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脱貧困の社会事業〜ムハマド・ユヌス

2009.9.28

 

<目次>

 

第1章 資本主義をどう改革するか

第2章 マイクロクレジット〜無担保小額融資で人々の創造性を引き出す

第3章 ソーシャルビジネス〜無配当型社会企業が企業と社会を変える

第4章 貧困の解決と平和への道

第5章 日本への期と日本での展開

 

 

ber117

 

はじめに


 今日の世界で私たちは、資本主義の欠陥を補って、これを改善する道を進む必要がある。その課題への取り組みにおいて、2006年度ノーベル平和賞を受賞した銀行家ムハマド・ユヌスと彼のはじめたソーシャルビジネスは、大きな示唆を与えてくれるものである。本稿でユヌスとその活動の概略を述べ、資本主義改善の取り組みの参考に供したい。

 

第1章 資本主義をどう改革するか

 

 アメリカのサブプライム・ローンの破綻に端を発した経済危機は、2008年(平成20年)9月15日のリーマン・ショックによって、世界的な金融危機に拡大した。その影響は、実体経済に及び、アメリカ自動車産業のビッグ3のうち、ゼネラル・モータースとクライスラーは経営破綻に至った。わが国でも、消費の縮小、失業者の増大、新規採用の取り消し等が生じている。さらに大きな打撃を受けた中国では、経済崩壊の予兆が現れている。

 このたびの世界経済危機は、1929年(昭和4年)の世界大恐慌以来の出来事であり、資本主義の欠陥が改めて明らかになった。とりわけ強欲的・賭博的な資本主義の持つ破壊性が明確になった。

 資本主義は完全なシステムではない。しかし、社会主義・共産主義は、これに替わる選択肢ではない。ロシア革命以来の共産主義の実験は、ことごとく失敗に終わっている。共産主義は、資本主義と全く異なるものではなく、資本主義の統制的形態にすぎない。資本主義の矛盾を止揚するどころか、新しい支配階級を生み出し、共産党の独裁や個人崇拝、経済の停滞、環境の破壊等を生んだ。私たちは、共産主義への逆戻りではなく、資本主義の欠陥を補って、これを改善する道を進まねばならない。


 では、資本主義の欠陥を補って改善を行うには、何をなすべきか。どうすれば、資本主義の暴走を抑え、人類に有益なものとできるか。私は今回の歴史的な経済危機を体験し、次のような課題の実行がポイントだと考えている。


@欲望の抑制

 資本主義は欲望を解放し、利潤最大化のため欲望を際限なく増大させる。その結果、戦争や環境破壊や貧富の差が生まれる。人類の生存と調和のためには、欲望を抑制するための規範や制度が必要である。


A金融機関への規制

 1929年大恐慌後、大恐慌発生の原因が追究され、金融機関に規制がかけられた。ところが新自由主義はその規制を廃止させた。そこに生まれたのが、強欲的・賭博的資本主義である。改めて金融機関への規制が必要である。


B中央銀行制度の廃止

 17世紀西欧に部分準備金と債務通貨の制度が現れた。無から富を生む仕組みが、私有中央銀行制度の基礎にある。欲望の追求を抑制するには、この制度を廃止し、政府が通貨の発行権を持つ必要がある。


C新しい国際金融機関の創出

 Cの改革は、各国内にとどまらず、国際的な規模で断行されねばならない。IMF・IBRD等の国際機関は、部分準備金と債務通貨による中央銀行制度に基づいている。これに替わる国際金融機関の創出が必要である。


D太陽エネルギーの活用

 近代資本主義は、19世紀には石炭、20世紀には石油を燃料として発達した。化石燃料は偏在し、投機の対象となる。化石燃料に依存する限り、資本主義の根本的な改革はできない。太陽光を中心とした自然エネルギーへの転換が必要である。


E資本制的企業の公益化

 資本制的企業は利潤最大化の原則によって活動している。その原理が、欲望の放恣や、それによる環境破壊、格差拡大等を生み出している。私的な利益の追求が同時に公共的な利益の実現になるような企業へと改革する必要がある。


 六つの課題を挙げたが、そのうち最後の資本制的企業の改革について、画期的な活動をしている人物に、バングラデッシュの銀行家ムハマド・ユヌスがいる。続いて、ユヌスの実践と提言の概要をまとめ、Eの「資本制的企業の公益化」の参考にしたい。ページの頭へ

 

 

第2章 マイクロクレジット〜無担保小額融資で人々の創造性を引き出す

 

●ムハマド・ユヌスという人物

 本年(平成21年)6月4日、NHKテレビで、「未来への提言 ムハマド・ユヌス〜世界を救うソーシャルビジネス」という番組があった。私は、知人から教えられ、彼が録ったDVDを見た。ユヌスについて何も知らなかった私は、ユヌスの活動と提言に感動した。それからユヌスの著書「貧困のない世界を創る」(2008年、早川書房)や来日の際の講演記録等を読んだ。ユヌスは「バングラデッシュの二宮金次郎」とでもいうべき偉人である。
 ムハマド・ユヌスは、バングラデッシュで貧困をなくすための取り組みをしている銀行家である。2006年度のノーベル平和賞を受賞した。彼が創始したマイクロクレジット(無担保小額融資)が世界約60カ国に広がり、多くの人々を貧困から抜け出させていることが評価されたものである。
 ユヌスは、銀行業を通じて貧困の撲滅に取り組んでいるだけでなく、数年前からソーシャルビジネス(無配当投資型社会事業)と呼ばれる新しい企業活動を展開している。ソーシャルビジネスは、資本制的企業のあり方を改善するための具体的な形態を示すものとなっている。

●マイクロクレジットをするグラミン銀行

 ユヌスの国・バングラデッシュは、世界の最貧国の一つである。日本の半分以下の面積に、1億5千万人の人口が住む。国民の4割は、1日2ドル以下の生活をしている。
 この国でユヌスは、グラミン銀行を経営している。グラミン銀行はマイクロクレジットを行なう銀行である。小額の融資をすることで、多くの人が最底辺の生活を抜け出すことを支援してきた。
 ユヌスは裕福な宝石商の家に生まれた。アメリカに留学し、経済学の博士号を取得した。その後、アメリカの大学で准教授をしていたが、1971年バングラデッシュの独立を機に帰国し、チッタゴン大学の経済学部長に就任した。アメリカ帰りのエリート学者だったユヌスが、どうして象牙の塔を出て、貧困の海に乗り出していったのか。
 きっかけは、1976年、ユヌスがチッタゴン大学の経済学部長だったとき、大学の隣にあるジョブラ村の人々にお金を貸したことによる。ジョブラ村では、村人が竹細工等をする元手を高利貸しに借りていた。ユヌスが調べたところ、42人で合計27ドル借りていた。村人はそのわずかな借金を返せず、いくら働いても高利貸しへの返済に追われていた。ユヌスは、ポケットマネーで27ドルを貸した。村人はみなものすごく喜んだ。それによって村人は、高利貸しに頼らなくて良くなった。
 この体験によってユヌスは、貧しい人々が自立するために、小口の融資を行なうこととし、自ら銀行業を開始した。それが、グラミン銀行である。グラミンは、田舎とか村という意味である。グラミン銀行は「村の銀行」である。
 普通、貧しい人々は信用できないとされ、銀行からお金を借りられない。借りるとなれば、高利貸しに頼るしかない。しかし、グラミン銀行は、貧しい人たちにお金を必要なだけ貸す。融資に担保はいらない。無担保で竹細工、陶器作り、家畜等のために、3千円なり4千円なりの小額を融資する。そのわずかのお金を借りられることで、困窮者たちが貧困から抜けられているのである。
 グラミン銀行の本部は、バングラデッシュの首都ダッカにある。国内に2千5百の支店があり、2万3千人のスタッフが働いている。

