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野田首相と民主党政権の末路

2011.10.16

 

<目次>

はじめに

第1章 野田首相のもとで深まる混迷

第2 朝鮮の南北から侵食される民主党

第3 金権体質・融合

民主党政権末路

 

 

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はじめに

平成23年(2011)9月2日、野田内閣がスタートした。野田首相は、民主党が政権を取ってから、3人目の総理大臣である。この間、鳩山由紀夫氏、菅直人氏が内閣を率いたが、鳩山氏は「史上最低の首相」と呼ばれ、菅氏は「史上最悪の首相」と呼ばれた。

国民の多くは、民主党のお粗末さに落胆し、不満と怒りを募らせている。民主党政権の延命を図る野田氏は、国民に新たな失望と危機感を与えている。

野田首相と民主党政権の末路について書きたいと思う。

 

 

第1章 野田首相のもとで深まる混迷

 

●野田佳彦という政治家


 私が野田佳彦という政治家の名を知ったのは、小泉政権の時代、いわゆる「A級戦犯」に関して野田氏が政府に見解を質した時である。
 野田氏は平成17年(2005)に提出した質問主意書で「サンフランシスコ講和条約と4度の国会決議などで、すべての戦犯の名誉は法的に回復されている」と強調した。小泉純一郎首相が国会答弁で、靖国神社に合祀されている「A級戦犯」を「戦争犯罪人だと認識をしている」と述べたことを批判したものである。この点、野田氏の認識は正しい。
 私は、野田氏が民主党の国会議員でありながら、他にも歴史認識において確かな見方をしていることに注目した。だが、当時から野田氏が8月15日に靖国神社に参拝し、戦没者追悼中央国民集会に参加したとは聞かない。いわゆる慰安婦問題についても、アメリカ・韓国でのわが国への誤解に対し、積極的に反論を述べる政治家の中に、私は野田氏の名前を見たことがない。歴史認識について、野田氏の本気度は伝わってこないのである。
 私が野田氏の力量に疑問を持ったのは、平成18年の偽メール事件のときである。野田氏は、平成21年(2009)に出した著書『民主の敵』(新潮新書)でこの事件に触れ、「この問題には私も深く関わっています」と書いている。
 当時野田氏は民主党の国会対策委員長だった。国対委員長とは、国会における党所属議員の質問やその内容のチェック、質問議員の手配や順番決めをする役職とされる。野田氏は、その役職にある者として、永田寿康議員が問題のメールについて質問をすることを認めたわけである。メールはガセネタだとわかり、前原誠司氏が民主党代表を辞任した。このとき、野田氏も国対委員長を辞任した。情報の裏を取らずに他党を攻める民主党幹部の軽率さをさらけ出した出来事だったが、党の代表が辞任せざるをえなくなったのは、野田氏の責任が大きいだろう。私は、それ以来、野田氏の力量に疑問を持っている。これは政治家として力量というより、人間としての力量である。
 永田氏は事件後に自殺した。野田氏は、著書で永田氏の自殺について触れ、「私自身の甘さは、今でも痛感しています」「私は生涯、この重たい十字架を背負っていくことになるでしょう」と書いている。
 わが国は今、自分の甘さで同僚議員の自殺を招いた「重たい十字架」を背負う政治家が首相を務めているのである。

●民主党の中の「保守政治家」

 野田氏は、「保守政治家」を自称する。民主党員だが、氏の言動を見る限り、自民党のリベラル派より、保守的色彩が強い。いわゆるA級戦犯は戦争犯罪人ではないとする野田氏は、日本が満州事変から一貫して侵略戦争を行ったとする東京裁判史観を批判し、南京大虐殺を虚構とする。自ら「新憲法制定論者」だと述べ、集団的自衛権の行使は原則認めるべきだ、と主張する。北朝鮮には「断固たる態度をとるべきだ」と主張し、朝鮮銀行の救済に反対した。尖閣諸島に中国人活動家が上陸した時には、尖閣が日本の領土であることを確認する国会決議を提案した。永住外国人への地方参政権付与には、「明確に反対」と述べている。
 確かに、こうした言動は、保守的である。だが、野田氏のいう保守は、何を保守しようとしている保守なのか、明確でない。民主党は、平成21年の衆議院選挙では、2009年版のマニフェストを掲げて政権交代を成し遂げた。マニフェストには、リベラルな政策や社会民主主義的な政策が多く、提示されていた。野田氏は、基本的にそうした民主党の政策を支持している。この姿勢には、保守的な言動とかなり矛盾する点がある。
 私は、民主党は反自民で、保守・リベラル・社会民主主義者等、様々な勢力・団体が寄り集まった団体だと思う。共通点は、反自民である。民主党内の保守は、思想・信条・政策において、リベラルや社会民主主義者と異なる。だが、反自民の一点で集結する。だから、反自民ということであれば、民主党内の保守と社会民主主義者は、融和する。反自民において、思想・信条・政策の妥協や変心が行われる。
 野田氏は、鳩山政権・菅政権で要職に就いた。鳩山政権では、藤井裕久財務大臣の推薦で財務副大臣となった。藤井氏の辞任により、菅氏が財務大臣を兼務したが、菅氏が首相となると、野田氏は財務大臣に昇格する形で、初入閣した。そして、菅内閣の一員として、国家行政に携わった。
 わが国は、菅政権において、東日本大震災に遭遇した。菅首相は、大震災に際し、適切な対応ができぬのみか、かえって首相の指示や判断ミスが被害を拡大し、混乱を助長した。菅氏は、「史上最悪の首相」と批判された。野田氏には、この内閣の閣僚としての責任がある。
 また野田財務大臣のもと、わが国の経済はデフレからの脱却は進まず、停滞を続けた。東日本大震災から復旧・復興を進める経済政策は、ほとんど進んでいない。そこにアメリカの財政悪化、EU諸国の財政危機等が重なり、円高が進み、戦後最高水準まで高騰した。これらに対し、野田氏の財政政策は、見るべき成果を上げていない。

●解散総選挙で民意を問うべき

 菅首相は6月2日に辞意を表明した。しかし、内閣不信任案が否決されると、辞意を翻し、首相の座に固執した。約2か月死に体内閣が続き、ようやく8月末に辞任となった。
 野田氏は、民主党の代表選に立候補した。当初は最有力候補と見られたが、前原氏が出馬すると、前原氏が本命となった。前原氏は外国人献金問題で3月に外相を辞任したばかりであり、また説明責任を果たしていないことにより、支持は伸びなかった。
 この状況で小沢一郎氏・鳩山由紀夫氏は海江田氏への支持を表明した。それぞれ別の候補者を考えていたが、折り合いがつかず、双方の妥協で海江田支持になったらしい。これによって、民主党代表選は、政権維持のために行う国民不在の”代表=首相”選びという様相を呈した。小沢氏のグループは、党内最大勢力である。小沢氏が数の力で海江田氏を支持し、海江田首相を実現して、小沢院政を敷く。そして海江田氏を前座として、来秋の代表選で小沢首相を目指すというシナリオが読み取れた。小沢氏は、政治とカネの問題で裁判に問われ、刑事被告人となり、民主党では党員資格停止の処分を受けた。今回の代表選は、逆転をかけた小沢氏の最後の勝負となるや見えた。しかし、小沢氏は、この勝負に敗れた。最初の投票では海江田氏がトップで野田氏が2位だったが、決選投票で、反小沢の票が野田氏に集まり、野田氏が代表に選ばれた。
 民主党代表選は、首相の座を巡っての国民不在の権力闘争だった。国民無視の党利党略・私利私益で選ばれた民主党の代表が、国会で首相に指名された。そこに真の正統性はない。野田首相は、解散総選挙で国民に信を問うべきである。
 実は野田氏は、著書に「具体的には、与野党で次のような申し合わせをするべきだと考えています。与党のトップ、要するに総理、総裁が交代するときには、民意を問う、すなわち総選挙を行うという申し合わせです」と書いていた。選挙後に首相が交代した政権は、真に国民の支持を得ていないとして、「トップが代わるときには必ず民意を問うために総選挙を行う」ことを主張し、「これだけ時代の変化の激しいときに、民意の裏付けのない政権が、国の舵取りをし続けるということでいいはすがありません」と公言していた。野田氏は、持論に基づき、即刻民意を問うために、解散総選挙を行うべきである。それが政治に対する信頼を回復する第一歩である。

関連掲示
・拙稿「憲法第9条は改正すべし
・拙稿「集団的自衛権は行使すべし
・拙稿「慰安婦問題は、虚偽と誤解に満ちている

 

●靖国神社に不参拝と発表

 民主党代表戦を通じ、野田氏は、愚直でぶれない、安定感がある、ようやく与野党で話ができる、などと、マスメディアの多くは、ほめそやした。世論も新首相に期待を寄せた。だが、野田氏の言動や閣僚・政府の人事を通じて、日に日に問題点が浮かび上がりつつある。
 平成21年(2009)9月民主党中心の政権が発足して以降、去年・今年と「終戦の日」に首相・閣僚は誰一人、靖国神社に参拝しなかった。国難においてわが国と同胞を守るために尊い命を捧げた人々に対して、感謝・追悼・顕彰のできない者たちが、わが国の国政を牛耳っている。これは独立主権国家として、異常な事態である。
 野田氏も、菅政権の一員として、昨年も今年も「終戦の日」に靖国神社に参拝していない。
 野田氏は平成17年(2005)10月17日提出の質問主意書で「A級戦犯と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない。戦争犯罪人が合祀されていることを理由に首相の靖国神社参拝に反対する論理は破綻しているが、小泉総理の見解ではその論理を反駁できない」と小泉首相を批判した。
 野田氏は、A級戦犯と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない、という正しい認識を持っている。そして、戦争犯罪人が合祀されていることを理由に首相の靖国神社参拝に反対する論理は破綻している、と指摘する。ところが、小泉氏は、首相として靖国参拝をしていながら、いわゆるA級戦犯は戦争犯罪人だという見解を持っていた。野田氏は、こういう小泉氏の見解では、A級戦犯合祀を理由に首相の靖国参拝に反対する論理に対して、反駁できないと述べたのである。これはその通りなのだが、野田氏は、だから小泉氏は堂々と8月15日に首相として靖国参拝せよ、と要求したのではない。野田氏は、次のように言う。
 「参拝の是非は国際政治的な利害を踏まえてなされるべきもので、誤ったA級戦犯理解に基づく是非論はA級戦犯とされた人々の人権侵害であり、人権と国家の名誉に関わる問題である」と。
 参拝の是非は「国際政治的な利害を踏まえてなされるべきもの」と言うのは、周辺諸国との関係を踏まえて、参拝の是非を決めるべきだと言うに等しい。自国の英霊への感謝・追悼より、外交的な利益を重んじるべし、という意見と受け取れる。

