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外国人土地取得の規制を急げ〜北海道の事例を踏まえて

2016.10.8

 

<目次>

はじめに

1.外国人土地取得の規制が必要

2.北海道で最も土地取得が進んでいる

3.全国に衝撃を与えたシリーズ「北海道が危ない」

  結びに〜日本を守るため法整備が急務

 

  補説:21世紀の新たな「北の守り」を固めよう

 

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はじめに

 

 わが国は、外国人の土地取得に対してほとんど無防備な状態である。本稿は、最も危ない状態になっている北海道の事例を踏まえて、外国人による土地取得を早急に規制することを訴えるものである。

 

1.外国人土地取得の規制が必要

 

 日本各地で外国人が土地を購入する動きが深刻化している。特に森林である。深刻な水不足に悩む中国が日本の水資源に目をつけ、森林を買うことでその土地の水を利用としているのが目立つ。水は「21世紀の石油」といわれるほど貴重になっている。そうした今日、水不足と水汚染に悩む中国が、わが国の水を狙って、水源地の買収を行っている。

 マスメディアでは、産経新聞がこの問題を積極的に取材・報道してきた。問題の重要性が一般に知られるようになったのは、平成22年(2010)12月、TBSテレビが、北海道における外国人による水資源・森林資源の買い占めを詳しく取り上げ、大きな反響を呼んだことである。続いて、平成23年1月号の月刊誌『WiLL』が、北海道の買収への規制や日本の森と水を守る法案を特集し、さらに注目を集めた。

 こうした問題は、その後も全国各地に広がっている。外国人による森林資源の取得への懸念の高まるなか、政府は23年4月、森林の所有権移転に際し、事後の届け出を義務づける法改正を行った。だが、事後の報告を求めるだけゆえ、国家安全保障の観点から、取引自体に規制をかけるものとはなっていない。森林法改正以降、多くの自治体(広域連合を含む)が政府に対してさらなる規制を求める意見書を提出している。改正森林法では、買収を未然に把握するための措置としては不十分だからである。森林だけではなく、国防施設や国境付近の離島、海岸などにも警戒が必要である。国有地のネットオークション、外国政府への広大な国有地の売却など無警戒な取り扱いも見直さなくてはならない。

 実際、中国系を始めとする外国資本による土地買収は、在日米軍基地や自衛隊基地の周辺など、安全保障上、重要な場所にも及んでいる。経済活動の自由ということで、独立主権国家としての意思を発動せず、規制を怠っていると、国益を大きく失うことになる。

 こういう意見がある。「市場の自由」という資本主義の原則から言って、政府が外国人の土地買収に規制をかけるのはおかしい、わが国の個人や企業も外国で土地の買収を行っているのだから介入を行うべきでない、と。

 だが、諸外国では、非国民が経済活動に関する諸権利に関して、一定の制限が設けられている場合が多い。例えば、土地や船舶、航空機の所有や資源開発等に関しては、国家の安全や公益を理由に制限を課すことが、認められている。わが国が自国の判断で、外国人の土地買収に一定の規制を行うことは、決して国際社会の慣習に反することではない。

 中国は外国政府や外国人に一片の土地も売らない。日本の大使館は土地を買うのでなく、借りている。だが、中国が新潟等で領事館用に広大な土地を買っており、大きな問題になっている。対等互恵の関係になっていない。韓国・シンガポール・オーストラリア等では、外国人の土地購入に厳しい制約をかけている。

 米国では包括通商法によって、大統領は国の安全保障を脅かすと判断した場合は、事後であっても土地取引を無効にできる権限を持つ。これは、独立主権国家の主権の発動であり、国民の市民的自由に対して、政府のレベルで一定の管理を行うことが、法によって正当化されている。「自由の国」として個人の自由をしっかり保障するが、国家安全保障という目的のためには、個人の自由に一定の規制を課す。国家安全保障が確保されてはじめて個人の自由も守り得るからである。このあり方は、米国が新自由主義・市場原理主義に強く傾いた政権にあっても、全く変わっていない。