●返済率は98.6パーセント

 グラミン銀行について、ユヌスは著書「貧困のない世界を創る」に次のように書いている。
 「創設以来、グラミン銀行は総額60億ドルの相当のローンを行なっている」「バングラデッシュでは、貧しい家庭の80%にマイクロクレジットがゆきわたっている」
 わずか27ドルをポケットマネーで貸すことから始まった小額融資が、約30年後に、2億3千万倍に増大し、バングラデッシュの多数の家庭に行き渡っているのである。
 マイクロクレジットは、30〜40ドル相当の小額であることが多い。ユヌスは言う、「たとえ小額であっても、元手を手にすることで、人々は人生を変えられるのだ」「ビジネスを生み出す基盤として小額融資を受けることで、彼らの家族を貧困から脱出させることができるのである」と。
 「最も重要なのは、グラミン銀行の内部調査によれば、5年かそれ以上銀行の借り手となっている人々の64パーセントが、貧困線を越えることができていることだ」とユヌスは言う。「この31年間にバングラデッシュに限っては、何百万もの家族がマイクロクレジットの助けによって経済環境を改善することができたのである」。
 これは、大変素晴らしいことである。そして驚くべきことは、「返済率は現在、98.6パーセント」だという点にある。実に驚異的な数字である。一般の銀行は、困窮者は相手にしない。融資において担保を必要とする。しかし、そういう銀行が今日では不良債権を抱えて、経営危機に陥っている。これに対し、無担保で融資するグラミン銀行は、「まさに経営がうまくいっている銀行のように、着実に利益を上げている」とユヌスは言う。これは、銀行業に関する常識を覆す事実である。
 どうしてこんなにうまく脱貧困の自助努力と、銀行の健全経営が両立するのか。

●5人一組、女性がほとんど

 グラミン銀行が融資をする際、個人には貸さない。5人一組とし、互いが連帯保証人となるようにしている。このやり方は、試行錯誤の後に確立したやり方だという。
 「5人の仲間の一人がお金を借りたいときには、残りの4人から許可を得なければならない。それぞれの借り手が自分のローンに責任を持つが、小さな社会的ネットワークとしてのグループは、互いに励ましあうことで精神的なサポートになる」とユヌスは書いている。わが国には、江戸時代に五人組という隣保組織があった。五人組には貸借の立会いと連印の義務があったので、その一点では似た所がある。
 驚くべきことに、グラミン銀行の借り手は、ほとんどが女性である。今年(2009年)3月現在、800万人にのぼる利用者の97%は、女性だという。
 ユヌスは、著書に次のように書いている。「貧しい女性を信用して貸し付けると、男性に貸し付けるよりも家族に利益がもたらされる」「男性はお金を稼ぐとそれを自分のために費やす傾向があるが、女性はお金を稼ぐと家族全員、特に子供に利益をもたらすのだ。したがって女性に貸し付けることは、結局、家族全員への経済的利益とともに、地域の共同体全体に社会的利益をもたらす。滝のような効果を引き起こす」と。
確かに男性は、どこの社会でも、小銭が入ると遊んで使ってしまう傾向がある。しかし、伝統的な社会で女性にお金を使えるようにさせ、借りたお金で自家労働させるというのは、大変な苦労があったに違いない。

●人を信用し、創造性を引き出す

 ユヌスは今年3月に来日した際に行なった講演で、大意次のように語った。
 「よくグラミン銀行の成功の秘訣は何かと聞かれる。とりたてて調査したわけではないが、普通の銀行と反対のことをしただけなのだ。金持ちではなく貧しい人たちに貸した。男ではなく女性に貸した。都市部ではなく農村部で貸した。それから銀行員は窓口に座っているのではなく、利用者の家に出向いた。それだけのことである。私たちには契約書もないし、問題が起きたときのための弁護士もいない。信用すれば信頼されるというのが、借り手との関係である」と。
 ユヌスの言葉を解すれば、まず既成の発想を捨て、農村に行って直接人々に当たり、本当に人々が求めているものをつかみ取ったのだろう。そして彼の根底にあるのは、人を信じることである。
 ただし、グラミン銀行は慈善団体ではない。借り手は、自分自身で作り出す仕事を通して返済しなければならない。バングラデッシュはイスラムを国教とする、伝統的なイスラム金融では利子を取らないが、グラミン銀行は違う。企業として利益を出し、社会的な事業を拡大するために、利子を取る。銀行は、借り手に自立自活することを求める。小額を得た借り手は、一所懸命に働いて、きちんと返そうとする。金利は年率20%である。わが国の利息制限法では、元本10万円未満の金利は20%、10万円から100万円未満は18%ゆえ、消費者金融と変わらない年率である。
 グラミン銀行は、1984年に住宅ローンを導入した。住宅ローンの金利は8%。わが国では3〜4%が多いから、これも決して低くない。本気で働かなければ、返済できない。しかし、貧しい人々が求める小額の融資は、その人々の内なる創造性を引き出すのだ。
 ユヌスは著書で言う。「開発の最初の、そして最も重要な仕事は、個々の人間の内部にある創造性のエンジンのスイッチを入れることだ。人々の創造的なエネルギーを花開かせるようなものでなく、貧しい人々の物理的な要求に応えたり、仕事を提供したりするにすぎないプログラムでは、真の開発プログラムとは言えないのだ。だからグラミン銀行は、貧しい人々に施し物や交付金ではなく、信用貸付を提供しているのである」と。
 これぞ信用貸しの精神といえるだろう。そして、本来の金融のあり方も、ここにあるのではないだろうか。

 

●単なる融資ではなく、生活の向上運動

 グラミン銀行では、利用者に約束をさせる。借り手は「16カ条の決意」を学ぶ。その内容は次のとおりである。

1.私たちはグラミン銀行の4つの原則である規律、団結、勇気、勤勉に従い、どんな人生を歩むことになっても、それを実現することを誓います。
2.私たちは家族に繁栄をもたらします。
3.私たちは壊れかけた家には住みません。私たちは家を直し、出来るだけ早く新しい家を建てられるように働きます。
4.私たちは一年中野菜を育てます。私たちは、その野菜をたくさん食べ、残りがあれば売りに出します。
5.種まきの時期には、私たちはできるだけ多くの種をまきます。
6.私たちは家族の人数をなるべく増やさないように家族計画を行います。出費を少なくします。健康に留意します。
7.私たちは子どもに教育を受けさせます。教育を受けさせられるような収入を得られるようにします。
8.私たちはいつでも子供たちや、周囲の環境を清潔にしておきます。
9.私たちは簡易トイレをこしらえ、それを使います。
10.私たちは飲む前に水を沸騰させるか、ミョウバンを使います。私たちは、砒素を取り除くためにピッチャーのフィルターを使います。
11.私たちは息子が結婚するときには、持参金を要求せず、娘が結婚するときには持参金を渡しません。私たちは持参金の呪いにセンターを巻き込まないようにします。私たちは幼い子供同士の結婚を認めません。
12.私たちは誰かに不正を押し付けることも許しません。
13.私たちはより高い収入を得るために、みんなで集まってより大きな投資を始めます。
14.私たちはいつもお互いに助け合います。もし誰かが困難に陥ったら、その人を助けます。
15.どこかのセンターで規則違反があったときには、私たちはそこへ出かけていって、規則を回復するのを助けます。
16.私たちはあらゆる社会活動にそろって参加します。