 質問主意書の6年後となる本年の8月15日、野田氏は当時財務大臣の立場で、記者会見において、「『A級戦犯』と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない」として、首相の靖国神社参拝は問題ないとした認識について、「基本的に考えは変わらない」と述べた。ただし、野田氏は、首相が靖国神社を参拝することの是非は「首相になる方の判断だ」とも述べ、自身が首相に就任した場合の対応については、明言しなかった。
 野田氏は、民主党代表に就任すると、8月30日の記者会見で、先の認識について、「私は政府の立場なので(政府の)答弁書を踏まえて対応したい」と述べ、明言を避けた。
 そして、首相に就任すると、9月2日夕の記者会見で野田氏は、在任中の靖国神社への参拝について「総合的に判断する必要がある」として「私や閣僚は公式参拝しない」と菅内閣と同様に対応する考えを示した。野田氏が質問主意書で批判した小泉首相は、在任中靖国神社に参拝した。だが、小泉氏を批判した野田氏は、自分が首相になると、靖国に参拝しないという。これでは批判と行動に一貫性がない。
 もともと野田氏は参拝の是非は「国際政治的な利害を踏まえてされるべきもの」と書いていた。首相となるや、「国際政治的な利害」を最優先に判断し、就任とともに、内閣の方針として靖国不参拝を発表したのだろう。これは野田氏が、英霊への感謝・追悼よりも、中国・韓国等への外交的配慮を重んじる姿勢を示したのである。私はまた野田氏の靖国不参拝発表は、党内融和のために行われたのだろうと思う。すなわち、党内の諸グループに対する妥協として、また日教組・労働組合・部落解放同盟等への迎合として行われたのだろうと思うのである。

関連掲示
・拙稿「慰霊と靖国〜日本人を結ぶ絆

 

●「日本人の歴史観を正す」の言に偽りはないか

 野田氏は、平成17年の質問主意書で、歴史認識について、次のように書いてもいる。「東京裁判を受諾したという政府や外交当局の見解によれば、裁判における南京大虐殺20数万や日本のソ連侵略といった虚構も含め、日本が満州事変以降一貫して侵略戦争を行って来たという解釈を受け入れることになってしまう」と。日本が満州事変以降一貫して侵略戦争を行って来たという歴史観は、東京裁判で戦勝国が打ち出した歴史観である。また南京において20数万人の大虐殺が行われたという説も、東京裁判で出された説である。それゆえ、野田氏の意見は、東京裁判史観の見直しを求める考え方である。21年刊の著書にも、「私自身は、歴史認識については、タブー視せずに見直していかなければならないという立場です」と書いている。
 野田氏は、故松下幸之助が昭和54年(1979)に設立した松下政経塾の出身である。産経新聞平成23年(2011)9月8日号「野田佳彦の実像」によると、松下政経塾のOBと在塾生の計十数人は、「松下政経塾政経研究所国策研究会」を立ち上げ、18年(2006)春から毎月1回議論を重ねた。そして、OBは、平成21年(2009)3月に「私たちはどのような国をめざすのか」という冊子を発行した。発行1千部程度で、非売品だという。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110908/plc11090801160002-n1.htm
 政経塾のOBと在塾生の計十数人は、「松下政経塾政経研究所国策研究会」を立ち上げ、18年春から毎月1回議論を重ね、その結果を本としてまとめた。野田氏はこの研究会の座長を務めた。
 野田氏は平成18年2月に「偽メール事件」の責任をとり、国対委員長を辞任した。党代表を辞任した前原氏とともに「頭がいいだけで社会を知らない未熟者」とのレッテルを貼られた。研究会の発足は、失意に沈む野田氏にとって、政治家としての再スタートをきるきっかけともなったようである。
野田氏は、その約3年後に出した冊子で、「まえがき」に「万人が共鳴する確固たる国家理念の下に日本の政策は実行されなければならない」と書いている。
 野田氏は、第1章「日本人の歴史観を正す」を担当した。そこには「東京裁判史観」を否定する見解が披瀝されている。
 「東京裁判の判決は戦前の日本を断罪するもの。裁判によって戦争行為のみならず、これまでの日本の歩みと存在が否定されてしまった」
 「日本の首相の靖国神社参拝や歴史教科書に対して中国や韓国は必ず干渉してくる。事あるごとに中国は南京大虐殺を持ち出し、韓国は従軍慰安婦を持ち出すが、そのたびに日本政府は頭を垂れて謝罪を繰り返している有様だ」等。
 「万人が共鳴する確固たる国家理念」は、こうした歴史観の是正の上に成り立つと考えたのだろう。
 産経の記事によると、野田氏は研究会で、「日本の背中は曲がっている。それをなんとか伸ばさなければならないだ!」と、口癖のように訴えていたという。
 冊子発行後、2年と約5か月たった今年8月30日、野田氏は民主党の代表に就任した。当日の記者会見で、野田氏は「A級戦犯と呼ばれる人たちは戦争犯罪人ではない」と指摘した平成17年の質問主意書について聞かれ、「私は政府の立場なので(政府の)答弁書を踏まえて対応したい」と答え、かつての主張は述べられなかった。首相として初めて臨んだ9月2日の記者会見では、靖国神社に「私や閣僚は公式参拝しない」と発表した。
 だが、いわゆる「A級戦犯」についての認識と東京裁判史観とは、一体のものである。東京裁判とは、戦勝国が日本の国家指導者を「戦争犯罪人」として一方的に裁き、断罪・処刑するための軍事裁判だった。東京裁判史観は、その起訴・判決のために、戦勝国が作り上げた歴史観である。現在の野田氏の発言を見ていると、野田氏は「日本人の歴史観を正す」と題して述べた主張を取り下げ、または封印して、外交的配慮や党内融和を行う可能性がある。さらに、中国や韓国等による日本断罪史観や、日教組や左翼による自虐史観に譲歩したり、また南京事件や慰安婦問題においては、謝罪外交を行ったりする可能性もある。
 もし一人の政治家が、首相になった途端に、自らの思想・信条を曲げて、日本断罪史観・自虐史観に転じ、中・韓・朝への謝罪外交を行うなら、内外への影響は極めて大きい。私は、そのような変節をする人物が、わが国の首相であってはならないと思う。

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・拙稿「『日本弱体化政策』の検証〜日本の再生をめざして

 

●小沢氏に近い輿石氏を幹事長に

 野田氏は、組閣・人事において、日本の復興・再建より、党内融和を優先した。
 民主党代表選の争点は、最終的に親小沢か反小沢かにしぼられた。野田氏は、親小沢の海江田氏に対し、反小沢の票を集めて、決選投票で逆転勝利した。
 野田氏は、「怨念を超えた政治」を唱えた。「怨念を超えた政治」とは、党内融和を図る政治だった。その中で最大の配慮をしたのは、党内最大勢力を持つ小沢一郎氏に対してだった。
 野田氏は、民主党ナンバー2の幹事長に、輿石東参院議員会長を起用した。輿石氏は小沢氏に近い。輿石氏に党の運営をゆだねることで、野田氏は小沢氏に配慮したのである。
 小沢氏の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、元秘書ら3人が逮捕・起訴された。虚偽記載額は20億円を超えた。小沢氏も、政治資金規正法違反罪で強制起訴されるに至った。国民の間から、民主党は小沢氏を除名すべきという声が上がり、小沢氏に議員辞職を求める意見も多くなった。
 民主党は、こうした世論を無視できず、長く協議を重ねた末に、党執行部が小沢氏の処分を決定した。それが、党員資格停止処分である。厳しい世論をかわすため、最低限の処分をしたものだろう。
 民主党代表選では、小沢氏の処分の見直しが一つの焦点となった。処分見直し論は、党が組織として決定したことを覆そうとする動きである。議論の口火を切ったのは、輿石氏だった。輿石氏は、「新代表の下で凍結なり解除するのが望ましい」と述べた。幹事長に内定した後も、「私の考えは変わらない」とし、「いろんな考えがあるから、民主主義のルールと時機をみて考えたい」と語った。
 野田氏は、小沢氏と結託する輿石氏を重用することで、小沢氏の復権を認めるつもりなのだろうか。党内融和による自分の政権の安定のために、民主党における「政治とカネ」の問題をあいまいにするならば、野田氏は大きく道を踏み誤る。

●輿石氏は「日教組のドン」

 輿石氏は、「日教組のドン」と呼ばれる。日教組出身の国会議員らでつくる日本民主教育政治連盟の会長を務めている。もともと山梨県の小学校教員出身で、日教組傘下の山梨県教職員組合(山教組)で委員長などを歴任した。平成2年(1990)に社会党から衆院議員に初当選した日教組上がりの左翼政治家である。
 輿石氏は、平成8年(1996)に旧民主党の結党に参加した。同年の総選挙で落選し、2年後に参院議員に転じた。その後、頭角を現し、「参議院のドン」とも呼ばれる。
 輿石氏の選挙では毎回、山教組がフル回転する。平成16年(2004)の参院選では、山教組の組合員が公務員でありながら選挙資金集めに協力した。山教組の財政部長(当時)らが、教員から集めた金を政治資金収支報告書に記載しなかったことにより、略式起訴、罰金命令を受け、現職教員らが懲戒処分を受けた。「山教組問題」といわれる。
 野田氏は、日共を支持母体に持つ輿石氏を、民主党の幹事長にすえた。これは、野田氏が思想・信条において相容れないはずの日教組と妥協したことを意味する。
 野田氏は、東京裁判史観の見直しを求める考え方を明らかにしてきた。ところが、学校で自虐的な歴史を教えてきたのは、日教組である。野田氏は「歴史認識については、タブー視せずに見直していかなければならない」と述べ、松下政経塾政経研究所国策研究会でも、「日本の背中は曲がっている。それをなんとか伸ばさなければならないだ!」と、口癖のように訴えていたという。歴史認識を正し、日本の背中を伸ばすには、日教組の教育を改めなければならないはずである。
 野田氏はまたかつては道徳教育の重要性を認識し、「やりたかったのは文部科学大臣」と述べたことがあった。戦後、道徳教育を否定し、道徳の時間に道徳を教えず、ホームルームやリクレーション、自習等の時間にしてきたのは、日教組である。さらに近年は、小学校低学年から過激な性教育を行っている。日教組の教育研修大会は性教育の報告・研究が一大テーマになっている。野田氏は、こういう日教組に政治的な力を与えようとしているのである。
 野田氏は、自分が「自衛官の倅(せがれ)」であり、父親は習志野空挺団に所属していたと著書に記している。そして、小学校時代の体験として、「自衛官の子供に対して『あなたの父親は人殺しを仕事にしている』と言った教師がいた、というような話はよく伝えられていますが、実際にそういう雰囲気がありました」と書いている。自衛官の子供に対して、教室で陰湿な言葉を発してきたのは、日教組の教師である。野田氏は、自らの体験から、このことをよく知っているわけである。国防に対する認識を正すには、日教組の教育を改めなければならないはずである。
 ところが、野田氏は「日教組のドン」輿石氏を幹事長に起用した。自分の思想・信条を曲げてでも、党内の融和、小沢氏への配慮を図った。そこには、卑屈な人間性がうかがわれる。首相になるため、そして首相の座に居続けるためには、自分の思想・信条を変える。野田氏は、そのような政治家と見える。私は、こういうタイプの政治家は、他国に対しても、自説を捨て、譲歩と妥協をして恥じないだろうと推量する。

