した人の霊に哀悼の意をささげることは、国家の指導者としての責務である。安倍氏は堂々とその責務を果たした。遺族をはじめ国民との約束を果たしたといえる。これでこそ、日本国の総理大臣である。だが、首相の靖国参拝には不支持の国民がおり、中韓からは強い批判が出されている。諸外国からも様々な反応がある。参拝から1か月を過ぎたところで、経緯と内外の反響についてまとめておきたい。

 

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1.安倍首相の靖国参拝への思い

 

靖国神社とは何か、なぜ首相の参拝が問題視されているのか。その点については、拙稿「慰霊と靖国〜日本人を結ぶ絆」に書いているので、ご参照願いたい。

さて、先ごろ安倍首相は靖国神社に参拝したが、首相による靖国参拝は平成18年8月15日の小泉純一郎首相以来、7年4カ月ぶりだった。以前は、靖国神社の春秋の例大祭や8月15日の終戦の日に、首相が閣僚を率いて靖国参拝することは、全く問題なく行われていた。ところが、中国が干渉するようになった。それは、中曽根首相が公式参拝した昭和60年8月15日以降である。中曽根氏は翌年から参拝をとりやめ、その後の多くの首相が中韓に過度に配慮をし、靖国参拝を見送った。小泉首相は平成13年から18年まで、年1回の靖国参拝を続けた。だが、その後の首相は参拝していなかった。

安倍氏は小泉氏を継いだ第1次政権時代に、靖国参拝をすると言っていながら、参拝しないまま退陣となった。安倍氏はこのことについて、「痛恨の極み」と表明していた。

靖国神社には、戊辰戦争以降の戦死者ら246万余柱の霊がまつられている。国や家族を守るために尊い命を捧げた人たちである。戦没者をどう慰霊・追悼するかはそれぞれの国の問題である。戦死者の霊が靖国神社にまつられ、その霊に祈りをささげるのは、日本の伝統であり、日本人の心のあり方である。外国からどうこういわれる事柄ではない。しかし、中韓は日本の首相や閣僚等の靖国参拝を非難している。中国は習近平政権になってから反日的な姿勢を強め、尖閣諸島周辺では、領海侵犯を繰り返したり、尖閣諸を含む東シナ海上空に一方的に防空識別圏を設定したりなど、傍若無人の振る舞いを続けている。韓国は昨年朴槿恵(パク・クネ)氏が大統領になると、ことあるごとに世界各国で対日批判を繰り返している。

わが国は、首相が「対話のドアは常に開かれている」と呼び掛けているにもかかわらず、中韓は首脳会談に応じようとしていない。こうした状況を見て、安倍氏は中韓の反発を恐れるよりも、国のために尊い命を捧げた英霊に対し、感謝と慰霊の誠を捧げるという首相の本来の務めを果たすこととしたものだろう。米国とは安全保障や経済の関係を強化しており、米国の反発は限られたものとなると判断したとみられる。

安倍首相は靖国参拝後、「この1年の安倍政権の歩みをご報告し、二度と再び戦争の惨禍によって人々が苦しむことのない時代をつくるとの誓い、決意をお伝えするためにこの日を選んだ」と語った。同時に、靖国境内にある世界のすべての戦没者を慰霊する「鎮霊社」にも参拝した。その上で「恒久平和への誓い」と題した「首相の談話」を発表し、「中国、韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは全くない。中国、韓国に対して敬意を持って友好関係を築いていきたい」と訴えた。

安倍首相が参拝後発表した談話は、次のようなものである。

 

「本日、靖国神社に参拝し、国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊に対して、哀悼の誠を捧げるとともに、尊崇の念を表し、御霊安らかなれとご冥福をお祈りしました。また、戦争で亡くなられ、靖国神社に合祀されない国内、及び諸外国の人々を慰霊する鎮霊社にも、参拝いたしました。