 これらの16カ条は、銀行がお金を貸す人に守らせる約束を大きく超えている。グラミン銀行は、単にお金を貸して返済を求めるのではなく、人々が貧困から抜け出して、生活を向上させることを誓わせているのだ。これは、生活向上運動といえる。

 ユヌスは、グラミン銀行が「16カ条の決意」を採用するようになってから、ほとんどすべての借り手が学齢に達した子どもを入学させるようになったという。融資による貧困からの脱出が、教育の普及をもたらしているのである。しかも、グラミン銀行は、上級学校に行く子どもには奨学金を出し、教育ローンも提供している。現在3万5千人が利用しているという。

●マイクロクレジットの世界的な広がり

 ユヌスが始めたマイクロクレジットは、バングラデッシュから多くの開発途上国に広がった。それらの国々では、NPOや政府機関、あるいは企業経営者が始めた何千もの組織が、グラミン銀行の成功を見習って、マイクロクレジットを行っている。今では世界の約60カ国で、1億人以上もの貧しい人々がマイクロクレジットの恩恵を受けるようになっているという。
 グラミン銀行自体は、バングラデッシュの国内だけで運営されている。「他国にはいかなる支店も部門もない。また、私たちは、世界のどこかで運営されているマイクロクレジット組織と提携しているわけでもないし、そういった組織に対して何の責任も持たない」とユヌスは著書に書いている。
 またユヌスは言う。「マイクロクレジットはアジアで最も大きく広がった。しかし、また、それはアフリカ、ラテンアメリカの国、そして中東にも足がかりを持っている。マイクロクレジットは合衆国を含む世界の多くの国の貧しい人々の間で動き始めている。これらのプログラムの多くが、その運営方法をグラミン銀行にならっている」と。
 しかし、グラミン銀行は、バングラデッシュで自国に合ったやり方で脱貧困の取り組みをしているのであり、他の国では、自分の国にあったやり方を工夫すればよいのである。ここで、ユヌスが、「マイクロクレジットは合衆国を含む世界の多くの国の貧しい人々の間で動き始めている」と書いていることは注目に値する。私見を述べると、世界で最も富裕な国であるアメリカ合衆国にも、困窮者が多数存在する。大富豪が多数いるにも関わらず、富は一部に集中し、わずかな助けを求めている人々にはめぐってこない。アメリカはそうした自国の社会構造を世界規模に拡大しようとしてきた。アメリカ文明の世界化は、自由とデモクラシーのもとに、貧富の格差の世界化を生み出している。
 ユヌスは言う。「貧しい人々にお金を貸すために、どんな国にも多くのお金が用意されている。それを流動させ、貧しい人々が使えるようにすることがすべての課題なのだ」と。これは非常に重要な発言である。私見によれば、現代の資本主義は、一部に巨大な富が集中し、多くの人々は貧困にあえいでいる。体の一部に巨大なできものが出来て、そこに血液が滞っているようなものである。お金は、本来血液のように、全身に満遍なく、循環すべきものである。それによって、全体が健やかに成長する。富の配分、所得の再配分は、人類の社会が調和をもって発展するために不可欠な課題である。ページの頭へ

 

 

 

第3章 ソーシャルビジネス〜無配当型社会企業が企業と社会を変える

 

●ソーシャルビジネスとは

 ユヌスがここ数年、新たに打ち出しているのが、ソーシャルビジネスである。ソーシャルビジネスという言葉には、まだ定訳がない。私は、今のところ、短く言う時は「社会的企業」、説明的に言う時は「無配当型社会的目標達成企業」と訳すことにしている。また、グラミン銀行の金融とソーシャルビジネスの企業活動を総称する時は、社会事業と呼ぶことにする。
 グラミン銀行は融資だけでなく、さまざまな事業を展開している。その事業は一般の企業とは異なる方針で経営されている。その独自の経営形態を表す言葉が、ソーシャルビジネスである。
 ユヌスは、従来の企業は「最大利益追求型企業」だが、ソーシャルビジネスは「社会的な目標を達成するために考えられた企業」だと言う。ソーシャルビジネスは、普通の企業と同じように利益を目指す。しかし、株式への配当はない。得た利益は、すべて設立の目的である社会的な事業に投入される。こうすることで、企業として採算を維持しながら社会的に必要な事業を拡大していくことができる。配当はないが、出資者は投資金を何年かかけて回収できる。
 ユヌスは「貧困のない世界を創る」に次のように書いている。
 「ソーシャルビジネスは、企業として設計され、経営されるものである。製品やサービス、顧客、市場、費用、そして利益を伴っている。しかし、企業の利益最大化の原理は、社会的利益の原則に置き換えられている。投資家を喜ばせるために最大限の財務上の利益を集めようとするのではなく、ソーシャルビジネスは社会的な目標を達成しようとするのである」と。
 ソーシャルビジネスは、慈善事業ではない。慈善事業では、事業者は資金を一回使えばなくなってしまう。出資者にはお金は戻ってこない。ソーシャルビジネスの場合は、資金は回収が出来、半永久的に事業を続けられる。会社は目的である社会的利益を追求できる。出資者には出資金が戻ってくる。
 ただし、慈善事業も必要だとユヌスは言う。災害時、津波、地震等で被災者を救うには、すぐ救援のできる慈善事業が必要である。しかし、緊急事態が済んだ後はソーシャルビジネスで行ったほうが、より有効な事業ができるというのである。

●情報通信・環境調和等の事業を展開

 ユヌスは、グラミン銀行の経営を行いながら、従来の企業とは異なるソーシャルビジネスを設立し、様々な事業を展開してきた。その過程は試行錯誤の繰り返しだったようだが、現在では25の企業が活動している。
 そのうちの一つがグラミン・フォンである。グラミン・フォンは1996年に設立され、現在ではバングラデッシュ最大の企業になっている。同社は、全国の村々で携帯電話貸与のサービスを展開している。サービスに当たるのは、約30万人いるテレフォン・レディたちである。電話線を敷く固定電話ではなく、携帯電話を貸与することで、人々に情報と通信を提供している。
 情報通信の分野では、グラミン・テレコム(1995年設立)とグラミン・コミュニケーションズ(1997年設立)もある。両社は、農村地域にインターネットによる利益をもたらしている。発展途上国であるがゆえに、情報通信の発達の各段階を飛び越して、インターネットを利用することができている。
 環境問題に取り組むグラミン・シャクティという企業もある。同社は1996年に設立された。ソーラー住宅と生物燃料システムを推進し、地元の女性たちを太陽エネルギー関連の電子部品の生産に従事させ、訓練している。
 グラミン銀行は、これら以外にも多くの企業を設立し、社会的な目標の達成に努めている。ユヌスは、ソーシャルビジネスを使うと社会インフラの整備を急速に進められると言う。たとえば、道路を建設した場合は、企業・団体からは通行料を取り、貧しい人々は無料とする。そういうやり方で、インフラの整備を進めることが出来ると言う。