 わが国には、大正15年(1926)施行で現行法でもある外国人土地法という法律がある。同法は第4条で「国防上必要ナル地区ニ於テハ勅令ヲ以テ外国人又ハ外国法人ノ土地ニ関スル権利ノ取得ニ付禁止ヲ為シ又ハ条件若ハ制限ヲ附スルコトヲ得」とある。同条の2項では具体的な地区を「勅令ヲ以テ之ヲ指定ス」と定めている。すなわち、外国人による土地取得に関する制限を政令で定めるとしているのである。戦前は国防上重要な保護区域を定め、外国人が土地を取得する場合、陸相や海相の許可を必要としていた。だが、大東亜戦争の敗戦後、すべての政令が廃止されたため、同法の実効性が失われたままになっている。 平成20年(2008年)に超党派の議連「日本の領土を守るため行動する議員連盟」(会長、山谷えり子参院議員)のメンバーが、「対馬問題の解決の糸口となりうる」と同法に注目し、法的効力が残っていることが国会質疑で確認された。条文にある「勅令」は、現在は「政令」に読み替えるという規定があるため法改正の必要はなく、新たな政令をつくれば法の適用ができる。ただ、政令策定時に、具体的な制限区域の判断基準や要件などを定める作業は必要となる。さらに、既に買収された土地には財産権が発生するため、同法での解決は困難などの問題がある。国家安全保障の観点に立って、法的な整備が急務である。まずこれをやり、次に水源・森林・農地等についても急ぎ法整備が必要である。

 戦後日本人の領土意識・国防意識は極端に低下している。外国勢力に侵されているのは、北方領土、竹島等の国土周縁部の島嶼だけでない。水源や森林や農地を失ったら、日本人は生存・繁栄していくことができなくなる。日本の水と森と大地を、外資の食いものにされてはならない。ページの頭へ

 

2.北海道で最も土地取得が進んでいる

 

 続いて、北海道の事例について書く。全国で最も深刻な北海道の事例を踏まえた取り組みが求められている。

 北海道では近年、民間による水源地などの森林や土地の取得が相次いでいる。

 平成20年(2010)、倶知安町で、中国資本に57ヘクタールが買収されていたことがわかった。うち32ヘクタールが水源機能を持つ保安林だった。21年にはニセコ町と蘭越、倶知安の3町と砂川市で中国、英国領バージン諸島の企業が4カ所353ヘクタールを買収した。個人でもニュージーランドと豪州、シンガポール国籍の各3人が倶知安、ニセコ、日高の3町の計53ヘクタールを取得した。こうした動きがどんどん広がっていた。

 平成22年(2010)、北海道庁の調査により、北海道では、外国資本企業や外国人が取得した私有林が33カ所820ヘクタールに上ることが分かった。中には陸上自衛隊施設を一望できる高台の森林も含まれていた。平成20年に英領バージン諸島の企業が倶知安町に取得した森林は、陸上自衛隊駐屯地から半径2キロ圏内の高台にある。そのほか、自衛隊や警察署など治安維持施設周辺で外資が取得した森林は27市町村で54件、579ヘクタールに上ることが分かった。取得しているのは、中国やシンガポール、オーストラリアなど10カ国の企業や個人だった。倶知安町や留寿都村、幌加内町などでの取得が目立った。

 この時の調査で、水源を抱えるなど公益性が高い森林の所有者として記録があった企業2232社に文書で回答を求めたとこ、913社に調査文書が届かず、1万4千ヘクタールの森林の所有者が特定できなかった。また、北海道には森林を細分化して売却する分譲森林が2万5千ヘクタールあり、これらの森林は国土法の届け出が不要なことから、所有者が特定できない森林の合計は3万9千ヘクタールに達していた。また、長年、整備などを実施していない企業がもつ森林が3万3千ヘクタールあった。北海道庁は倒産や廃業で所有者不明となった森林も相当あると判断し、さら調査を継続することとした。