御英霊に対して手を合わせながら、現在、日本が平和であることのありがたさを噛みしめました。

今の日本の平和と繁栄は、今を生きる人だけで成り立っているわけではありません。愛する妻や子供たちの幸せを祈り、育ててくれた父や母を思いながら、戦場に倒れたたくさんの方々。その尊い犠牲の上に、私たちの平和と繁栄があります。

今日は、そのことを改めて思いを致し、心からの敬意と感謝の念を持って、参拝いたしました。

日本は、二度と戦争を起こしてはならない。私は、過去への痛切な反省の上に立って、そう考えています。戦争犠牲者の方々の御霊を前に、今後とも不戦の誓いを堅持していく決意を、新たにしてまいりました。

同時に、二度と戦争の惨禍に苦しむことが無い時代をつくらなければならない。アジアの友人、世界の友人と共に、世界全体の平和の実現を考える国でありたいと、誓ってまいりました。

日本は、戦後68年間にわたり、自由で民主的な国をつくり、ひたすらに平和の道を邁進してきました。今後もこの姿勢を貫くことに一点の曇りもありません。世界の平和と安定、そして繁栄のために、国際協調の下、今後その責任を果たしてまいります。

靖国神社への参拝については、残念ながら、政治問題、外交問題化している現実があります。

靖国参拝については、戦犯を崇拝するものだと批判する人がいますが、私が安倍政権の発足した今日この日に参拝したのは、御英霊に、政権一年の歩みと、二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことの無い時代を創るとの決意を、お伝えするためです。

中国、韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは、全くありません。靖国神社に参拝した歴代の首相がそうであった様に、人格を尊重し、自由と民主主義を守り、中国、韓国に対して敬意を持って友好関係を築いていきたいと願っています。

国民の皆さんの御理解を賜りますよう、お願い申し上げます。」

 

安倍首相は、本殿に参拝するとともに鎮霊社にも参拝したが、これは大きな意義のあることである。鎮霊社の重要性と発展可能性は、私が10年ほど前から説いてきたところである。(拙稿「慰霊と靖国〜日本人を結ぶ絆」)

すなわち、「ここに靖国神社に合祀されていない死者の霊と、国籍を問わず、万国の戦死者あるいは戦禍犠牲者の霊が祀られてはいる。また、毎朝奉仕がされ、毎年祭事も行われているという。鎮霊社は、昭和40年7月の創建であり、後から設けられた施設である。そうであれば、こうした施設をさらに充実させ、祭事を盛大にしていくことは可能だろう。それが、靖国神社が、真に日本人全体にとっての慰霊の場となり、世界各国の人々ともに世界平和を祈る場所ともなる道ではないだろうか。そして、いつの日か、わが国の総理大臣と、アメリカ大統領、中国首相、韓国大統領等がともに、万国の戦没者の鎮魂と、世界平和を祈る場所となることを願うものである。」と。

鎮霊社には、靖国神社に合祀されていない死者の霊と、国籍を問わず、万国の戦死者あるいは戦禍犠牲者の霊が祀られている。昭和40年7月に創建された。広島、長崎の原爆や東京大空襲などで死んだ軍人・軍属以外の一般国民の戦没者や、大東亜戦争等で日本と戦った外国の戦没者らの霊もまつられている。

安倍首相が靖国に祀られる英霊に対して感謝と尊崇の念を表しただけでなく、鎮霊社に注目し、本殿に祀られないが日本のために命をささげた人々に礼を尽くし、また万国の戦死者あるいは戦禍犠牲者の霊にも祈りをささげたことは、極めて意義深い。これによって日本国首相の靖国参拝が戦争賛美などではなく、恒久平和の願いの表れとして強く世界に向けて発信していけるものである。ージの頭へ

 

2.首相靖国参拝への内外の反響

 

安倍首相の靖国参拝は大きな反響を呼んでいる。首相の靖国参拝から、約1か月過ぎたところで、内外の反応をまとめておきたい。

 

●わが国

 

本年の正月三が日神社の初詣先のランキングが発表された。毎年1位は明治神宮で本年も同様だが、驚くべきことに靖国神社が例年の8倍となる245万人が参拝し、5位に入っていたことである。この要因の一つに、昨年12月26日に安倍首相が参拝したことの影響が考えられる。

本年1月4日の時点での安倍首相の靖国参拝についてのマスコミの調査結果は、次の通りだった。

 

・テレビ朝日『朝まで生テレビ』

安倍首相の靖国参拝、テレビ朝日・朝まで生テレビ

支持71% (646票) 不支持29% (258票)

http://uni.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1388651533/

 

TBSNキャス』

今回の安倍首相の靖国参拝。 あなたはどう思う?