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・拙稿「猛威のジェンダーフリーと過激な性教育

 

●「教育の政治的中立」は「ありえない」と輿石氏

 労働組合というものは、労働者の生活と権利を守るために必要である。しかし戦後日本の労働組合は、左翼政党の下部組織のような団体が多くなっている。
 中でも特異なのが、日教組である。教職員組合は、厳密に言うと労働組合ではない。教職員は地方公務員だが、特例法で、国家公務員と同様、政治活動が規制されている。教育の政治的中立を確保するためだ。ところが、日教組は、全国の労働組合と比べても、左翼色の強い主張と活動をしてきた。それが許されているところに、わが国の大きな病巣の一つがある。
 日教組は、民主党が旧日本社会党から継承した有力な支持団体である。民主党は、山教組の選挙違反事件で関係者が逮捕された際、資金提供を受けた輿石氏に対し、政治倫理を問わなかった。それどころか、輿石氏を党の要職に就けてきた。輿石氏は、最高権力者・小沢一郎氏と一体化して政治活動を行い、野田政権では幹事長に座った。
 私は北海道の道北地方の出身。北海道は、教職員組合が強い。私が中学生だった昭和40年代前半、地域の小学校では、校長と組合の教師の対立が激しく、我が家でも話題になった。児童の教育よりも、組合活動に熱心な教師たちが、校長や教頭よりも偉そうにものを言っている姿を見て、少年ほそかわは、驚いたものだ。
 高校の教師の組合は日教組とは別組織だが、思想・運動は同じである。北海道では、高教組も闘争的だった。私が高校に入ったのは、70年安保を控えて国内が騒然としていた昭和44年。世界史の第一回の授業は「共産党宣言」だった。倫理社会の授業は、フランス革命の話がやたら多かった。現代国語の実力試験問題は、プロレタリア文学から出題された。
 左翼教師の教育を受けた友人・先輩たちは、政治活動をしたり、左翼の党派に入ったりした。マルクス=レーニン主義や毛沢東思想が、熱病のように蔓延していた。そういう環境にあったから、私自身、共産主義の影響を受け、その克服には苦労した。
 公立小中学校の教師は教育公務員である。政治的に中立でなければならない。しかし、教育公務員特例法には罰則規定がない。違反しても罰せられないザル法である。教育公務員特例法を改正し、教育委員会と教職員組合の違法な密約をやめ、教職員の政治活動にメスを入れ、公教育を正常化し、国民の手に取り戻すべきである。
 現状では、教育公務員という身分を得れば、税金で給与を得ながら政治活動・組合活動ができる。そこで頭角を表した者が、組合を支持母体として国会議員となり、議員と組合が結束して、左翼運動を行っている。その頂点にいるのが、民主党の輿石東氏である。
 輿石氏は平成21年(2009)1月14日、日教組新春の集いに参加し、次のように語った。 「(日教組は)政権交代にも手を貸す。教育の政治的中立といわれても、そんなものはありえない。政治から教育を変えていく。私も日教組とともに戦う。私も永遠に日教組の組合員であるという自負を持っている」と発言し、波紋を呼んだ。
 この発言は、国会議員でありながら、教育の政治的中立を目指す教育基本法や教育公務員特例法を否定し、日教組の組合員に違法な政治活動を促す問題発言だった。
 また輿石氏は、22年(2010)2月7日に、同じ日教組新春の集いに出席した際にも、「世の中は自治労と日教組が諸悪の根源という話もある。それだけ期待もされ、批判もされている。教育が選挙の争点になるのは初めてだろう。いよいよ日教組の出番だ」と語った。
 そんな政治家が党の幹部となっている民主党が政権に就き、その幹事長になったのである。
 野田氏は、輿石氏を幹事長にしたのに加えて、日教組出身の参院議員、神本美恵子氏と水岡俊一氏を、文部科学政務官と首相補佐官にそれぞれ起用した。これによって、日教組はかつてないほどの政治力を掌中にしたことになる。日教組が文部行政に対して、従来以上に介入することは間違いない。日本の教育の悪化は必至である。
 解散総選挙で政権交代を成し遂げる以外に、日本再建の道はない。

関連掲示
・共産主義の総括に関する拙稿は 項目「共産主義」をご参照ください。

●小沢氏の側近を防衛相と国家公安委員長に

 昨26日、東京地裁は、小沢一郎氏の資金管理団体「陸山会」の土地購入・違法献金問題に関し、政治資金規正法違反罪により、小沢氏の元秘書3名に、有罪判決を下した。3名とも執行猶予付きの禁固刑である。来週10月6日に初公判を迎える小沢氏の裁判に大きな影響を与えることは間違いない。また秘書の監督者としての小沢氏には政治的・道義的責任がある。国会は証人喚問を行い、立法府として事実を追求し、小沢氏の責任を問うべきである。民主党執行部は小沢氏を除名し、議員辞職勧告をすべきなのだが、それを断行せず、党員資格停止という軽い処分にとどめてきた。
 野田首相は、小沢氏に対し、むしろ復権の道を開くような対応をしてきた。野田氏は、党内最高の実力者にして刑事被告人である小沢氏に配慮して、「日教組のドン」輿石氏を幹事長に起用した。小沢氏への配慮は、それだけではない。閣僚に2名、小沢氏の側近を指名した。防衛大臣に一川保夫氏、国家公安委員長に山岡賢次氏である。よりによって、国防と警察のトップに小沢派を置くとは、驚きの人事だった。野田氏の小沢氏へのすりよりか。それとも、代表選で三度敗れた小沢氏が巻き返しを図っているのか。
 防衛相に就任した一川氏は、自分は「安全保障の素人」であり、「これが本当のシビリアンコントロール」と発言した。防衛大臣が自分は「素人」と発言したことは、同盟国のアメリカとの間では信頼を損ね、周辺諸国からは侮りを受ける。案の定、周辺諸国は、これまで以上にわが国に積極的に圧力をかける行動を起こしている。すなわち、ロシアは空軍爆撃機を飛ばして日本を一周し、北海道近傍で空中給油をした。中国は尖閣諸島周辺で情報収集機が行動し、わが国の自衛隊機を追尾した。韓国の李明博大統領は、近いうちに竹島を訪問することを示唆した。一川氏は、シビリアンコントロールの意味も知らないのでは、国会議員としての適格性も疑わしい。
 野田首相の重大な人事ミスである。野田首相は、著書で「新憲法制定論者」を自称し、集団的自衛権の行使に賛成の意見を書いている。だが、「安全保障の素人」だと述べる一川氏を防衛相に任命したことで、野田氏の見識が疑われる。日本の安全保障より党内融和、小沢氏への配慮を優先というのでは、日本の領土・領海、国民の生命・財産は守れない。
 野田氏は、国家公安委員長に山岡賢次氏を指名した。山岡氏は小沢氏の側近だが、小沢氏は政治資金規正法違反罪で強制起訴されており、山岡氏を警察行政のトップである国家公安委員長に指名したことは、野田氏の小沢氏への援護と疑われる。
 山岡氏は、拉致問題担当大臣と消費者問題担当大臣を兼務する。拉致問題に取り組んでいる荒木和博氏によると、「山岡議員はこれまで拉致問題に関わった話を聞いたこともありませんし、それ以前に関心がありそうにも思えない人物です。また、拉致問題以外のことでも民主党の他の議員を含め評価する声を聞いたことがありません。小沢グループを押さえ込むためにこのポストに当てたとでも考えるしか理由が思いつかない人事でした」と述べている。
 山岡氏は、ネットワークビジネス議員連盟の会長としてネットワークビジネスを擁護している。山岡氏は、マルチ商法の講演会で講演したことがあり、講演の録画がネットで公開されている。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4917959
 山岡氏は、マルチ商法関連業界との関係などについて自民党から追及され、十分な説明責任を果たしてこなかった。閣僚となったのち、マルチ商法業者や業界の政治団体から計254万円の献金や資金提供を受けていたことが分かった。9月8日、記者会見で山岡氏は「献金を頂いていたのは事実。誤解を受けないように、もう(献金を)受けないようにしている」と釈明し、「合法的に運営されているビジネスだと認識している」と述べた。だが、消費者担当大臣は、悪質商法などによる消費者被害が拡大しないよう事業者を監督する立場にある。その大臣がマルチ商法業者や業界の政治団体から献金を受けていたというのでは、大臣失格である。
 私は、野田首相が、国難対処より党内融和を重んじ、小沢氏への配慮から輿石氏、一川氏、山岡氏の3名を重用したことによって、自滅の道をたどることになったと判断する。小沢裁判の展開は司法のことゆえ、どう進むかわからないが、政治的には、彼ら3名の存在は野田内閣への不支持を増大していくだろう。
 民主党の平野博文国会対策委員長は、9月6日、「発言バラバラだと野党が追及」「閣僚はテレビ出演自粛して」と藤村官房長官に要請した。平野氏は7日の与野党国対委員長会談で自らこのことを明らかにした。 そのうえ、平野氏は会談で「内閣が不完全な状態では十分な答弁はできない」と予算委員会開催に難色を示した。平野氏は、鳩山内閣で官房長官を務めた人物である。その平野氏が、いまの内閣は「不完全な状態」だから、予算委員会を開催できないと野党に対して言う。野田内閣は、お粗末極まりない。
 民主党には、政党の理念を規定する綱領がない。反自民で寄り集まっただけだから、綱領さえつくれないのである。そうした政党では、党内融和を図ろうとすればするほど、規範なき集団の実態が露呈することになる。

関連掲示
・拙稿「闇の財テク王・小沢一郎の不正・不敬・横暴

 