 この年、全国的に注目されたのが、ニセコ町の取り組みである。ニセコ町周辺は質のよいスキー場で知られる。近年はそれが外国人の人気を集め、香港資本やオーストラリア資本が相次いで進出している。ニセコ町は、平成18年から20年にかけて、住宅地の地価上昇率が3年連続で全国一になった。だが外資が目をつけているのは、観光資源だけではない。ニセコ町では、水源地が外資に買われていた。そこで、ニセコ町は、町内にある水源地を公有地にする買収交渉を進めることを決めた。町の水源地には外国資本所有の土地もあり、町は「水の安定供給を図るため」という。町の予算で外資所有を含め水源地をすべて公有地にするのは全国で初めてだった。

 町内には15の水源があり、うち5つの水源が民間所有となっていた。これまで町は民間所有者から取水施設分の土地を借りて水を確保し、簡易水道で町内に供給していた。5つのうち個人所有の1つを除く4つの水源は企業が所有しており、道内屈指のスキー場とホテルの敷地内にある2つの水源地は外資などを経て、マレーシア資本企業の手に渡っていた。

 ニセコ町では23年5月、水質保全が必要な保護区域内での開発を規制する「水道水源保護条例」と、過剰な取水を制限する「地下水保全条例」を制定。2つの条例で規制の網をかぶせた。

 町内の15の水源地のうち、2つがすでに外資所有になっていたことが条例のきっかけになった。町の担当者は「水源地を整備したいときなど、外資にどうやって連絡を取ったらいいのか。水源地を自分たちで管理できなくなるのは死活問題」と語ったと伝えられる。

 長崎県対馬市で平成19年(2007)、海上自衛隊施設の隣接地を韓国資本が買収しリゾートホテルを建てたことがわかり、全国に衝撃を与えた。その5年後の24年(2012)、北海道倶知安町の自衛隊駐屯地3キロ圏内で、外資所有の林地が3件109ヘクタール見つかった。外国人土地取得の問題は、国防上の観点からも取り組みを急がねばならないことが、北海道でも浮き彫りになった。

 こうしたなか、平成24年4月1日北海道で水資源に関する条例が施行された。水源地周辺で土地を売買する場合、売り主が契約の3カ月前に道に届け出る「事前届け出制」とし、所有者や売買予定地の情報を把握するものである。外国資本による道内の水源地買収を監視するためのものである。事前に分かれば、自治体が外資の代わりに買い上げるなどの対抗策も可能になる。だが、抜け道があって、効果は上がっていない。

また、我が国の法制度では、有効な規制が難しい。民法上、日本の土地所有権は「世界一強い」ともいわれ、絶対・不可侵性が原則である。地下水については、所有者はいくらでもくみ上げる権利があり、河川法に基づいて利用が制限される表流水と扱いが異なっている。これまでに地下水取水を包括的に制限する国の法律はない。

 自民党では、安倍晋三現首相ら有志議員が「日本の水源林を守る議員勉強会」を立ち上げ、議員立法を目指す取り組みをしてきた。自民党は、森林の公有地化のための予算確保を図り、一定面積以上の森林取得には届け出義務や罰則強化を盛り込んだ森林法の改正案と、地下水を公共の資源ととらえて揚水可能な地域をあらかじめ指定し、水源を守る緊急措置法として地下水利用法案を、22年の臨時国会に提出したが、成立しなかった。非常に残念なことだった。その後も、外国人による水資源、森林資源等の土地取得は拡大と深化を続けている。ページの頭へ

 

3.全国に衝撃を与えたシリーズ「北海道が危ない」

 

 北海道への外国人土地取得は、勢いを増している。本年5月中旬、産経新聞は、宮本雅史記者による「北海道が危ない」というシリーズ記事を載せた。外国人土地取得の深刻さを伝える震撼すべき記事だった。宮本記者は、7月末及び10月初めに続編を書いた。これらもまたショッキングな内容だった。