支持 71.2% (28977票) 不支持 28.8% (11740票)

http://www.tbs.co.jp/jouhou7/vote/

 

YAHOO!ニュース 意識調査

安倍首相の靖国神社参拝は妥当?

支持 76.7% (351,769票) 不支持 23.3% (106,917票)

http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/domestic/10611/result

 

各媒体とも参拝支持が70%以上という高率だが、保守系のメディアである産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が1月4、5両日に実施した合同世論調査では、首相の靖国参拝について、「評価しない」(53.0%)との回答が「評価する」(38.1%)を上回った。評価する人の74.0%が「戦争の犠牲者に哀悼の意を示した」ことを理由に挙げた。「評価しない」とした理由は「外交的配慮に欠ける」が61.9%で最も多かった。

評価を世代別にみると、30代は「評価する」が50.6%と半数を超え、「評価しない」の41.4%を10ポイント近く上回った。20代も評価する(43.2%)が評価しない(41.6%)を上回った。特に30代の男性では「評価する」が64.3%に達した。

首相の靖国参拝は内閣支持率に影響したか。FNNの調査では、内閣支持率は52・1%。昨年12月14、15両日に行った前回調査に比べて4・7ポイント増え、50%台に回復した。靖国参拝は、内閣支持率にマイナスの影響を与えておらず、むしろ支持率の向上をもたらしたとみられる。

首相の靖国参拝をめぐっては、中韓両政府は強く批判している。中国外務省は「強烈な抗議と厳しい非難」を表明した。中国の程永華駐日大使は「国際社会に対する大きな挑戦だ」と述べた。韓国政府は「嘆かわしく怒りを禁じ得ない」との声明を発表した。こうした両政府の姿勢に対して、「納得できない」との回答が67.7%に達し、「納得できる」(23.3%)を大きく上回った。米政府が「失望した」とする声明を出したことにも6割近くが不快感を示した。

 

●米国

 

昨年12月26日在日米大使館は、安倍首相の靖国参拝に関し、次のような声明を出した。

「日本は大切(valued)な同盟国であり、友好国である。しかしながら、日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化(exacerbate)させるような行動を取ったことに、米国政府は失望(disappointed)している。

米国は、日本と近隣諸国が過去からの微妙な問題に対応する建設的な方策を見いだし、関係を改善させ、地域の平和と安定という共通の目標を発展させるための協力を推進することを希望する。

米国は、首相の過去への反省と日本の平和への決意を再確認する表現に注目する。」

続いて国務省が同趣旨の声明を発表した。わが国のマスメディアは「失望した」というところだけを強調して報道した。だが、声明は「首相の過去への反省と日本の平和への決意を再確認する表現に注目する」とも述べている。

米主要メディアは異口同音に「中国、韓国との論争に火を付ける」(CNNテレビ)などと否定的に伝えた。その一方、米国内で政府の声明を批判する意見も上がった。

米国務省のハーフ副報道官は1月6日の記者会見で、安倍晋三首相の靖国神社参拝に関連し、「対話を通じて違いを克服するのが地域すべての国の利益にかない、前に進むことが重要だ」と述べた。副報道官は7日に予定されるケリー長官と韓国の尹炳世外相の会談でケリー氏が靖国参拝について、どのような見解を示すかを問われ、「米国が既に公表している立場」に沿って会談に臨むと説明した。しかし、昨年12月の国務省報道官声明で使った「失望」との表現は避けた。