●利己的人間観の転換

 ソーシャルビジネスは、資本制的企業とは異なる企業のあり方を示している。その根底には、人間観の違いがある。
 近代西欧に現れた経済学は、利潤最大化を原則とする一つのモデルのみで思考してきた。この思考は、人間は個人の利益追求のみに関心があるという人間観に基づく。ユヌスは、著書「貧困のない世界を創る」で、現代の経済学は「人間はただお金だけを動機、満足、幸福の唯一の源とする一次元的な生き物だとする前提」に立っていると言う。
 これに対し、ユヌスは、人間は多次元的であり、利己的な面だけでなく、私利私欲を超えて他人のために何かをしたいという面もあるととらえる。人間は、単に利己的な生き物ではない。私見を言えば、親子の愛は、無償のものである。夫婦の愛も、同様である。兄弟や友人の間でも、無私の献身はある。さらに広く隣人愛や国家・民族への愛、人類愛に基づく行為もある。人間のこうした部分は経済学の対象から除外されてきた。しかし、慈善活動や寄付、社会奉仕は、単に倫理的行為ではなく、社会的な経済活動の一部をなす。
 そして、こうした人間の利他的な面を生かす企業を起こしたいと考えたのが、ユヌスのソーシャルビジネスであると考えられる。ここには経済学における人間観の転換がある。利己的な人間観から利他性を持った人間観への転換である。

 ユヌスは、著書に次のように書いている。
 「人間の根深い特性の一つは、他の人々のために良い行いをしたいという願望だ。それは既存のビジネスでは完全に無視される人間性の一つである。ソーシャルビジネスはこの人間の渇望を満たす。だから人々は惹きつけられるのだ」と。
 さらにユヌスは、次のように言う。
 「人々は人生の意味を求めているのだ。それは私たちの世界をよりよい場所にするために、あなたが本分を尽くしているということを知ることからのみ得られる意味なのである。ソーシャルビジネスはこの『意味』を提供する。だから人々は応じるのだ」と。
 ユヌスがこのように語っているように、ソーシャルビジネスでは、出資者も労働者も「他の人のために良い行いをしたいという願望」がかなう。その行いを通じて、自分の人生に意味を見出す。もっと言えば、生きがいを感じ、自分の存在に意味を感じるのだ。
 今年(2009年、平成21年)3月の来日講演でユヌスは言う。
 「若者は目標がないといわれる。50年前、社会主義がわれわれを魅了したが、その夢はいまなくなった。夢がなくなると挑戦をしなくなる。ソーシャルビジネスを話題にすればエキサイティングな会話が広がるはずだ。どういう問題があって、どうやったら解決できるかを考えるのだ」と。

●共同存在的・共有生命的な人間のあり方

 私見を述べると、人間は集団的な動物であり、生命を集団的に共有している。決して個人は、自立した原子的な存在ではない。父母という親があって自分がある。先祖があって子孫がある。男女が結びつくことで、初めて人間の生命は継承される。人間の存在は、単に「ある」ということではない。人間は、生きて存在する。人間は、存在論的には共同存在的であり、かつ共有生命的である。またそれゆえに、認識論的には共同主観的・間主体的である。
 共同存在的・共有生命的な人間には、利己的な面がある。それは、自己の保存のために必要な機能である。しかし、人間には同時に利他的な面がある。それは集団の維持・繁栄のために必要な機能である。利己的になりすぎると、他者否定・他者犠牲となる。利他的になりすぎると自己否定・自己犠牲となる。利己的・利他的のどちらに偏りすぎても、自他のどちらかが成り立たない。
 人間は集団的な動物であり、その基本的集団は家族である。家族は、共有生命的な人間の単位集団である。家族という単位集団は、時間的には先祖や子孫へと、生命的に連なり、空間的には親族や地域共同体へと、社会的に広がる。その時間的・空間的かつ生命的・社会的な関係の中に、各個人が生きて存在する。個人は、こうした関係の中に、親を通じて生まれてきた。またいつか死んでいく。人は時間的に有限の存在である。しかし、異性と結びつき、子どもを生み育て、さらに子孫をつくることによって、超個体的に生命を維持・発展させることができる。
 家族において、人は親子・夫婦が共に生き、共に栄える関係にある。その関係は、利己・利他の一致による共存共栄の関係である。この関係が、人間の社会的関係の原型である。自他一如の共存共栄の道こそ、人間の共同存在的・共有生命的な本質を実現するものである。

 このような観点から見ると、資本主義は利己主義に偏り、慈善事業は利他主義に偏り、一面的である。その中間において、利己・利他一致の道を目指すのが、ソーシャルビジネスであると理解できる。
 家族のためになり、他人のためになり、皆のためになるというときに、人は生きがいを感じ、自分の居場所を見出し、自分の行いに喜びを感じる。その喜びは、自己の個人的な欲求の満足よりも、遥かに強い。これは共同存在的・共有生命的な人間本質にかなった行為だからである。しかもその行為が単に利他的でなく、自分自身の成長・向上になるときに、人は自己実現の道を歩むことが出来る。自他が互いに自己実現を促し合い、協同的・相助的に自己実現が行われる。そのような社会が共同体であり、個人主義でも全体主義でもない共存共栄の社会である。経済の仕組みは、こうした共同存在的・共有生命的な人間本質にかなったものに変えていかなければならない。経済とは、人間の生命・生活の物質的な部分の生産・消費の活動にすぎないからである。

 

●自由市場に国際的な規制を

 一部の人々の極端な強欲のせいで市場がカジノに、ギャンブルになってしまった。利潤最大化のなれの果てである。その幻の繁栄が崩壊した。「今回のバブルの後、また同じ出発点に戻ってはいけない」とユヌスは言う。
 ユヌスは、資本主義を否定していない。資本主義を止めて社会主義・共産主義へという選択肢は、彼にはない。またユヌスは、グローバリゼイションに反対しない。
 ユヌスは著著「貧困のない世界を創る」で言う。「グローバリゼイション、すなわち自由市場が国境を越えて広がるべきであるという考えを支持する」「グローバル化はどんな選択肢より貧しい人々に利益をもたらすことができる」と。
 こうした彼の態度を意外に思う人があるかもしれないが、マイクロクレジットもソーシャルビジネスも、資本主義を前提としている。現在の資本主義の改善の方法として、これらが実施されている。ソーシャルビジネスは、グローバリゼイションの中で普及した携帯電話、インターネット、ソーラーパネル等を、バングラデッシュの貧困層に提供している。これらは自由市場の全地球化の過程で、有力な商品として普及した。バングラデッシュのような最貧国では、困窮者がそれらを利用することで、生活の自立・向上ができている。