●安易な消費増税に反対だったのに、今や増税の急先鋒

 野田氏の政策で最も大きな問題は、私の見るところ、増税・TPP参加を掲げていることである。野田氏は代表選で発言がぶれないと見られたのは、財務省から吹き込まれたことを繰り返していたからである。野田氏は、いつの間にか増税・TPP参加を説く財務省の代弁者になった。ただし、かつてはそうではなかった。ここでは明らかな変節があったのである。
 野田氏は、平成21年9月の政権交代選挙の約2か月前に、著書『民主の敵』を出した。野田氏がそこに書いた主張と、今の主張は大きく違っている。
 野田氏は、著書で特殊法人や行政法人は「ムダ遣いの見本市」だといい、これらについては「とにかく今まで情報が出てこなかった」「私は財政出動か財政規律かという前に、財政の完全透明化をしなければならないと思います」と述べ、これらの法人の「からくりを暴き出さなければ、財政出動ができるのか、財政規律をしなければいけないのか、その判断すらできないということです」と書いていた。
 この「からくり」の一つが、特別会計の存在である。特別会計の問題点について、私は菊池英博氏に関する拙稿に書いたが、野田氏は、わが国の財政の問題点を、かなりよく理解していた。すなわち、野田氏は、国の予算は一般会計と特別会計を合わせると総額200兆円を超える、一般会計との繰り入れによる重複を除いても特別会計は総額約140兆円にもなる、特別会計は官僚の天下りや族議員の利権の温床となっている、ムダ遣いの最大の原因は多額の余剰金にある等を、著書で指摘している。そして、特別会計の存在を「使い切れず余るような特別会計は廃止して、一般会計に統合すべきです。そうすれば国の借金返済やほかの必要な事業に充当できるでしょう」と書いている。
 野田氏は続けて、次のように主張する。「このまま今のからくりが残ってしまったら、三年後に消費税を引き上げたとしても砂漠に水を撒くのと同じです。だからよく『財源を示せ』という指摘がある消費税は何%が適切かといった議論は日本の財政を完全情報公開したうえでの話だと思います。そのうえで、税体系の見直しも必要になるかもしれません。消費税率アップを安易に認めてしまうと今のからくりの解明はストップしてしまうと思います」と。
 野田氏は、財政の完全情報公開を強く求めており、財政のからくりを解明せずに消費増税をすることに、反対している。「三年後に消費税を引き上げたとしても砂漠に水を撒くのと同じ」「消費税率アップを安易に認めてしまうと今のからくりの解明はストップしてしまう」と書いている。
 民主党は平成21年夏の衆院選マニフェストで、徹底した歳出削減によって、16・8兆円を捻出すると主張した。野田も、「ニッポン丸洗い」を掲げ、増税ではなく「無駄遣い排除」を主張した。
 そうした野田氏が、今回の民主党代表選では、増税と財政規律を訴えた。なんという変化だろう。財政の完全透明化はどこにいったのか。先に書いた靖国参拝の件より、はるかに大きな変化であり、露骨な変節である。
 野田氏は、平成21年9月に民主党が政権に就くと、財務副大臣に就任した。野田氏を推したのは、大蔵官僚出身で元財務相の藤井裕久氏である。藤井氏から予算担当を任された野田氏は、副大臣になってすぐに増税論に転じた。マニフェストにこだわる閣僚との折衝が始まると、野田氏は増税しか言わなくなった。同時に、巨額の国家埋蔵金があると見られる「特別会計の廃止」を言わなくなった。代表選では「財務省の組織内候補」とまでいわれた。そして、野田氏は、民主党の税調会を復活させ、会長に藤井氏を指名した。完全に財務省主導である。
 どうして野田氏は、こうも変節したのか。私は、野田氏は財務副大臣になってから、財務省の官僚から、財務省の考えを吹き込まれたのだろうと思う。現在財務官僚のトップに君臨する事務次官は、勝栄二郎氏と言う。野田氏は、勝事務次官のことを「勝さん、勝さん」と呼び、自分の上司であるかのように仕え、そして育てられてきたという。野田氏の経済政策は、勝氏を中心とした財務省幹部に教育されたものではないか。
 野田氏は、財政の見方において、粗債務だけでなく純債務で財政を見るという肝心要のところをつかんでいない。またデフレ下では財政出動を行い、経済成長をすることで税収を上げるという政策を持っていない。おそらく野田氏は経済学を掘り下げて研究したことがないのだろう。だから「財政の完全透明化」を説いても、確かな経済理論を身に着けていないから、その皮相さを財務官僚に見抜かれ、うまく馴化されたのだろう。
 野田氏のこの底の浅さは、組閣において、財務大臣に安住淳氏を、経済産業大臣に鉢呂吉雄氏を指名したことで、無様なほどに明らかになった。二人とも経済政策について、ほとんど経験がない。そういう政治家を経済閣僚に指名するとは、野田氏の見識の危うさを自ら暴露したものである。
 ちなみに、鉢呂氏は、福島原発の周辺地域を「死の町」と呼び、防護服を着て近くにいた記者に「放射能をつけてやる」などと言い、その責任を取ってわずか就任9日で大臣を辞任した。野田首相は、任命責任を認めた。お粗末極まりない。

●増税より危険なのが、TPPへの参加

 野田氏は代表戦では増税を愚直なほど明確に繰り返し説いたが、首相になると「私は財政原理主義者ではない。現実主義の対応をする」と述べ、増税時期などには柔軟に対応する姿勢を見せている。
 多くのマスメディアは、野田氏が代表選では増税を愚直なほど語り続けたことを、ぶれないと評価した。それをよしとする立場から見れば、首相になった野田氏が「現実主義の対応をする」と述べたことは、野田氏がぶれたことになるだろう。
 だが、野田氏の発言は、増税論に反対や慎重の声があることへの対応である。増税をしなければならないという基本的な考えが変わったのではない。
私はデフレ下の増税には反対する。増税によって景気が冷え込み、税収は下がり、デフレが悪化する。野田氏には、単に状況を見て意見を変えるのではなく、もっと深く経済理論を学び、財務省の官僚に操られるのではなく、政治家として官僚の上に立って、大局的な判断をしてもらいたいと思う。
 増税以上に危険なのが、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加である。このことに気づいていない人が多い。アメリカのオバマ大統領は、日本に対して、TPPへの早期参加を求めている。野田氏は、TPP参加について「早期に結論を得たい」と語っている。TPPに参加するとその影響は、増税よりはるかに大きい。全国紙は産経新聞を含めて、社の見解としてはTPP参加を支持している。
 増税は国内的な施策である。だが、TPPは国際的であり、かつきわめて広範囲に破壊的な影響をもたらす。農業だけではない。金融、労働など多くの分野で、わが国はアメリカの進出を受け、かつてない大打撃を受ける。復興財源が国債か増税かの違いは大きいが、TPPの参加はその違いなどぶっ飛んでしまうほど、日本の経済と社会に重大な影響をもたらす。
 私は、現在の状況は、戦前日独伊三国軍事同盟への参加が論議された時の状況に似たものを感じる。三国同盟の時は、「バスに乗り遅れるな」と言って同盟締結を推進した勢力があり、わが国は闇雲に三国同盟を締結した。これがわが国の運命を大きく左右した。TPPへの参加は、これに比すべき決定的な誤りとなる。
 私は、ブログ等にTPPに反対する掲示を何度かしてきた。本稿では、ジャーナリストの東谷暁氏の主張を紹介する。東谷氏は、産経新聞平成23年9月16日号に「TPP、オバマ政権の愚策」と題した一文を書いた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110916/plc11091602570001-n1.htm
 東谷氏は、輸出全般については、「賛成派はTPPに参加すると輸出が飛躍的に増加するというが、これは完全な間違いである。TPP参加国のほとんどは経済的規模が小さく輸出増加が見込まれるとすれば対米輸出だけだが、いまの円高ではそれはまったく不可能だ。財界は韓国が米韓FTA(自由貿易協定)によって対米輸出を急増させたというが、米韓FTAはいまも批准すらされていない。韓国が対米輸出を急増させたのは通貨ウォンのレート急落によるもので、もういいかげんにこんな嘘はやめるべきだろう」と言う。
 次に農業については、「前原誠司元外相が『農業などの第1次産業は対GDP(国内総生産)比で1・5%。残りの98・5%を犠牲にしている』と発言したため、いまもTPP問題は農業問題であるかのようにいわれるが、日米ともにTPPの作業部会は24あって、農業はその一分野にすぎない。経済規模の小さい4カ国だけの経済協定に、米国が加わってから新たに加えられたのが金融サービスと投資の徹底的な自由化だった。農業分野においても、米通商代表部が課題としているのは対日コメ輸出の増加などではなく農協共済の解体である」と言う。
 次に、投資については、「米通商代表部の狙いは、政府調達の分野での規制撤廃や制度の見直しであり、日本側の行政刷新会議などの動きを見れば、農地の自由な売買や農協の解体も射程内にあると思われる。すでに林地における売買は匿名で可能であり、外資の農地へのアクセスが容易になれば、日本国の農業政策だけでなく安全保障すら危うくなる」と言う。
 次に、安全保障については、「それは日米安全保障条約に任せればよい。冷戦後の地域経済協定では安全保障例外条項を設けるのが普通で、米国が結んだFTAでも、中東の小国とのFTAやイラク戦争時に交渉した米豪FTAなどを例外とすれば安全保障には立ち入っていない」と言う。
 そして、東谷氏は、次のように主張する。「そもそも、米国経済は二番底のリスクが高まっていて35兆円の追加財政支出も効果は限定的だといわれる。そのような状況で日本の対米輸出を増加できると考えるほうがどうかしている。そして何より大震災後の日本はオバマ政権の愚策に付き合っていられるほど余裕がない。迷うことなくTPP参加は見送って、着実な国内経済の立て直しとオバマ政権後の堅実な米国との関係を考えるべきだろう」と。 
 野田氏は、財務官僚に吹き込まれた考えを持って、TPPの早期参加を進めようとしている。TPP参加の是非を判断するには、複雑高度な経済理論や財政学の見識はいらない。いくつかの事実とデータを理解すれば、「からくり」が分かる。野田首相には、官僚が作った資料を脇において、上記の東谷氏をはじめ、中野剛志氏、三橋貴明氏、関岡英之氏らの著書を自分で読み、TPP反対論の要点を整理し、そのうえで自分の頭で考えてみてもらいたい。

 