安倍首相の靖国参拝に対し、米国政府が異例の速さで声明を出したことには、背後の事情があった。その点を、産経新聞1月30日号が詳しく伝えている。長文だが抜粋にて、掲載する。

 

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◆産経新聞 平成26年1月30日

 

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140130/plc14013008110003-n1.htm

「靖国」後―――「失望」の伏線、米副大統領の電話「『安倍氏は参拝しない』と朴氏に言った」

2014.1.30 08:09

 

昨年12月12日夜、安倍晋三首相は日本、中国、韓国を歴訪して帰国した米国のバイデン副大統領から電話を受けた。事実関係を知る政府関係者によると、首相はその内容に驚きを隠さなかったという。バイデン氏はこう述べたのだ。

「韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領には『安倍氏は靖国神社に参拝しないと思う』と言っておいた。あなたが不参拝を表明すれば、朴氏は会談に応じるのではないか」

どうして頭越しに朴氏にそんなことを言ったのか−。首相はただちに自身の真意を告げた。

「私は第1次政権のときに靖国に参拝しなかったことを『痛恨の極み』だと言って、衆院選に勝った。参拝は国民との約束だと思っている。いずれかの段階で行くつもりだ」

参拝の意思を明確に伝えたものだったが、バイデン氏はあっさりと「行くか行かないかは当然、首相の判断だ」と答えたという。

首相はさらに、日韓首脳会談を阻む最大の壁は靖国問題ではなく、むしろ慰安婦問題だとも説明したが、バイデン氏がどこまで理解したかは分からなかった。

ただ、靖国参拝に関して「首相の判断だ」と認めていたことから、日本側は米国が同月26日の首相の参拝に「失望」まで表明するとは予想していなかった。

 

会談前に「失望」発表

参拝から数時間後、外務省幹部は、在日米大使館が「失望」という強い表現の声明を出そうとしていることを察知した。

「今夕には岸田文雄外相とケネディ駐日大使の電話会談がある。会談前に声明を出すのはおかしい」

外務省は在日米大使館と米国務省に声明を出さないよう、働きかけた。だが、声明は「ホワイトハウスの指示」として電話会談の前に発表され、「日米に溝」と世界中に報道された。

複数の日米外交筋によれば、声明発表にこだわったのは、首相から事前に参拝意向を聞いていたはずのバイデン氏だった。日米間のパイプは微妙に目詰まりを起こし、「同盟国同士の常識」(政府高官)が通じなくなっている。

年が明けると、米側は一転して靖国参拝を「もう済んだ話」と位置付け、日米間の融和を演出するようになった。外務省には、米国務省からこんな反省も聞こえてくるようになった。

「在日大使館がdisappointedを『失望』と訳したのは表現が強すぎた。せめて『落胆』か『残念』とすべきだった」

声明が中韓の反日を勢いづかせただけで、「米国の世界戦略として全く意味がなかった」(政府高官)ことに、米側もようやく気付いたからだ。

 

対韓関係修復迫る

ただし、その後も米要人らは示し合わせたように、韓国との関係修復を迫っている。

1月24日に来日したバーンズ米国務副長官は、岸田外相との会談で「韓国との関係だけは改善してほしい」とクギを刺した。小野寺五典(いつのり)防衛相には「失望」とのメッセージを出した理由について「米にとって、韓国と日本との関係が重要だから」とも明言した。

バーンズ氏は、日本側との一連の会談でこう付け加えることも忘れなかった。

「日本が(東アジア)地域の安定と繁栄のため、微妙な問題について建設的な方法を見つけることを、米政府は奨励したい」

「建設的な方法」との表現には、靖国参拝を再検討してほしいとの米側の思いがにじむ。日韓関係が冷え込む理由に関する、日米間の認識の隔たりを埋める作業は容易ではない。

 

ぶれる米の対韓認識で日韓関係悪化 「まるでアマチュアだ」

今月8日から10日まで、日米議員連盟の日本側訪米団(団長・中曽根弘文元外相)が米ワシントンを訪れ、20人以上の米政府高官や元高官、上下両院議員らと意見を交わした。狙いの一つは、安倍晋三首相の靖国神社参拝の意義と真意を伝え、米側の理解を得ることだった。