 そのうえでユヌスは言う。「しかし、適切な監視やガイドラインなしには、グローバル化は、非常に破壊的なものになる可能性もある」と。彼は、次のようなたとえを使って意見を述べる。
 「世界貿易は世界中に交差する100車線の高速道路に似ている。そこに信号も制限速度もサイズ制限も車線もなかったとしたら。世界の最も強力な経済からくる巨大なトラックによってふさがってしまうだろう。(略)『最も強い者がすべてを取る』というルールは、貧しい者が高速道路の上を確実に走れるための規則に取り替えなければならない。それができなければ、グローバルな自由市場は、経済帝国主義の支配の下で失墜してしまうだろう」
 ユヌスは、自由主義的資本主義に規制を行なう必要があると主張している。国家間の貧富の差を踏まえた国際的規制である。これは先進国と発展途上国の間の南北問題、また発展途上国間での資源を持つ国、持たない国の間の南南問題への対応に関わる課題である。
 ユヌスは言う。「私の経験から言えることは、自由市場が本来通りに力強く、役立つ限りは、たとえば世界的な貧困や、環境の悪化といった問題に取り組みことが出来るということだ。しかし、自由市場が最も豊かな株主の財政目標をただ満たし続けるだけのものなら、それは無理である」
 そして、「いまこそ新しい形の資本主義が必要だ」と言う。その切り札がソーシャルビジネスであると提示するのが、ユヌスの主張である。

●ソーシャルビジネスは私企業の欠陥を補う

 今は利益追求が唯一の経済のあり方だと考えられている。しかし、もう片方の部分に、ソーシャルビジネスを取り入れることで、貧困や環境の問題に取り組めるとユヌスはいう。
 ソーシャルビジネスが目指す目標とは、貧困や環境問題などの社会問題の解決である。社会問題の取り組みは、一般に政府が主に担っている。しかし、ユヌスは、政府の取り組みは多数の合意を必要とするので、速度が遅いという。ソーシャルビジネスは、意思決定が早く、小額の出資金で事業化できる。
 ユヌスの考えでは、ソーシャルビジネスは、今の資本主義の欠陥を補うものとなる。とりわけ貧困に苦しむ困窮者を救う手立てとなる。これは、新しい形の資本主義のモデルとなる。
 ソーシャルビジネスへの投資は寄付ではなく、戻ってくる。ソーシャルビジネスの株式市場を作ることをユヌスは提案している。ソーシャルビジネスの事業の目的を明らかにすれば、人々は投資する気になる。なすべきことをすれば、自ずと資金は入ってくるとユヌスは信じている。
 仮にそういう株式市場が実現すれば、自由資本主義の金融市場において、ソーシャルビジネスの無配当型社会企業の株式市場は、従来の利益追求型私営企業の株式市場と並存するものとなる。人々は、どういう企業にどれだけ投資するかを選択することが出来る。
 ユヌスは、ソーシャルビジネスは「市場に『世界を変える』という新たな目標をもたらす、新しい種類のビジネスとなるだろう」と語っている。

●「新しい形の資本主義のモデル」と言えるか

 私見を述べると、まず社会問題に対し、政府が主体で取り組む場合、社会保障を充実させると、国家財政が肥大し、納税者の負担が増える。重税を避けて財政赤字を膨らませれば、国家破産に至りかねない。だから、民間の力を発揮することが必要である。社会問題の取り組みを民間で主に行なっているのが、NPO(民間非営利団体)、NGO(民間公益団体)である。
 ユヌスのソーシャルビジネスは、社会貢献活動を非営利ではなく、事業性を確保して行なうものである。株式による出資を募るので株式会社であり、営利団体である。一般の私有私営企業との違いは、私企業は私的利益の追求を目的とするが、ソーシャルビジネスは、社会的問題の解決を目的とする。私企業であっても、私的利益より社会的利益の追求を優先する経営をすれば、ソーシャルビジネスを担いうるだろう。

 次に、ソーシャルビジネスが、「今の資本主義」の欠陥を補い、「新しい形の資本主義」のモデルとなり得るかどうかという点について。私は、まず資本主義の定義を明らかにする必要があると思う。ユヌスの定義は、明らかでない。資本主義は、生産手段を私有する資本家が、生産手段を持たない労働者の労働力を商品として買って商品生産を行なう生産様式を言う。また、こうした生産様式が支配的な社会を資本主義と言う場合もある。ソーシャルビジネスについて、資本主義の企業の欠陥を補うとは言えるが、資本主義の社会の欠陥を補うとまでは言えないと私は思う。それゆえ、私はソーシャルビジネスが「新しい形の企業のモデル」とは言えるが、「新しい形の資本主義のモデル」とまでは言えないと思う。
 ユヌスは、グローバルな自由市場を前提とし、従来の私有私営企業とソーシャルビジネスの企業が並存している社会をイメージしている。これは、世界的な資本主義システムの中で、新しい形の企業が増加することであって、「新しい形の資本主義」を実現するものではない。

●多国籍企業との提携で栄養失調の子供たちを救う

 グラミン銀行は2006年(平成18年)、フランスに本部のある世界有数の大手食品会社ダノンと合弁会社を作った。グラミン・ダノンは、ユヌスとダノンの会長・CEOのフランク・リブーの出会いによって生まれた。ダノンは、わが国でもヨーグルトやミネラル・ウォーターを販売している。グラミン・ダノンは、バングラデッシュでヨーグルトを生産・販売している。これが、多国籍企業と提携したソーシャルビジネスの第1号となった。
 バングラデッシュには、栄養失調の子供が多い。その子供たちを栄養失調から救うために、グラミン・ダノンは栄養豊富なヨーグルトを販売している。このヨーグルトには、ビタミン、鉄分、ヨウ素、亜鉛等が強化されている。週2回食べることで、子どもたちは健康に成長できている。
 村人は、貧しい。大半は、1日2ドル以下で生活している。高いヨーグルトでは買えない。ユヌスは、ダノンに要望し、そうした人々でも買える安価なヨーグルトの生産を要望した。利益が出なければ、事業は続かない。安くても収益性があるという条件を満たさねばならない。

 グラミン・ダノンが売り出したヨーグルトは、1個9円である。どうしてこんなに安い価格が可能になったのか。
 グラミン・ダノンは、設備投資を最小にするため、長距離輸送、冷蔵倉庫と冷蔵トラック、他の高価な流通システムを使用しない。毎日ヨーグルト製品を製造し、冷蔵庫の普及していない農村に48時間以内にヨーグルトを届ける。訪問販売員が、一戸一戸回って直接販売する。販売員は、女性である。9円のヨーグルトを売るとその1割が儲けになる。原料となる牛乳は、工場の近くの農家から買う。周辺には牛を飼っている農家がたくさんある。これにより、農民は、安定した現金収入が得られるようになった。こうしてヨーグルトの生産・販売が、栄養の提供と雇用の創設の一石二鳥になっている。
 グラミン・ダノンのヨーグルトは、派手な容器を使わない。高額な広告もしない。販売員が、戸別訪問で販売するから、容器や広告等の経費を抑えられる。
 しかも、容器も、環境に配慮している。ユヌスは、ダノンに対し「プラスチックの容器では環境によくない」と言い、「食べられる容器を作ってほしい」と依頼した。ダノンは、それを開発し、子供たちは容器まで喜んで食べている。