●外国人参政権に「明確に反対」のはずが

 野田氏は、外国人参政権付与に明確に反対の意見を述べている。鳩山内閣における永住外国人への地方選挙権付与については「今、法案を出して、党内をばらばらにする必要はない。政府提案であっても、議員提案であっても、出すべきではない」と述べ、慎重な姿勢を示した。自身の外国人参政権に対する姿勢については「明確に反対だ。外国人が、帰化の手続きを簡略にできるようにすればいい」と述べている。菅内閣でも外国人参政権に明確に反対を表明していた。
 野田内閣ではどうか。当初の時点で、17人の閣僚のうち、平成20年(2008)1月に発足した民主党の「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位の向上を推進する議員連盟」(略称 永住外国人法的地位向上推進議連)の設立時のメンバーが8人もいた。
 藤村修官房長官、川端達夫総務相、平岡秀夫法相、中川正春文部科学相、小宮山洋子厚生労働相、鉢呂吉雄経済産業相(のち辞任)、前田武志国土交通相、一川保夫防衛相である。このほか、古川元久経済財政政策担当大臣、山岡賢次国家公安委員長も参政権付与推進派として知られる。かれら2名を加えると、閣僚17名のうちの実に10名、6割近くが外国人参政権の推進派である。
 野田氏は、外国人参政権に「明確に反対」「帰化すべし」と言ってきたわけだが、自分が組閣した内閣にこれほど多数の推進派を入れて、どうするつもりなのだろう。自分は反対の立場で、彼らを抑えられるのか、それとも自説を曲げて融和を図り、外国人への参政権付与を成立させようというのだろうか。

●民公連携の兆しか

 評論家の青山繁晴氏は、野田内閣発足後、関西テレビの番組「スーパーニュース・アンカー 青山繁晴のニュースDEズバリ」で、大意次のような見方を述べた。野田内閣は閣僚17名のうちの10名が外国人参政権の推進派だが、参政権付与には民主党より熱心な政党がある。公明党である。内閣に参政権の推進派を多くしたのは、民公連携の兆しか、と。
 野田内閣の発足後、公明党が民主党との連携に動き始めた。首相が持ちかけてきた震災復興などの実務者協議に積極的な姿勢を打ち出し、9月8日には第3次補正予算に関する提言を藤村修官房長官に提案した。藤村長官は好意的な反応を示した。これは公明党からの民主党への接近と見られる。
 青山氏は、内閣官房参与に成田憲彦駿河大学学長が任命されたことにも注目している。成田氏は、細川護煕首相の秘書官を務めた。細川内閣で衆議院小選挙区比例代表並立制導入を進めた。現在は小選挙区比例代表連用制を主張している。連用制とは、小選挙区に負けた政党ほど比例代表で議席が増える方式であり、小政党に有利である。公明党にとっては、これほどありがたいことはない。成田氏の内閣参与就任は、野田氏の公明党へのアピールであり、媚びではないか、と青山氏は見る。公明党は「連用制」など比例中心の制度への転換を狙っている。
 青山氏の発言の大意を続ける。野田氏は、衆院では与党が多数だが、参院では野党が多数というねじれ国会を直すために、公明党の取り込みをねらっている。上記の2点は、そのための動きだろう。そして民公連携でやろうとしているのが、増税なのである。
 野田氏が輿石氏を幹事長にしたのは、解散総選挙はやらないことを意味する。輿石氏は参院のボスで、衆院のことはわからない。衆院の選挙のことは調整できない。だから、野田氏は総選挙はやらないつもりである。また野田氏は、民主党の税務調査会を復活させて、会長に藤井裕久氏を置いた。藤井氏は大蔵省出身で、財務省とびったりの関係にある。野田氏は、復興増税をやる。解散総選挙はしない。そして国民に増税に慣れさせておいてから、増税をする。首相が今までの信念を捨てて、増税をするのは、モラルの崩壊である。「このままでは絶望内閣」だと青山氏は言う。ページの頭へ

関連掲示
・拙稿「外国人参政権より、日本国籍取得を

 

 

第2章 朝鮮の南北から侵食される民主党

 

●民団の選挙協力に感謝のスピーチ

 野田首相は外国人参政権付与には反対しているが、在日本大韓民国民団(略称 民団)の選挙協力を受けてきた。民団は、民主党を選挙等で積極的に支援している。政権交代を果たした平成21年(2009)8月の衆院選においても、選挙協力をした。野田氏は、同年10月、地元千葉県で催された「韓日友好イベント」(マダン祭)で、「千葉民団の皆さんの力強いご支援をいただき、心から御礼申し上げたい」などと感謝のスピーチをした。その映像がネットに掲載されている。
http://www.youtube.com/watch?v=3k79ozsd_-8
 民団は在日韓国人の組織であり、在日韓国人は日本の参政権を持たない外国人である。その彼らに選挙協力の謝辞を述べるとは、異常なことである。ここに、民主党という政党の重大な問題点がある。
 本年(23年)3月、前原誠司氏の政治団体が在日韓国人女性から25万円の献金を受けていたことが分かり、前原氏は外相を辞任した。その直後、菅直人氏(当時首相)の資金管理団体が韓国籍の男性から104万円を受領していたことが明らかになった。この問題は、東日本大震災発生当日である3月11日に国会で問題になった。参院決算委員会で、首相は献金を受けた事実を認め、「外国籍とは知らなかった。外国人と確認されれば、全額返金したい」と答えた。大震災の発生によって、国家危急の事態となり、この問題は後景に押しやられた。菅氏側は、3月14日に104万円を返金したと発表し、男性が「韓国籍であることを公的な書面によって確認したため」と説明した。そうであれば、領収書を提示できるだろうが、菅氏は提示していない。結局、菅氏は引責辞任を免れた。だが、国会は、この問題をあいまいに済ませてはならない。
 実は、本年3月、外国人からの献金が発覚して前原外相が辞任した直後、参院決算委員会で、野田氏(当時財務相)は、自身の政治団体に外国人献金はないと明言した。ところが、野田氏の資金管理団体「未来クラブ」も、平成10〜15年(1998〜2003)に、民団関係者ら在日韓国人2人から計31万8千円の献金を受領していたことが分かった。
 政治資金規正法は、外国人からの政治献金を禁じている。外国人が過半数の株式を保有する会社(上場5年未満)からの献金も禁じている。これは、政治や選挙への外国の関与・影響を防ぐための措置である。違反すれば3年以下の禁錮か50万円以下の罰金が科される。罪が確定すれば公民権が停止されるほど、罪は思い。野田氏のケースは公訴時効の3年を過ぎてはいるが、一国の首相として、政治的、道義的責任は重大である。
 これまで表面化した外国人献金問題は、受領者の大半が民主党議員である。なぜ、民主党の議員に外国人の政治献金、特に在日韓国人の献金が多いのか。
 民主党は、結党時の基本政策に、永住外国人への地方参政権付与を掲げている。18歳以上で会費さえ払えば、外国籍の人間でも党員・サポーターになることができる。外国籍の党員・サポーターも、代表選で投票できる仕組みになっている。民団は、選挙の度に民主党候補を応援している。在日韓国人からの献金は、こうした民主党の姿勢と関係がある。
 民主党は現在、政権与党ゆえ、民主党の代表は日本の首相となる。すなわち、日本の首相の選択に外国人が関与し得る。これは、日本の政党として、あってはならないことである。
 私は、民主党は平成17年(2007)の参議院選挙で、日本の政党として一線を超えたと見ている。民主党は、この時、わずか1年7ヶ月前に帰化したばかりの元在日韓国人を比例区の候補に立てたのである。その候補は、金政玉氏。キム・ジョン・オクというコリアン・ネームで、日本の国政選挙に出た。結果は落選だったが、見逃せないのは、キム氏が民団の職員だったことである。
 民団は、在日韓国人の権利のために活動しているだけでなく、彼らの祖国・韓国の国益のために活動している団体である。その職員が日本に帰化し、国政に参画すれば、日本の国益よりも韓国の国益、日本国民の権利よりも在日韓国人の権利のために行動するだろう。民主党は、こういう人物を比例区の候補者に立てた。私は、ここで民主党は一線を超えたと見ている。一線を超えたとは、日本の主権や国益を守るという日本の政党として守るべき絶対線を超え出たということである。日本の政党でありながら、日本の主権や国益を守り、日本国民全体の利益を追求するよりも、周辺諸国や周辺諸国民の利益のために行動するような政党に変貌しているのである。

●外国人献金授受を防ぐため、通名使用を禁止すべし

 人は、何かの見返りを求めて、政治家に献金する。まして外国籍の人間が、自分は参政権がないのに日本の政治家に献金をするのには、政治的な意図があると考えられる。民主党の政治家に外国人が献金するのは、民主党の党員、サポーターになることと合わせて、日本の参政権を得て、日本の政治に影響を及ぼすことができると思うからだろう。
 民団は、在日韓国人の組織だが、その運営費の6割から7割は韓国政府の補助金による。日本における地方参政権を求める民団の要求は、韓国政府の要求でもあると考えられる。民団の民主党への選挙協力は、民団を通じて、韓国政府が民主党に間接的に働きかけをしているのと同然である。民主党の政治家は、選挙においても、また首相をめざすにあたっても、在日韓国人の要求に応え、彼らの力や金を得ようとするだろう。そのための取引条件が、地方参政権付与になっていると考えられる。
 外国人が日本名で献金をした場合、外国人と知らずに受領することは起こり得る。受領した政治家は、外国人とは知らなかった、と言う。また、日本名の方が、献金をするほうも、受けるほうも、違法献金とわからぬから都合がよいということもあるだろう。これを防ぐには、外国人の通名使用を禁止すればよいのである。政治家が外国人献金を防ごうとするには、通名使用の禁止をする以外ない。私は、在日特権の一つである通名の使用禁止を断行すべきと思う。これは、在日韓国人・朝鮮人・中国人の犯罪を防ぐうえでも、有効な対処となる。
 民主党は上記のように在日韓国人団体や韓国と、異常に深い関係にある。その一方で、北朝鮮ともただならぬ関係がある。この点は、次の項目に書くことにする。

●菅氏らが「市民の党」等に巨額献金

 民主党は在日韓国人団体や韓国と異常な関係にあるのだが、その一方で北朝鮮ともただならぬ関係がある。民主党と北朝鮮との間には、深い闇が存在することが、菅政権の時に浮かびあがった。
 菅前首相をはじめとする民主党議員等は、「市民の党」という地域政党、ないしその派生団体に、巨額の献金をしていた。菅氏の資金管理団体「草志会」は、日本人拉致事件の容疑者の長男が所属する政治団体「市民の党」から派生した政治団体「政権交代をめざす市民の会」(以下、めざす会)に、平成19〜21年(2007〜2009)にかけて、計6250万円の政治献金をしていた。平成19年には、5千万円が提供された。この年、民主党から草志会に、計1億2300万円の献金があった。菅氏は当時、党の代表代行だった。
 菅氏と「市民の党」側とのつながりは、菅氏だけものではない。「めざす会」には、鳩山元首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」も1千万円を献金していた。「市民の党」、及び「めざす会」を含む関係2団体に対して、平成20年(2008)当時菅氏が会長を務めていた民主党東京都連も献金していた。民主党の国会議員や地方議員による個人献金を含めると、民主党側からの献金は総額約2億500万円にも上る。
 「市民の党」及びその派生団体への献金は、民主党の党ぐるみによる支援と見られる。献金は、民主党からの直接献金を隠すための迂回献金だった疑いが強い。民主党は、公党として、政党交付金を受ける。国民の税金がもとになっている政党交付金が、巨額献金の原資になっていた。民主党は国民の税金を怪しげな政治団体に回していたである。
 この問題は、単なる政治献金の問題ではない。「市民の党」等の背後には、北朝鮮が存在するからである。野田首相は、党の代表としてこの問題を明らかにし、民主党のあり方を正すべきである。だが、野田氏には、その意思がまったく見えない。むしろこの問題を国民から隠すために、菅氏が首相を辞任し、民主党の代表が替わったようにも見える。