同行筋によると、ラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は首相の靖国参拝と東アジアの地域情勢について、こう率直に胸の内を明かした。

「われわれは、まず中国が『日本は軍国主義化している』というまやかしを宣伝することを防がなければならない」

あくまでアジア地域の脅威は中国であり、日米が足並みをそろえて対中政策を進める必要があるという主張だ。これには中曽根氏も深くうなずいた。

ただ、ラッセル氏の口調は、日韓関係の悪化のくだりにさしかかると、途端に厳しくなった。

「首相の靖国参拝は一時的だが、アジアでの日本の影響力に損害を与えた」

ラッセル氏は「米側に怒りはない」と強調しながらも「中国に付けいる隙を与え、日韓関係の改善が遅れた」と嘆いてみせた。

 

「存在」の意味を軽視

バイデン米副大統領やラッセル氏が懸念するように、靖国参拝が日韓関係悪化や東アジア情勢の緊張の主因なのか。

政府筋は「米側は、日本は韓国とは戦争しておらず、韓国は本来、靖国問題とは関係ないことを分かっていない。また、日本で靖国が持つ意味をあまりに軽視している」と語り、その上でこう指摘する。

「韓国のことは米国よりわれわれの方が分かっている。朴槿恵大統領がこだわっているのは第一に慰安婦問題であり、靖国に行かなければ関係が改善されるというものではない」

靖国参拝に過剰なまでに反応し、日本に自制を求めるオバマ政権は、米国内での市民団体による慰安婦像の設置など韓国側のエスカレートする「反日行為」は放置している。こうした米国の「ダブルスタンダード(二重基準)」が、結果的に日韓関係の悪化につながっている部分もある。(略)

靖国参拝に激怒し、日韓関係の改善をせかすバイデン副大統領について首相周辺は、ゲーツ元米国防長官が今月出版した回顧録の一文を引き合いに出す。そこにはこう記されている。

「バイデン氏は過去40年間、全ての重要な外交政策と安全保障に関する判断でミスを犯した」

外務省筋は「一連のオバマ政権の外交はまるでアマチュアだ」と嘆く。ただそれでも、米国が死活的に重要な同盟国であることには全く変わりはない。安倍外交のジレンマは続く。

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米国内には、参拝を正当なものであるとして支持する見解や米国は干渉すべきでないという意見もある。

 

・ジョージタウン大学のケビン・ドーク教授

ドーク教授はこれまで、靖国参拝について、「民主主義的な選挙で選ばれた政治指導者が、戦死者の霊を追悼することは、平和への脅威や軍国主義への前進になるはずがない」と強調。米国のアーリントン国立墓地には、奴隷制度を守るために戦った南軍将校も埋葬されている事実を指摘し、ここを歴代大統領が訪れたというだけで「奴隷制度を肯定したことにはならない。同様に靖国神社参拝も、日本が関わった戦争の全面的肯定を意味しない」と主張している。

安倍首相の参拝後、産経新聞平成25年12月28日号のインタビュー記事では、次のように発言した。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/131228/trd13122809350004-n1.htm

「靖国参拝は日本国民と、民主的な選挙で国民から選ばれた安倍首相ら国会議員が自身で決める、日本のすこぶる国内問題だ。

中国と韓国がなぜ、この日本の国内問題に首を突っ込むのか、いまだに理解できない。安倍首相の靖国参拝は、戦争を始める意思の合図でもなければ、旧日本軍を奉じるものでもない。首相は国内外で国家と国民のために命を落とした人々の霊を、慰めたいと欲しているのだ。中国と韓国の指導者は、同じように(自国民を)慰霊したいと望まないのだろうか。

靖国神社には戊辰戦争の戦死者らが祭られている。このことは、米国のアーリントン国立墓地(バージニア州)に(南北戦争などの)戦没者が慰霊されていることと類似している。