 グラミン・ダノンは現在、年間売上高が2兆円だという。細々とやっているNPOとは比べ物にならない事業規模である。同社はソーシャルビジネスを行なう株式会社である。会社は事業を維持するため、利益を出すが、出資者に配当金は出さない。利益は、社会的事業の拡大に利用される。事業の目的は利益ではなく、「何人の子供を栄養失調から救えるかが目的だ」とユヌスは言う。
 ダノンは、この事業で大きな利益を上げていない。しかし、企業の社会的な責任を果たしていることが、同社のイメージアップになっているという。
 

●自動車・水等へと提携は広がる

 ダノンとの提携が始めとなって、「多国籍企業がわれわれの活動に理解を示し、実際に合弁を組むようになって世界はようやくソーシャルビジネスに注目してくれるようになった」とユヌスは語っている。
 フォルクスワーゲンが、どういう協力が出来るかとユヌスにきいてきた。「バングラデッシュの貧しい人々も買える自動車を作ってほしい。エンジンはグリーンエンジンとし、しかも多目的にしたい。バングラデッシュの人々が、そのエンジンを潅漑用のポンプや自家発電にも使えるようにしてほしい」とユヌスは言った。要望を受けたフォルクスワーゲンは、「可能だ」と答えているという。
 バングラデシュでは、水の問題がある。人口の2分の1が安全な水を飲めていない。この問題を解決するため、ユヌスは、フランスのヴェオリアとソーシャルビジネスを組んだ。ヴェオリアは世界一の水道事業関連会社で、フランスのスエズ、イギリスのテームズ・ウォーター等とともに、ウォーター・バロンズ(水男爵)という異名を取る大手水企業である。
 グラミン銀行とヴェオリアが作った合弁企業グラミン・ヴェオリア・ウォーターは、バングラデッシュで安全な水を販売している。1リットル=1ドルでは、村人は安全な水を買えない。徹底したコストダウンによって、現在、村々で4リットル=1セントで供給されているという。
 世界的に見て、最も深刻な資源の問題は、水、特に飲料水だから、この事例は、安全な水の飲めない人々に希望を与えるだろう。

 ユヌスは、今日の世界の問題は、既存の技術で解決できると言う。既に十分な技術をビジネス界は所有している。それが利益の追及にばかり使われている。その技術を解放して、社会問題の解決に使ってもらいたいとユヌスは希望する。そして、大企業が利潤を追求するために開発した技術やシステムの一部を、ソーシャルビジネスに提供してもらえれば、「新しい資本主義が可能になる」とユヌスは言う。
 私見を述べると、私企業が所有する技術やシステムがソーシャルビジネスに提供され、貧困や環境など社会問題の解決に活用されるのは、素晴らしいことである。しかし、それが即ち、「新しい資本主義」を可能にするものとは言えない。資本主義社会の中に、新しい形態の企業が増えるというところまでしかは言えない。

●医療におけるソーシャルビジネスも順調に

 ユヌスはソーシャルビジネスを保健医療の分野にも広げている。
 2006年(平成18年I、グラミン・ヘルスケア・サービスがソーシャルビジネスとして創設された。医療分野への進出である。その最初の事業計画の一つが、年間1万件、白内障手術のできる眼科病院を設立することだった。
 翌07年(19年)、最初のグラミン眼科病院がオープンした。この病院では白内障の手術費用は25ドル、約2500円である。お金のある人は手術代を払うが、貧しくて払えない人は無料である。手術代を支払える人が支払えない人に補助金を出すのと同じ仕組みとなっている。これまで手術を受けた人の半分は、無料だった。
 このやり方で、病院は十分利益が上がっており、出資金9000万円を5年で回収できる見込みだという。この成功をもとに、ユヌスは、保健医療の分野をすべてソーシャルビジネスにしたいと考えている。

 アメリカには、わが国の国民健康保険のような国民皆保険制度がない。公的保険制度には加入制限があり、高齢者・障害者限定のメディケアと低所得者限定のメディケイドの二種類しかない。低所得者層と民間保険会社を利用できる富裕層との中間に、公的保険にも民間保険にも入れない無保険者層がある。その層が国民の約15%を占める。その人たちは、病院にかかると、全額自分で支払わなければならない。
 たとえば、私の知人はお産で入院し、2泊で170万円かかった。産婦は2日くらいで退院しないと、費用が嵩み、後で支払いきれなくなってしまう。盲腸の手術でさえ、240万円ほどかかる。保険に入れる人はいいが、入っていても、なかなか保険金がおりない。だから、病気になると、医療費を払えず、破産してしまう人が多くいる。医療費負担にともなう個人の自己破産は、クレジットカード破産に次いで多い。
 こうしたアメリカについて、ユヌスは、ソーシャルビジネスによる保健医療が有効だと示唆する。ユヌスは著書「貧困のない世界を創る」で言う。「合衆国では健康保険に入っていない4700万の人々がいるが、彼らはうまく設計された革新的なソーシャルビジネスが活躍する肥沃な市場であるかもしれない。ソーシャルビジネスだけが、合衆国における医療サービスの長年の問題を解決する可能性があると主張する人がいるかもしれない」と。
 もしアメリカの保健医療において、ソーシャルビジネスが有効であるという成果が出れば、先進国においても先進国型貧困層の自立に、ソーシャルビジネスが役立つかもしれない。

 

●「人間が作り出した現象は人間が解決しなければならない」

 バングラデッシュは、かつてはパキスタンの一部だった。パキスタンは1947年、インドから独立した。ヒンズー教を主とするインドから、イスラム教徒が分かれたものである。インドを間にはさんで東西に分かれる飛び地国家だった。東に位置していた東パキスタン州が1971年に独立し、バングラデッシュとなった。
 建国以来、バングラデッシュは世界の最貧国の一つとして知られている。非常に厳しい生活条件――極度の人口過密、洪水、森林伐採、浸食、土地の減少、サイクロン・竜巻・高潮等――が続いている。
 なかでも水害は深刻である。国土の5分の1が海抜1メートル以下であり、毎年、洪水の被害が出る。防護システムや堅固な堤防をつくることのできる国であれば、被害は小さく押さえられている。バングラデッシュは貧しく、それができないため、被害が大きくなっている。
ユヌスは言う。「バングラデッシュの本当の問題は天災ではないのだ。問題は広範囲に及ぶ貧困であり、人間が作り出した現象なのである」と。
 そのうえ、地球温暖化の影響が増大している。海面上昇が進み、低地では広範囲に洪水の危険が拡大している。地球的な気候変動の最前線に、バングラデッシュはいるのだ。
 ユヌスは「人間が作り出した現象は、人間が解決しなければならない」と言う。
 