●「市民の党」と北朝鮮の深い関係

 「市民の党」は、北朝鮮との関係が深い。同党には、日本人拉致事件容疑者の長男で、平成23年4月東京都三鷹市議選に立候補した森大志氏が所属している。
 森氏の父親は、よど号ハイジャック事件のリーダー、故田宮高麿である。この事件は、昭和45年(1970)、赤軍派が日航機を乗っ取り、「日本革命」のために北朝鮮へ渡った事件である。田宮は平成7年(1995)11月30日に北朝鮮で死亡したとされる。森氏の母親は、昭和55年(1980)に石岡亨氏と松木薫氏を欧州から北朝鮮に拉致したとして、結婚目的誘拐容疑で国際手配されている森順子容疑者である。彼ら北朝鮮に奉仕する極左カップルの長男が森大志氏であり、森氏を選挙に擁立したのが、「市民の党」である。
 「市民の党」の代表は、酒井剛氏という。酒井氏は、産経新聞の取材を受け、「10年ほど前に北朝鮮に行き、よど号の人間たちと会った」「その中には長男(註 森氏)の姉もいた。そうした縁もあり、長男が(日本に)帰国してからつながりがあった」と市議選擁立の背景を語っている。
 森大志氏は、北朝鮮生まれで、金正日専制体制のもと、「日本革命」の戦士として育てられた。「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」会長の西岡力氏は、平成23年(2011)7月20日の産経新聞に書いた記事の中で、森氏は、今も「金日成主義による日本革命を目指す北朝鮮の工作員」との見方があり、選挙に担いだ「市民の党」も、「北朝鮮の対日政治工作を担う政治勢力ではないかという疑いがある」と述べている。
 「市民の党」の機関紙には、田宮高麿やポル・ポト派元幹部が寄稿していた。菅氏はその機関紙に約30年前から投稿したり、インタビューに応じてきた。酒井氏は、菅氏について、「国会議員になる前から知っている。田英夫(でん・ひでお)さんからの紹介だ。30年ぐらい前、菅氏が4度目でやっと初当選した選挙も応援していた。ずっとケンカしながら一緒にやってきている」と述べている。
 菅氏は、市民運動から国政を目指したが、3回選挙に落ち、4回目で初当選した。菅氏は、故田英夫から酒井氏を紹介され、選挙に協力してもらって、当選できた。以後、30年に及ぶ付き合いだということだろう。

●田英夫と酒井剛氏

 田英夫は、社会党・社民連系の参議院議員だった。田は、昭和43年(1968)、韓国の朴大統領暗殺未遂銃撃事件が起こったとき、韓国による「ヤラセ」だと言った。実際は、北の工作員である在日朝鮮人・文世光による犯行だった。大統領夫人は銃撃を受けて死亡した。これを「ヤラセ」と言い切った田は、北朝鮮のシンパ、あるいはそれ以上の存在だったことは間違いない。
 田英夫は国会議員でありながら、「MPD・平和と民主運動」という政治団体の中心人物でもあった。彼とともに活動し、その活動を継承しているのが、酒井剛氏である。酒井氏は、田の娘婿だった。
 「MPD・平和と民主運動」は、平成8年(1996)に「市民の党」に改称した。この年、鳩山由紀夫氏、菅直人氏らが民主党を結成した。菅氏はその初代代表になった。菅氏と酒井氏の関係は、その後も、ずっと続いている。
 「市民の党」は、「MPD・平和と民主運動」の時代から、東京都千代田区平河町1−3−6龍伸ビルに所在する。「市民の党」が入っている龍伸ビルの窓には、故人だというのに「田英夫事務所」というポスターが貼ってある。
 龍伸ビルの建物の一部の権利は、具本憲という人物が所有している。在日朝鮮人の実業家であり、在日本朝鮮青年商工会中央常任幹事を務めた人物である。具本憲氏の父・具次龍は、「朝銀の陰の理事長」「北朝鮮への送金王」として知られた在日朝鮮人の大物だった。
 このことは、「市民の党」が北朝鮮と強いつながりがあることを示す。こうした政党に、菅氏をはじめとして民主党側は巨額の献金をしていたのである。それゆえ、民主党側からの献金は、政治団体を窓口とした北朝鮮への支援だったのではないかと疑われる。北朝鮮による対日工作活動への資金援助となっていた可能性がある。その手引きをしていたのが、菅直人氏だとすれば、わが国は、とんでもない政治家を首相にまでしていたものである。

●酒井剛氏の巧妙かつ悪質な手法

 「市民の党」の代表である酒井剛氏は、斉藤まさしという名前も使っている。上智大学の学生時代には、ML派(毛沢東主義)だった。その後、日本学生戦線・立志社・「MPD・平和と民主運動」等を経て、市民派の選挙運動を行ってきた。堂本暁子氏(元千葉県知事)や田嶋陽子氏(法政大学教授)の選挙参謀として名を馳せ、「市民派選挙の神様」といわれる。酒井氏は、自分は「革命のために選挙をやっている」と言う。市民派というのは表向きで、日本の権力を握るのが目的である。
 酒井氏は、初対面の人を前にして、菅氏や小沢一郎氏に直接電話をかけ、民主党への影響力を誇示していたという。また、市民の党関係者によると、「ブラックカードをいつも財布に入れて持ち歩いていた。政治団体の代表という職でなぜ持てるのか疑問だった」という。ブラックカードは、限度額無制限のクレジットカードである。資金面には謎の多い人物だったらしい。
 酒井氏は巧みな選挙戦術で議員候補を次々当選させ、選挙協力の見返りに民主党内に秘書を送り込んでいた。議員秘書や地方議員となって固定収入を得るようになった「市民の党」のメンバーは、給与や報酬を個人献金などの形で、党に納付。酒井氏は、こうした資金等を用いて政治活動を行うとともに、人件費として、各メンバーに給与を再配分していた。酒井氏は彼らに月15万〜20万円の給与を再配分し、メンバーはその給与で生活をしていたとみられる。それゆえ、民主党議員の秘書採用は「市民の党」への実質的な資金援助になっていた可能性がある。
 政治資金規正法では、個人献金の上限額は1団体に対して150万円までと定められているが、民主党国会議員の関係政治団体など複数団体を迂回させる方法で、1人あたり年数百万円の献金をさせていた。政治資金収支報告書によると、「市民の党」や派生団体に対する所属議員16人からの個人献金額は、3年で1億3000万円を超す。立川市の市会議員は、年収約672万のうち、1年間に410万円も献金していた。常識ではありえない話である。
 「市民の党」がこうして入ってくる資金を、人件費として支出した場合、政治資金規正法では、人件費は誰にいくら払ったのかを開示する義務はない。酒井氏の方法は、法の穴を突く脱法的なやり方と見られる。また、献金に際して、秘書や地方議員らメンバーは、総務省から「寄付金控除」の申請に必要な書類の発行を受けており、税制上の優遇措置を受けていた可能性がある。
 極めて巧妙かつ悪質なやり方である。
 
●菅氏の政治献金問題を解明せよ
 
 菅氏の資金管理団体「草志会」から「めざす会」に渡った献金額は、6250万円。平成19年(2007)には、限度額上限の5000万円が献金された。この年は、参院選と統一地方選が重なった年である。献金は、選挙の支援と協力だった可能性がある。この年の「市民の党」の人件費は、際立って多く、公職選挙法で禁止されている選挙運動者への金銭供与の疑いがある。
 菅氏は、8月8日の参院予算委員会の答弁で、献金の目的を訊かれ、「ローカルパーティー(地域政党)との連携・支援のため」と明確な説明を拒んだ。酒井氏との関係についても、首相は「会って話したことがある」と述べるにとどめ、具体的な説明を避けた。
 自民党の古屋圭司参院議員は、酒井氏の証人喚問を求めた。真相解明のために、国会は早急に喚問を実現し、酒井氏から菅氏との関係や献金目的、使途、参院選の選挙運動などを詳しく聴取する必要がある。
 草志会は平成19年に「めざす会」に対し、計5千万円を計8回に分けて献金した。自民党の西田昌司参院議員は税理士でもあり、この点を徹底的に追及している。8月11日参院予算委員会で質問に立った西田氏は、「めざす会」の帳簿上が平成19年5月8日の時点で資金残高が「マイナス」となっていたことを指摘した。5月25日に民主党本部からの3千万円の寄付を受領するまでは現金が足りず、5月8日に行った「めざす会」への500万円の寄付は、不可能だったはずである。帳簿上の不足金額は、その日の時点で357万1033円。14日には最大の658万5593円にのぼった。しかし、草志会の報告書には借入金等の記載はなく、西田氏は「存在しないカネをどこから持ってきたのか、明らかにすべきだ」と切り込んだ。
 西田氏は、「残高がマイナスになることはありえず、収支報告書の記載はでたらめだ」として、政治資金規正法の虚偽記載にあたる可能性を指摘した。菅氏は、寄付について「私が判断をした」と答弁しており、収支報告書の記載の責任は、事務担当者ではなく菅氏にある。
 菅氏は、東日本大震災の対応の悪さで国民の支持を失い、6月2日に辞意を表明したが、その後も権力の座に執着し続けた。その菅氏が政治献金問題で追及されると、さっと身を引いた。私は、この問題が解明されるのを避けるために、逃げたのだと思う。
 菅氏は首相を辞任する直前に、突然、朝鮮学校の授業料無償化の適用審査の再開を指示した。辞める最後の最後に、北朝鮮の学校の利益を慮る。ここまで金正日専制国家に肩入れするのは、尋常ではない。
 国会議員は、菅氏の政治献金問題の真相解明に努め、菅氏の政治的・道義的責任を追及すべきである。民主党の病巣を切開しなければ、日本の政治は健全化されない。
 神奈川県の住民らが政治資金規正法違反罪で、菅前首相に対する告発状を東京地検特捜部に提出し、受理された。菅氏の巨額政治献金問題は刑事事件に発展する可能性が出てきている。私は一国民として、司法の場で事実関係と法的責任を明らかにしてもらいたいと思う。