安倍首相の靖国参拝で最も印象的なのは本殿だけではなく鎮霊社も参拝したことだ。外国の人々には、鎮霊社を訪れた意味を理解してほしい。

重要なのは、鎮霊社には世界のあらゆる国の戦没者が祭られているということだ。ここには第二次世界大戦で、旧日本軍と戦った米国人や中国人なども含まれている。安倍首相が鎮霊社を参拝したのは平和を望む意思があったからであることは明白である。

鎮霊社参拝はまた、安倍首相が国民を、「民族主義」から(国民を重視する)「国民主義」へと導こうとするものでもある。

日米関係に負の影響がないことを望む。米政府が「失望している」と表明したのは(中国、韓国が)感情を害する事態を、避けようとしただけだろう」

 

・マイケル・オースリン氏

「日本が対処すべき問題で、在日米大使館はあのような声明を出すべきではなかった。米政府は関係国の解決に向けた努力を促すべきで非難すべきではない」

 

・シーファー元駐日大使

「アメリカ政府は、日本の靖国参拝に干渉することはない」

 

・ウォーツェル米中経済安保調査委員長

「『歴史認識非難』は単なる対日攻撃手段、靖国参拝、中止すべきでない」

 

・トーマス・スニッチ氏

「中国には日本の戦没者追悼に対し一定の方法を命令する権利はない 」

 

・アーサー・ウォルドロン氏

「事の核心は日本に対し覇権を確立したいという中国の野望だ」

 

・ワシントン国立大聖堂に祀られている奴隷制支持の南軍の将軍

http://sankei.jp.msn.com/world/news/131229/amr13122903080000-n1.htm

産経新聞平成25年12月29日号に同紙ワシントン駐在客員特派員・古森義久氏は、次のように書いた。

「首都中心部にそびえる大聖堂はキリスト教のあらゆる宗派の礼拝や追悼の国家的な場となってきた。多数の大統領の国葬や歴史上の人物の式典が催され、無数の米国民が参拝してきた。

大聖堂のネーブ(身廊)と呼ばれる中央の礼拝堂の祭壇わきには南北戦争でアメリカ合衆国に反旗を翻し、奴隷制を守るために戦った南部連合軍の最高司令官のロバート・E・リーとその右腕のストーンウォール・ジャクソンという2人の将軍の霊をたたえる碑文と生前の活動を描く多色のステンドグラスが存在する。その慰霊表示は礼拝堂の壁面全体でも、よく目立つ巨大な一角を占めてきた。

その事実が話題になることはこれまで少なかったが、12月11日、大聖堂で南アフリカの大統領だったネルソン・マンデラ氏の追悼式が催されたのを機に議論を生んだ。

ワシントン・ポストの首都圏コラムニストのジョン・ケリー氏が「なぜリーとジャクソンが大聖堂で栄誉を受けるのか」と題する記事で疑問を提起したのだ。「人種平等のために戦ったマンデラ氏を悼む場に人種平等阻止のため戦った2人が堂々と祭られていることに驚いた」との指摘だった。

バージニア州のランドルフメーコン大学のエビー・テロノ歴史学教授も「首都の大聖堂にこの首都自体を破壊しようとした将軍たちの慰霊表示があることは矛盾」との見解を述べた。

だが両将軍の大聖堂への祭祀(さいし)は1953年と歴史は古い。南部連合の子孫の女性団体が20年がかりで訴え、実現させた。その結果はリー将軍らの「高貴な信念の豪胆なキリスト教戦士」という碑文での聖人化であり、戦場での勇猛な活躍ぶりのガラス画化だった。

こうした疑問に対し大聖堂の広報官は「南軍将軍の慰霊表示も米国の歴史のキリスト教の視点からの紹介であり、歴史にはよい部分も悪い部分もある」として公式の反対はないと言明した。死者の霊は生前の行動によって責められることはないとの見解だった。