●太陽光発電で環境と調和しながら電化を進める

 ユヌスは1996年、バングラデッシュで地球温暖化に立ち向かうため、グラミン・シャクティというエネルギー会社を立ち上げた。
「バングラデッシュの人口の70%に電気が届いておらず、電気が通じているところであっても、それはまったく頼りないものである」とユヌスは言う。
 グラミン・シャクティは、電気のまだ来ていない村にソーラーパネルを普及させ、太陽光発電で電化を進めている。この事業を、グラミン・シャクティはソーシャルビジネスで行っている。人々は電化によって貧困から抜け出ることができ、生活が向上する。しかもそれをクリーン・エネルギーで実現し、環境との調和を図るのが、ソーシャルビジネスならではの事業である。
 ソーラーパネルは、村の家の屋根に取り付ける。出力はわずか50ワットである。通常、四つの白熱灯を4時間灯すのに必要なエネルギーを発生させることができる。その電気をバッテリーにためることで、子供たちは電灯の下で宿題をしたり、親たちはラジオを聴いたりテレビを見たりできる。携帯電話も使えるようになった。
 ソーラーパネルとコンバーターのセットで設備費用は、4万円ほどである。利用者は、毎月1000円を3年ほどかけて返済する。この割賦払い制度で、月に7〜8000枚販売しているという。
 グラミン・シャクティは、10万台以上のソーラー・パネルシステムを全国あらゆる場所の家に設置してきた。ユヌスは、2012年までに100万台のソーラー住宅システムを設置しようという計画を持っている。
 太陽光発電の事業は、雇用を生み出してもいる。ソーラー住宅用の電灯などを組み立てる仕事である。10日間の講習を受けると、自宅で組み立てられるようになり、収入を得られる。

●バイオガスも利用

 グラミン・シャクティは、家畜の糞尿を利用したバイオガスの普及もしている。養鶏場からは、数百キロの糞尿が出る。糞尿が発酵すると、メタンガスが出る。それを家々にパイプラインで送るのである。子供たちは燃料のための薪拾いの労働から解放された。母親たちは炊事にガスを利用できる。
 このバイオガス・システムは、16万円する。村人は共同でグラミン銀行から金を借りてシステムを敷く。こうしてバイオエネルギーを村人の生活に取り入れる事業もグラミン・シャクティは、行っている。
 太陽光発電やバイオガスの利用には、ユヌスの環境への姿勢が表れている。ユヌスは、より安全な世界を次の世代に引き継ぐべきであり、もはや危険なテクノロジーは使ってはならないと考えている。
 「貧困のない世界を創る」でユヌスは言う。「すべての世代は自分の時代よりもこの星を健全な状態で残していかなくてはならない」「自分たちのライフスタイルが、他の人の人生を危険にさらすことがないようにしたい」と。
 先進国に生きる日本人は、地球環境への影響を考えるだけでなく、発展途上国の困窮者への影響も考えて、「石油の時代」から「太陽の時代」への移行を加速しなければならない。ページの頭へ

 

 

第4章 貧困の解決と平和への道

 

●極端な富の偏在が貧困を生む

 2000年(平成12年)に行なわれた国連大学の世界開発経済研究所の報告によれば、最も豊かな1%の人々が世界の資産の40%を所有しており、最も豊かな10%の人々が85%を所有していた。対照的に、世界の貧しい半分の人口が所有しているのは、この地球上の資産のわずか1%にすぎなかった。
 所得に関しても、世界の所得の94%は、世界の40パーセントの人々のところに集まっている。残りの60%の人々は、世界所得のうちわずか6%で暮らしている。世界の人口の半分は1日当たり2ドル以下のお金で生活している。うち、およそ10億人が1日当たり1ドル未満で生活している。
 ユヌスは「貧困のない世界を創る」で言う。「貧困は、運命をコントロールしようとするあらゆるものを人々から奪うため、人権の否定になる」と。またユヌスは、NHKの番組のインタビューで「貧困とはチャンスのないこと」だと語っている。金融や教育が、人生を変えるチャンスを生む。マイクロクレジットとソーシャルビジネスは、世界の人口の60%を占める下層の人々にチャンスを与え、彼らが貧困から脱出するのを支援できる可能性がある。
 ヘンリー・キッシンジャーは、アメリカのニクソン政権で国家安全保障会議の代表を務めていたとき、バングラデッシュを「救いようのない国」と呼んだ。しかし、ユヌスは、その「救いようのない国」で改革を成功させている。ユヌスは著書で言う。「つい最近まで『救いようのない国』と言われていたバングラデッシュが貧困から抜け出すことができるなら、世界各国が同じようにできないわけがないのだ」。
 またユヌスは次のように書いている。「グローバルな貧困の問題は、私たちの種としての存続をも脅かすようなものを含め、人類が直面している他の多くの課題に、深く織り込まれている。これは資本主義のシステムを改革し、私がソーシャルビジネスと呼ぶ新しい種類の企業に場所を開ける必要性をもっと切迫なものにしている。『正しい行いをすること』は、もはや自分たちが気持ちよくいられるというだけのことではない。私たち自身と未来の世代が生き残るために必要なことなのだ」

●「貧困は世界平和への脅威」

 2006年(平成18年)10月10日、ムハマド・ユヌスは、ストックホルムで行なわれたノーベル賞受賞記念講演で次のように語った。
「21世紀は素晴らしくグローバルな夢とともに始まりました。世界の指導者たちが2000年に国連本部に集まり、2015年までに貧困を半分にするという歴史的な目標を採択したのです。(略)
 しかしその後、9・11が起きてイラク戦争が始まり、突然、世界は夢の追求から脱線してしまいました。世界の指導者たちの注意は、貧困との戦いからテロとの戦いへと移ってしまったのです。以来、合衆国だけでも5300億ドルものお金がイラクとの戦いに費やされています。
私はテロというものは、軍事行動では打ち負かすことはできないと信じています。テロは最も強い言葉で非難すべきです。私たちはテロに対しては強固に反対し、終わらせるあらゆる手段を見つけなければなりません。テロが永遠に起こることがなくなるよう、その根本的な原因に取り組まなくてはならなりません。貧しい人々の生活を向上させるために投資することは、そのお金で銃器を買うことよりもよい戦略であると私は信じています」
 テロを撲滅するには、軍事行動ではなく、貧困をなくすることだ、とユヌスは考えている。「貧困は世界の平和への脅威である」とユヌスは言う。彼は著書に次のように書いている。「暴力と戦争を推し進めるものとしてよく挙げられるあらゆるテロ、宗教原理主義、民族対立、政治競争、そしてどんな軍事力よりも、貧困は危険なものである。貧困は希望を失わせ、人々を捨て身の行動に駆り立てるのだ」。
 そして、彼は言う。「貧困は不足する資源――水、耕地、エネルギー供給、よく売れる生産物などーーをめぐっての人間同士、一族同士、民族同士の苦い対立も引き起こす。(略)国民が貧困のために野蛮になっている国では、戦争に訴えるのが簡単だと思えるのだ」と。