●青山繁晴氏は「北朝鮮の日本侵食」と分析

 政治・経済・国際関係等に高い見識を示す青山繁晴氏(独立総合研究所社長)は、関西テレビの番組「スーパーニュース・アンカー」7月13日放送の「青山繁晴のニュースDEズバリ」で、民主党の政治献金問題を鋭く追及した。
 青山氏は、この問題のキーワードは、「北朝鮮による日本侵食」だという。捜査当局は、かなり前から綿密な捜査をしており、捜査線上に6人の民主党議員の名前が上がった。そのうち突出しているのが、衆議院議員・鷲尾英一郎氏と黒岩宇洋氏だという。
 鷲尾氏は、民主党の中では保守系の若手議員として知られる。民主党内の「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」の事務局長を務め、映画「南京の真実」の賛同者に名を連ねている。永住外国人の地方参政権には慎重は姿勢であり、日本会議国会議員懇談会に加盟するなどしている。
 新潟出身の鷲尾議員は、北朝鮮による日本人拉致問題に取り組んでいる。万景峰号の入港反対デモにも参加した。現在、「衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」の理事をしている。そういう政治家が、実は拉致容疑者親族周辺団体に深く関わっていたのである。 
 鷲尾氏の関係する団体に、「わしお英一郎東京応援団」(以下、わしお応援団)という団体があり、昨年夏に解散している。「わしお応援団」は「市民の党」と所在地が同じだった。東京都千代田区平河町1−3−6龍伸ビル。ビルのオーナーは在日朝鮮人の大物実業家である。しかも、「市民の党」の代表が「わしお応援団」の会計責任者を務め、「市民の党」の事務担当者が「わしお応援団」の事務担当者を兼ねていた。そして、「わしお応援団」は、「市民の党」に約337万円の献金をしていた。
 また、「わしお応援団」は、「市民の党」から派生した「めざす会」にも、約350万円の献金をしていた。鷲尾氏の関係団体には、「わしお会」という団体もあり、昨22年夏、解散している。「わしお会」も「市民の党」と所在地が同じであり、「市民の党」の代表が「わしお会」の代表をし、「市民の党」の事務担当者が「わしお会」の事務担当者を兼ねていた。「わしお会」も「めざす会」に、約96万円の献金をしていた。一方、「市民の党」から「わしお会」には約280万円、「わしお応援団」には、約330万円が献金されている。 これらは、すべて政治資金収支報告書から明らかになった。
 「市民の党」「めざす会」と「わしお応援団」「わしお会」の間で、同じ人間が仕事をし、政治献金をぐるぐる回している。一体、なぜこんなことをしていたのだろうか。
 鷲尾氏は、「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」の理事である。表では、北朝鮮による拉致問題を糾弾し、解決をめざす政治活動をしている。ところが、裏では、拉致容疑者親族周辺団体と、人間も会計もつながっている。民主党から「めざす会」への巨額の献金を流す経路に、鷲尾氏とその関係団体が浮かび上がる。
 さらに驚くべきことに、鷲尾氏は平成21年(2009)2月までの4年間、「市民の党」の代表である酒井剛氏を公設第1秘書にしていた。本稿で書いてきたように、酒井氏は極めて問題の多い人物である。鷲尾氏は、衆議院議員として、酒井氏を含む「市民の党」のメンバー2人を秘書に採用していた。公設秘書には国費から給与が支払われる。酒井氏は、自ら鷲尾議員の秘書になることで、国民の税金から資金を得ていたのである。
 国会議員は強力な国政調査権を持っている。その補佐を行う公設秘書を、酒井氏のような人物がしていたということは、恐るべきことである。国家の機密情報が北朝鮮や左翼団体に流出した可能性がある。
 鷲尾氏だけではない。民主党の衆議院議員、黒岩宇洋氏の関係政治団体も、「めざす会」に献金を行い、選挙応援を行っていた。黒岩氏も「市民の党」「めざす会」と献金の流れで関わっている。黒岩氏の政治団体「越後の暴れん坊」から「めざす会」へ約392万円、「市民の党」から「暴れん坊」へ約328万円の献金がされている。黒岩氏も鷲尾氏と同じく、新潟が地盤である。黒岩氏は問題が発覚した当時、法務政務官だった。本職は北朝鮮拉致問題等について、公安調査庁等から直接情報を得ることができる立場である。特別委員会の理事をしている鷲尾氏もそうだが、国家機密の情報に触れ、それを外国に流すスパイ行為に関わっていないかが疑われよう。
 民主党と北朝鮮の関係の闇は、深い。表の下に裏があり、裏の奥に、またその裏がある。わが国は、刑法の第84〜87条がGHQに削除されたままであり、通牒利敵行為に対処する条項が欠落している。スパイ防止法も制定されていない。そういう国であるから、外国勢力が日本の政党の中枢に忍び入ったり、有力な国家議員に接近して利用したり、国家の外交・法務・防衛等の重要機関に協力者を作って工作することは、容易だろう。日本は「スパイ天国」といわれるほど、ほとんど無防備な状態にある。
 民主党と北朝鮮の関係の闇を、明るみに出さねばならない。国家の背骨・脳髄に巣くう病を除去しなければ、日本の再建はできない。国会議員は、国政調査権を行使して、この問題を徹底的に解明してほしい。

●民主党は韓国・北朝鮮の両方から中枢まで食い込まれている

 本稿で書いてきたように、民主党は、片方で韓国と異常に深い関係を持ち、もう片方で北朝鮮との間に闇を抱えている。朝鮮半島の南と北の両方から、侵食されているのである。民主党は、外国人の党員、サポーターになれる政党であり、純然たる日本の政党ではない。韓国・北朝鮮の両方から党の中枢まで食い込まれ、半ばコリア化している。そういう政党が、わが国の政治を担っているのである。
 野田氏は、民主党の代表として、民主党と韓国・北朝鮮との関係を断ち、日本の政党として再出発すべきである。だが、野田氏には、在日外国人献金問題を明らかにする意思があるのか。菅氏・鳩山氏等の「市民の党」等への献金問題を明らかにして、党の規律を正す意思があるのか。民主党を日本の政党として立て直す意思があるのか。どれも疑わしい。
 野田氏の党内融和とは、民主党の政治家たちが、在日外国人献金問題、北朝鮮とつながりのある政党・団体への献金問題等をごまかし、互いに協力して乗り切ろうとする姿勢である。
 こうした人物、またこうした人物を代表に仰ぐ政党に、日本の政治を委ねることは、日本人の自滅行為である。日本国民は、南北コリアに食い込まれ、外国人の意思で動かされる政党の存在を許してはならない。ページの頭へ

関連掲示
・拙稿「北朝鮮による拉致とは何か
・拙稿「日本赤軍の重信房子・よど号犯とオウム真理教の危険なつながり」   

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第3章 金権体質と組合体質が融合

 

●民主党は反自民で集結した寄せ集め政党

 野田首相を中心に民主党について書いてきたが、ここで改めて民主党という政党の本質と実態について述べ、民主党政権の末路を考察したい。
 民主党は、平成21年(2009)9月に政権について以来、この約2年間、日本の政治を混迷に陥れ、日本は危機に瀕している。この状態で、3人目の“代表=首相”となった野田氏は、これまで書いてきたように、日本の復興・再建より、党内融和を優先し、権力の維持のためには自らの思想・信条を曲げる変節漢である。小沢氏に配慮し、日教組と連携し、韓国・北朝鮮の勢力とのつながりを隠し通そうとしている。この野田氏の変心ぶりは、野田氏個人の資質の問題である以上に、民主党という政党の性格の現れである。
 “代表=首相”が鳩山氏であろうが、菅氏であろうが、野田氏であろうが、民主党は民主党である。党としての基本的な性格は変わっていない。そこから、民主党政権の末路が見えてくる。この点を書いて、本稿の結びとする。
 平成5年(1993)に細川護煕氏を首班とする非自民連立政権が発足した。これによって、戦後冷戦下で長く続いた55年体制は崩壊した。以後、政治家の集合離散が繰り返されてきた。いくつもの新党が現れては消えた。その中で出現した最大の政党が、民主党である。
 冷戦の終焉とソ連の解体の後、アメリカが唯一の超大国となった。共産主義・社会主義は世界的に大きく後退し、資本主義・自由主義が勢力を強めた。わが国では、55年体制下で自民党に対抗してきた社会党は、平成8年(1996)に四分五裂した。こうしたなか、新たに自民党に対抗する政党として、民主党が伸長した。
 民主党の本質は、反自民の諸党・諸派が結集した政党という点にある。思想や理念で結束したのではない。だから綱領もつくれない。今も民主党には、綱領がない。
 民主党は、もともと豊富な資金源を持つ鳩山由紀夫氏が、実質的なオーナーとなっている政党だった。鳩山氏は、昭和61年(1986)、衆議院議員総選挙で自民党から出馬して初当選した。祖父・父の血を引く、保守のサラブレッドとして、注目を集めた。平成5年(1993)、政治改革の考えの違いから自民党を離党し、武村正義氏らの新党さきがけに加入した。平成8年(96)にはさきがけを出て、弟・邦夫氏と菅直人氏とともに旧民主党を作り、平成10年(1998年)現・民主党を結成した。
 この過程で、民主党には、自民党を出た元自民党員から、旧社会党の右派・中間派、さらに最左派・社会主義協会などまで、幅広く集合した。保守系リベラルからリベラル、左翼の社会民主主義者までが集まった。右から左までの幅広い諸勢力が、反自民という一点で集結した政党が、民主党である。
 民主党は、平成15年(1997)に、小沢一郎氏の自由党を吸収合併して党勢を増した。小沢氏の自由党と合併する前、鳩山氏は資金力はあるものの、政治的な手腕に乏しく、民主党において求心力に不足していた。菅氏も市民運動上がりで、組織的な指導力を欠いていた。鳩山氏・菅氏が反自民の政権を目指すには、小沢氏の力が必要だった。民主党は、小沢氏の自由党と合併したことによって、政権交代を実現し得る政党に成長した。
 民主党は、巨大化の過程で、傘下に労働組合や各種の左翼団体を抱えるようになった。今日、民主党の最大支持基盤は、労働組合である。最大の支持団体は連合(日本労働組合総連合会)である。また日教組・部落解放同盟を支持団体に持つ。
 労働組合や各種の左翼団体は、組織的な集票力がある。それだけ、政党の指導層に影響力を持つ。民主党は、平成17年(2005)以降、自民党に対抗するため、労働組合や旧社会党系の団体の要望を多くいれ、また日教組の教育政策をほとんどそのまま受け入れるなど、左傾化が進んだ。
 民主党という名称は、保守的・中道的な感じを与える。ソフトで明るくやさしい感じを与える。その看板のもとに、旧社会党系の諸団体の多くが鳩合し、巨大な政治勢力の中によみがえった。その点では民主党は「第2社会党」的な政党に変質しているのである。
 こうした政党が、平成21年(2009)9月の衆議院総選挙で政権交代を成し遂げ、自民党に替わって政権に就いた。自民党は、立党の精神を失い、長年腐敗・堕落を続けていた。公明党が延命装置となっていた。小泉構造改革で新自由主義的な政策が強行され、わが国の伝統・家庭・社会・道徳は危機に瀕していた。国民の多くは、民主党の本質や実態を知らずに、自民党に替わり得るものとして、民主党に過大な期待を寄せたのだった。