だからこそこの大聖堂にオバマ大統領も閣僚たちも頻繁に参拝するのだろう。だが、その政権は靖国に対しては問われる前に日本の首相の参拝への「失望」を喧伝(けんでん)するのだ。ブッシュ前政権が当時の小泉純一郎首相の靖国参拝を認め、むしろ中国の圧力に屈するなという意向を示したのとは対照的である。

日本の首相は頻繁に靖国を参拝すべきだというジョージタウン大学のケビン・ドーク教授は「オバマ政権の靖国への態度は大聖堂の現実からみると明らかに偽善的だ」と論評するのだった」

 

・ヴァンダービルト大学日米研究協力センター所長のジェームス・E・アワー氏

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140116/amr14011603130002-n1.htm

「安倍首相は衷心からであれ緊張を確実に増す行動は取るべきでないとする向きがある。

この論評は一見、もっともらしい。しかしながら、誰が緊張を持続または増大させようとしているのか、そして誰が緊張を克服しようとしているのかという論点を巧みにはぐらかしている。

日韓そして日中の間の緊張緩和は、安倍首相と大方の日本国民にとって歓迎するところだ。首相が12月26日に靖国に行っていなければ、韓国の朴槿恵大統領や中国の習近平国家主席は、今ごろは日本との関係を大いに改善する用意があっただろう、と本気で信じている者などいるだろうか?(略)

12月26日の首相の発言にも、神社内の鎮霊社も訪れた当日の行動にも、日本国天皇や幾多の首相、他の幹部指導者たちが謝罪を重ねてきたA級戦犯や他のあらゆる兵士たちの行為を、いささかでも称えるようなものは表れていない。米国のアーリントン国立墓地には米指導者たちが後に謝罪した奴隷制やその他の行動に関わった兵士たちの遺骸(靖国にそれはない)も収められているのだ。(略)

米国政府は安倍首相に失望の念を表すべきだろうか。米国は独立国としてそうする権利がある。しかし、慎重に考察すれば、1952年から2014年までの平和愛好国としての日本の実績を認めたがらない姿勢を示す韓国に、そして、とりわけ中国の声明や行動に対して、最低でも同等の(言わせてもらえれば、もっと大きな)失望感が向けられる必要がある、ということが見えてくる。

そして、米国が東京に失望感を表明するのであれば、米国の指導者たちには少なくとも安倍首相の試みを高く評価してもらいたい。首相は、腰が引けて時に非現実的である日本の反戦平和主義を、もっと積極的な形に変えようとしている。それは、米国が60年以上にわたって日本に採用するよう奨励してきたことでもある」

 

●アジア諸国

 

・東南アジア諸国のメディア

産経新聞は平成26年1月3日号で、東南アジア諸国の反応を伝えた。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140103/asi14010321060004-n1.htm

「第二次大戦で日本の占領統治を受けるなどした東南アジア諸国では、安倍首相の立場に理解を示す冷静な論調が目立った。

インドネシアで最も影響力のあるコンパス紙は、12月28日付の社説で安倍首相の参拝について、東シナ海の領土をめぐる日中の緊張が高まっているこの時期に行ったのは「適切なタイミングでなかった」としつつも、「(靖国問題で)自らを被害者と位置付ける中韓の主張は一面的な見解だ」とクギをさした。

その上で、今回の参拝は戦死者の霊に祈りをささげ、日本国民が再び戦争の惨禍に苦しむことのないように取り組む決意を伝えたとする「安倍首相の見解」を紹介した。

同紙はさらに、「靖国神社には、現在は戦争犯罪者と見なされている数百人だけでなく、戦争の犠牲となった(各国の)約250万人も祭られている」と指摘し、国に命をささげた人々のために参拝することは日本の指導者として当然だとする安倍首相の立場にも言及した。

一方、シンガポールのストレーツ・タイムズ紙(12月27日付)は、安倍首相が参拝に踏み切ったのは、これまで摩擦を避けようと終戦記念日や春秋の例大祭で参拝を見送ったにもかかわらず中韓が強硬姿勢を崩さず、「冷え切った中韓との関係に改善の見込みは少ないと見切ったためだ」との分析記事を掲載。中韓の敵視政策が逆に参拝の呼び水となったとの見方を示した」