●貧困の解決だけでは、平和は実現しない

 ユヌスは「貧困は世界平和への脅威」であるとし、貧困の撲滅が平和の実現となると主張する。私はこの点には疑問がある。貧困の撲滅は、世界平和への前進となるだろう。しかし、それは必要条件であって、十分条件ではない。歴史が示しているのは、戦争は貧しい国々同士で起こるよりも、豊かな国々の間で多く起こるということである。
 近代の戦争は、イギリス・スペイン・オランダ・フランス・ドイツ・アメリカ等、欧米の豊かな国がその勢力を拡大しようとして戦争したり、あるいは自らの地位を脅す新興国と戦争したりしたことが多い。貧しい国よりも、豊かな国同士が資源や市場を奪い合うのである。戦争に使う武器も、豊かだからこそ購入できる。
 だから、貧困を撲滅すれば、世界が平和になるとは限らない。貧困から脱し、富を得たことで、一層の豊かさを求め、国々が戦い合うということも考えられる。たとえば、共産中国は、貧困から脱することで軍事大国となり、核大国となっている。21世紀には、石油や資源、食糧を求めて、世界各地で摩擦を起こしている。
 私が思うに、欲望の拡大が、多くの戦争の原因となっている。貧困よりむしろ欲望の暴走が、平和への脅威であると私は思う。それゆえ、貧困からの脱出と、欲望の抑制という二つの課題を同時に実現する方針が必要だと思う。

●テロリズムは貧困のみから生まれたのではない

 テロリズムについても、ユヌスの見方に私は異論がある。ユヌスは、テロをなくすには、貧困を解決することが必要だと言う。だが、イスラムのテロリストは、貧困のために絶望的な心境からテロを行うのか。確かに、世界規模での極端な貧富の差や、アラブ諸国における貧困の存在が、テロリズムの背景にはある。しかし、中東の歴史と現状は。複雑である。
 今日のイスラムのテロリズムは、英仏による中東の分割、特にイギリスによるイスラエルの建国抜きに考えられない。イスラエルが建国されたことによって、パレスチナの住民が土地を追われ、難民となった。イスラエルは、ロスチャイルド家の資金によって建国された。その後、イスラエルと周辺諸国が紛争を繰り返しているが、イスラエルが強力な軍事力を持っているのは、豊富な資金が流入しているからである。
 イスラムのテロリズムは、こうしたイスラエルと、イスラエルを支援するアメリカ・イギリス等の国々への対抗という性格を持っている。だから、貧困の解決だけでは、テロの撲滅にはならない。
 テロリスト集団には、貧困層から多くの参加者が出ているが、彼らに武器を与え、訓練の機会を作っているのは、武器を購入でき、資金を援助する者がいるからである。かつてソ連は、中東の石油・天然ガスの輸送ルートを確保するために、アフガニスタンに侵攻した。このソ連軍に対抗させるためにアメリカのCIAが豊富な資金を投じて育成したのが、タリバンである。タリバンは、その後、アメリカに反発し、イスラム過激派の中心勢力となった。彼らは、単に困窮者の集団ではない。背後には、彼らに資金を提供する者がいる。石油によって富を得たサウジアラビアの一部王族の存在が指摘されている。だから、私は、貧困をなくせば平和が実現するという主張は、一面的だと思う。
 ただし、このことは、ユヌスのマイクロクレジットとソーシャルビジネスの画期的な活動の価値をいささかも引き下げるものではない。あえて平和に結び付けることなく、貧困そのものの解決を目指して事業を展開していけばよいと思う。ページの頭へ

 

第5章 日本への期待と日本での展開

 

●「一人一人が世界を変えたいと思えば、世界は変えられる」

 NHKの番組のインタビューで、ユヌスは、貧困は貧しい人々が作ったものではなく、社会システムが生み出したものだという。「人間が作ったものは、人間が変えられる。世界危機の今こそ、世界全体がどういうシステムであるべきかを考えるべきである。一人一人が世界を変えたいと思えば、世界は変えられる」とユヌスは言う。
 こう発言するユヌスは、日本人に大きな期待を寄せている。
 今年(2009年、平成21年)3月、ユヌスは来日し、東京・神戸等で講演を行った。
 講演において、ユヌスは日本人への期待を語った。日本は世界第二の経済大国であり、世界最先端の技術を持っている。だから、日本がソーシャルビジネスに本気で取り組めば、世界を大きく変えることができる、と期待しているのである。
 ユヌスは、大意次のように語る。―――利益追求だけではない「新しい資本主義のモデル」を、日本に目指してほしい。今の資本主義は、作り直す必要がある。危機は変革のチャンスである。今日の世界経済危機は、一部の国が作り出し、それにより世界中が苦しんでいる。危機に直面している今こそ、変革の最大のチャンスである。日本はJICAやODA等に、ソーシャルビジネスを取り入れれば、大きな貢献が出来る。日本のODAはアジア最大だが、その一部をソーシャルビジネスに活用してはどうか。また、企業は社会的責任(CSR)を果たすため、社会貢献の予算の一部をソーシャルビジネスに使ってはどうか、と。

●日本人と日本企業の取り組み

 われわれ日本人は、これまで米英的、より正確に言えばアングロ=サクソン=ジューデイックな資本主義に追従・模倣してきた。強欲的・賭博的な資本主義に対し、同様の仕方で対抗しようとした。その結果が、今日のわが国の財政危機である。しかも、宗主国的地位にあるアメリカの経済は破綻した。
 わが国は、これまでの経済のあり方を根本的に考え直さねばならない。経済中心、お金中心でものの豊かさのみを追い求める社会ではなく、人間中心で、心の豊かさを求める社会へと向上しなければならない。そういう課題を持ってユヌスの活動と提言を見るならば、マイクロクレジットとソーシャルビジネスは、わが国の海外援助の方法としても、また国際企業のあり方としても有効だと思う。

 最後に、わが国におけるソーシャルビジネスの現状に触れて、本稿を終えたい。
 ソーシャルビジネスの所轄官庁は、経済産業省である。経産省は今年2月、ソーシャルビジネスについて公募し、55の先進的事例を選定した。事例は、街づくり・観光・農業体験、子育て支援・高齢者対策、環境・健康・就労、社会企業家の育成支援の4分野で選定された。同省ではこの選定をきっかけにソーシャルビジネスの認知度を高め、新しい産業と雇用が生み出されることを期待しているという。
 続いて4月3日、同じく経産省の「ソーシャルビジネス研究会」が報告書を発表した。同研究会が行なった事業者アンケートによると、ソーシャルビジネスの組織形態は、NPO法人が46.7%、営利法人は20.5%で、非営利団体が現状では、主な担い手である。団体当たりの従業員数は、常勤者が4人以下の団体が過半数だった。同研究会では、ソーシャルビジネスの課題と支援策として、社会的認知度の向上、資金調達の円滑化、人材の育成、事業展開の支援、事業基盤の強化の5点を挙げている。
 それゆえ、わが国のソーシャルビジネスは、これからその存在を一般の国民に知らせ、信頼感を高め、事業を拡大していくという段階にある。今後、日本の資本主義を改善するための方策の一つとして、ソーシャルビジネスの発展が注目されるところである。
 私は、わが国の国際企業からも、ダノン、フォルクスワーゲン、ヴェオリア等のように、バングラデッシュで現地企業と提携してソーシャルビジネスを展開する企業が出ることを期待したい。また今後バングラデッシュ以外の国でも、ソーシャルビジネスが増加していくだろう。わが国の企業が技術やノウハウを生かして、それぞれの国の必要に応える事業提携をしていくとよいと思う。
 困窮者を見捨てるのでなく、また貧困層から収奪するのでなく、世界人口の6割を占める人々が貧困から脱出することを支援する。それによって、世界的な極端な貧富の差を是正していくことに、日本人と日本企業が貢献できるとすれば、素晴らしいことだと思う。ページの頭へ

 

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