●自民党の金権体質と旧社会党の組合体質が融合

 民主党が政権を奪取できたのは、小沢氏の選挙戦術の賜物である。小沢氏と組んだことによって、鳩山氏・菅氏は政権交代を実現することができた。これは小沢氏なしには不可能だった。
 だが、民主党に入り込んだ小沢氏は、巨額のカネと強力な手腕によって、民主党の最高実力者となっていた。鳩山政権が発足すると間もなく、民主党の権力は二重構造となっていることが、国民の目に明らかになった。表では鳩山氏が首相として内閣を総理しているが、裏では小沢氏が政府も選挙も国会対応も取り仕切っている。日本の政治の実権を小沢氏が握り、内閣の外から鳩山首相や閣僚を牛耳っていた。
 鳩山氏が退陣すると、後を継いだ菅氏は、脱小沢を志向した。しかし、平成23年(2011)3月11日、東日本大震災が勃発すると、菅氏は全く指導力を発揮できないのみか、かえって首相の判断や言動によって被害が拡大し、わが国は深刻な事態に陥った。この間、民主党の体質・欠陥・危険性が、国民の目に明らかになった。
 野田氏は、民主党の代表戦で反小沢の票を集めた。だが野田氏は首相になるや、小沢氏に配慮し、党内融和を図った。私は、民主党は、55年体制での自社の馴れ合い政治が、政党の形になったものだと見ている。自民党の金権体質と旧社会党の組合体質が融合し、権力の奪取と強権の行使が目的化している。自民党出身で田中角栄・金丸信の弟子だった小沢一郎氏と、日教組出身の輿石東氏の結束がその象徴である。
 小沢氏は、独裁者的なタイプだが、旧社会党や日教組系の政治家は、小沢氏の采配に反発しない。逆に小沢氏を強く支持し、結束している。私は、小沢氏の独裁者的な性格と手法は、マルクス=レーニン主義的な組織原理と親和するのだろうと見ている。野田氏が小沢氏に近い輿石氏を幹事長にしたことは、民主党の体質をよく表現している。
 そのうえで、私が民主党の最大の問題だと思うのは、外国勢力に深く犯されていることである。この点は、党内の左翼よりも、そして小沢氏よりも、もっと重大である。

●民主党に韓国・北朝鮮の勢力が張り込んだ理由

 どうして民主党は、朝鮮半島の南と北の双方から侵食された半コリア化した政党になったのか。
 民主党は反自民という一点で寄り集まった集団である。そのため、政党として必要な綱領を作ることができない。こういう精神的に隙だらけの集団だから、韓国と北朝鮮の勢力がともに入り込んだのだと私は思う。
 この侵食を許した原因は、4点あると私は思う。

@ 鳩山由紀夫氏の説く「友愛」の脱日本志向
 戦後50年を迎えた平成7年(1995)は、日本の精神的な劣化が顕著になった年だった。その翌年に旧民主党が結成された。旧民主党の結成前、鳩山氏は、平成8年(1996)6月号の雑誌に寄せた「わがリベラル友愛革命」で、「定住外国人に国政参政権を与えることをも真剣に考えても良いのではないかと思っている」と書いた。地方参政権どころではない。国政参政権を与えるというのである。こういう思想を持った人間が、民主党を作ったのである。
 鳩山氏は、平成14年(2002)8月の夕刊フジ・コラムで、民主党代表として発言し、「日本列島は日本人の所有物と思うなという発想は、日本人の意識を開くことであり、死を覚悟せねば成就は不可能であろう。私はそこまで日本を開かない限り、日本自体の延命はないと信じる。だから私はその尖兵を務めたいのだ」と書いた。こうした倒錯した思い込み、世界市民的な似非ヒューマニズムと反日的な破壊衝動が、民主党を危ういものとしている。そこに韓国・北朝鮮の両方の勢力を引き込んだ原因の一つがある。
 鳩山氏の友愛と民主党の問題点については、拙稿「友愛を捨てて、日本に返れ〜鳩山政治哲学の矛盾・偽善・破綻」で詳述した。本稿の民主党論のもとになっているものとして、ご参照願いたい。

A 菅直人氏の北朝鮮・市民団体とのつながり
 平成8年(1996)9月28日、鳩山氏が旧民主党を旗揚げしたとき、菅氏も参加した。菅氏は初代代表となった。菅氏は、市民運動上がりの政治家だが、国政選挙で最初3回落選した。この時、酒井剛氏の協力を得たことで、4回目にして初当選を果たした。菅氏は酒井氏とその後、ずっと付き合いを続けている。民主党結党の時点で、菅氏と酒井氏との付き合いは約15年になっていた。
 菅氏は酒井氏を通じて、北朝鮮・よど号犯・新左翼系グループとつながりを持っている。このルートが民主党に北朝鮮の勢力が入り込む経路の一つとなっている。菅氏の資金管理団体は、酒井氏が代表を務める「市民の党」に、6250万円もの献金をしていた。菅氏は「自分が判断した」と言っている。民主党側からの献金で最も多い額である。菅氏がいればこそ、民主党側から「市民の党」等に、巨額の献金がされ、「市民の党」のメンバーが民主党議員の秘書に入り込んだのである。

B 旧社会党系の反日左翼運動
 平成8年(1996)1月、日本社会党は、社会党の看板を下ろし、社会民主党に改称した。その後、同年9月の旧民主党の旗揚げに際し、社民党の約半分の所属国会議員が民主党結成に参加した。この時、右派・中間派だけでなく、最左派の社会主義協会派からも、民主党に入った。共産主義政党は、社会党への加入戦術を行っていた。民主党の事務局には、新左翼のセクト出身者が少なくないと聞く。旧社会党は、ソ連系列のマルクス=レーニン主義政党であり、北朝鮮、労働組合、部落解放同盟との関係が深い。日教組を中心に日本断罪史観、反日自虐教育を推進してきた。民主党はこうした旧社会党系の勢力が生き延びる場所となったのである。
 旧民主党は他の諸政党が合流する形で、平成10年(98年)に現・民主党に発展した。現・民主党は、この平成10年の結党時に、基本政策の一つに「定住外国人の地方参政権の実現」を揚げた。その後、参政権付与の法案を繰り返し国会に提出しており、過去の政策論文集でもこの方針を打ち出してきた。
 民主党には、思想的には親北朝鮮の勢力とともに、在日韓国人の反日運動と連携する政治家も多くいる。ここに韓国・北朝鮮の両方の勢力に入り込まれ、積極的に連携する関係ができている。

C 小沢一郎氏の権力欲・選挙戦術
 結党後、党勢を拡大させた民主党は、政権交代を実現するために、小沢氏に接近した。小沢氏は、鳩山氏の民主・自由両党合併に向けた協議提案を受け入れた。その後、民主党代表となった菅直人氏が合併を決断し、平成15年(2003)9月、民主党・自由党は正式に合併した。自由党は解党して、民主党に合流した。民主党に入り込んだ小沢氏は、党内で地歩を固め、中心的な存在になっていった。
 小沢氏は、“数こそ力”の論理で、自民党から権力を奪えるなら、左翼団体であろうと在日外国人であろうと、数として利用する。この権力欲と選挙戦術が、韓国の民団の協力・支援を必要とし、韓国の勢力を呼び込んだ。
 
 私は、これら@鳩山由紀夫氏の説く「友愛」の脱日本志向、A菅直人氏の北朝鮮・市民団体とのつながり、B旧社会党系の反日左翼運動、C小沢一郎氏の権力欲・選挙戦術の4つが合体したところに、民主党のコリア化の原因を見る。民主党には、韓国と北朝鮮の勢力、民団と総連の両方が入り込み、政策や活動を左右する体質が、本質的に存在する。そして、民主党は、韓国と北朝鮮が、日本に対する影響力を増強しようとする争闘場となっていると私は思う。
 ただし、こうした現象は、民主党で初めて生じたものではない。自民党は、かつて世界基督教統一神霊協会(略称 統一教会、教祖・文鮮明)を母体とする勝共連合との関係を深め、統一教会員が議員秘書になったり、選挙運動をしたりした。また、自民党の有力政治家が、パチンコ利権に預かり、保守政党の政治家でありながら、北朝鮮を擁護したり、拉致問題の解決に消極的な言動を行ったりする者がいた。統一教会やパチンコ利権は、旧社会党等の議員にも関わっている者がいた。だから、この問題は、民主党で初めて生じた問題ではない。ただし、問題の大きさ、深さの程度がまったく違う。民主党は、党自体が半ばコリア化している。

結びに〜民主党政権の末路を断て


 野田政権において、民主党政権はどうなるか。私は、民主党政権はますます欠陥・矛盾をさらけだし、解散総選挙で惨敗。政権交代が起こり、保守を中心とした政治で日本の再建が進むと予想する。それが民主党政権の末路である。新たな保守勢力の中核となり得るのは現状では、数的には自民党しかあり得ない。だが、自民党は、長年の腐敗・堕落から再生し切れていない。私は、自民党の再生は、立党の精神に立ち返ることなくして、実現しないと思う。この点は、拙稿「自民党は立党の精神に帰れ」に書いた。

このまま民主党に日本を委ねることは、日本、及び日本人の運命を危険にさらすことになる。この危機を乗り越えるには日本人が自己本来の精神、日本精神を取り戻し、日本を根本から変える以外にない。民主党政権の末路を断ち、日本の再建を進めよう。(ページ頭へ)

関連掲示
・拙稿「友愛を捨てて、日本に返れ〜鳩山政治哲学の矛盾・偽善・破綻

・拙稿「自民党は立党の精神に帰れ
・日本精神については「基調」をご参照下さい。

   

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