 

・シンガポール リー元首相

「靖国問題も中国が心理的なプレッシャーをかけているだけ」

 

・台湾 李登輝元総統

「国のために命を亡くした英霊をお参りするのは当たり前の事。外国が口を差し挟むべきことではない」

 

・インドネシア ユドヨノ大統領

「国のために戦った兵士のためにお参り、当然」

 

・ベトナム政府

「我々は中国や韓国のような卑怯な外交手法をとるつもりはない」

 

・パラオ レメンゲサウ大統領

靖国参拝に「すべての人のために祈るのは正しいこと」

 

・ソロモン諸島 ケマケザ首相:

「日本とソロモン諸島の共通の文化は先祖に感謝すること。英霊が祭られている場所を拝見したい」

 

・フィリピン ラモス元大統領

ラモス氏は、最近の日中間の対立を「地域・世界政治における互いの影響力の減衰を図る行動」とするとともに、「アジア太平洋で起きている新たな冷戦の一環だ」と位置づけた。同氏は、旧日本軍の占領支配を「現在も遺憾に思う」としつつも、「われわれが中国と同様に悲憤慷慨(こうがい)したり、(日本に)厳しい態度をとるのは適当だろうか」と問いかけた。また、「恨みを抱き続けてわれわれの未来が危険にさらされてはならない」と強調し、参拝を問題視する必要はないとの姿勢を明確にした。

 

・インド ラジェスワリ・P・ラジャゴパラン元国家安保委事務局長補

「どの国も亡くなった兵士に敬意を表する権利がある。安倍首相の靖国参拝をナショナリズムの高まりや軍国主義の復活とみるべきではない。

日本の首相は何人も靖国神社を参拝しているが、1985年の中曽根康弘氏の参拝に中国が抗議を始めるまでは、今回のように問題視されることはなかった。中国の経済的台頭などが厳しい反応の背景にある。

日中間の第二次大戦に関する問題は78年の平和友好条約調印で終わっている。中国は再びこの問題をむしかえし、韓国も異議を唱えているが、そこに合理的な正当性はない。

大戦の戦犯を裁く東京裁判で、インド人のパール判事は、日本人を誰もA級戦犯に分類すべきではないと主張した。当時、インドには日本軍の行動に理解を示す者もいた。今日においても日印両国はアジアの平和と安定をどう図るかで多くの共通の認識を持つ。

インドが今月26日に行われる共和国記念日の軍事パレードに安倍首相を賓客として招いていることは、大きな政治的メッセージを含んでいる。両国は米国を含めて対話を深め、安全保障分野などで協力をさらに進めるべきだ」ージの頭へ

 

結びに

 

安倍首相の靖国参拝は内外に大きな反響を呼んでいる。わが国では、参拝を支持する意見が不支持を上回っている。海外で参拝自体を批判している国は、中国・韓国以外は少ない。中韓の2国は極端に反日的な歴史観を持ち、それを国際社会に宣伝している。靖国参拝への批判はその広報戦略の一環として行っているものであり、それに同調する若干の国があるに過ぎない。日本の唯一の同盟国である米国政府は、参拝自体を批判しているのではなく、「失望」していると言っているものであり、理由は中韓との緊張関係の悪化である。それ以外の国々及び諸外国の有識者には、日本の首相が日本の戦没者に感謝の慰霊の参拝をすることを支持する見方が多い。

私は、首相の靖国参拝について、一時的に中韓が反発したり、それに同調する国が若干あっても、それに気押されずに、堂々と参拝を続けるべきだと思う。相手がこのカードは使えないと思うところまで、不退転の決意で実行すべきである。また、首相をはじめとする政府関係者は、なぜ日本の首相は靖国神社に参拝するのか、そこで何を祈っているのかを、様々な国際的な機会に繰り返し説明し、理解を獲得・拡大していくことが大切である。ージの頭へ

 

関連掲示

・拙稿「慰霊と靖国〜日本人を結ぶ絆

 

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