 これらの記事は貴重な情報を満載している。そこで項目別に整理し、要点をまとめて資料化して置く。

 

(1)概況

 

 北海道庁は平成24年4月、水源地を売買する際、事前届け出を求める水資源保全条例を施行した。この条例は外国資本による道内の水源地買収を監視するためのものである。水資源保全地域を指定し、同地域内にある土地を売却する場合は事前届出制にした。ただ、強制力はない。現在、58市町村169地域、11万9861ヘクタールが保全地域に指定されている。一方、外国資本の森林などの売買は規制がないため、道庁は22年度から独自に、外国資本が資本金の50%以上を占める企業についてはその動向を注視している。だが、中国と関係のある日本企業が買収しているケースや、中国企業が日本企業を買収し、そのまま所有権を引き継ぐケースもあり、実態把握が困難と伝えられる。

 記事は、条例施行から4年たったところで、道内の外国資本の動向を追ったものである。本稿は、記事の内容を、森林資源、農業資源、観光資源、居住地、商業施設、安全保障上の懸念、自然環境破壊の恐れ、地方行政への影響、深刻化する現状に基づく将来予測という各項目に分けて整理する。

 

(2)森林資源

 

 海外資本による北海道の森林買収は、平成27年12月末現在、26市町村で計1878ヘクタール(東京ドーム約400個分)。中国資本が明らかに多いという。道庁の調査で、道内に総計約4万ヘクタールの所有者不明の山林があることが判明した。

 元東京財団上席研究員の平野秀樹氏は、「日本の土地は『所有者絶対』の原則が貫かれているので、所在不明の主体に売ったが最後、糸の切れたたこのように浮遊し続ける土地が続出してしまう。国家の主権そのものが脅かされ、モラルハザードが当たり前の社会に成り下がってしまうかもしれない」と警告する。

 

(3)農業資源

 

 帯広市拓成町では、中国生まれで「反天皇」の農場主が170haを取得し、朝鮮総連議長らが訪問している。

 この農場経営者は、地元財界の有力者。「これまでに170ヘクタールを買収し、最終的には400〜500ヘクタールまで広げ、バンガローも年内には7棟建てる。いずれはヘリポートの建設も予定している」と語る。昨年10月31日、この農場に朝鮮総連の許宗萬議長や議長補佐、朝鮮大学校長、同大教授、それに横浜中華街華僑連合会長らが訪れた。

 この経営者は中国・済南生まれで、天皇陛下をののしり、政府の農業政策を批判し、「有機農法を勉強したいのなら、中国人にもただで教える。北朝鮮も中国もロシアも関係ない」と強調する。

 長年にわたり中国資本による道内での不動産買収を注視している前道議の小野寺秀(まさる)氏は、「中国資本はこれまでは建物や部屋、土地の一部などを買っていたが、最近は集落単位で買っている。自己完結的に生活できるようなものを買おうとしているのではないか」という。

 農場には「縄文ロード 帯広市拓成町〜静内町農屋 延長55km」の看板が設置されている。山が削り取られ、広範囲にわたって整地され、一つの集落のようになっている。コンクリート製の電柱が増え、大量の電気が使われている様子であり、相当数の車が出入りしている形跡もあるという。

 日高山脈を隔てて拓成町に隣接する平取町豊糠地区では、平成23年に人里離れた山間の集落が、中国と関係の深い農業法人に、ほぼ「村ごと」買収された。買収した農業法人は、業務用スーパーを全国にフランチャイズ展開するA社の子会社。農地123万3754平方メートルが買収され、原野や山林を含めるともっと増える。

 A社は、中国に子会社があり、中国との関係が深いとされる。「買収後、中国の領事館ナンバーの茶色いバンが、豊糠地区内を走っているのを複数の住民が複数回見た」との証言もある。一部住民の間では「地目を変更すれば、住宅や工場を建てられる。農地を荒れ地にしておいて、『雑種地』に地目変更するつもりではないか。変更すれば、誰でも自由に買えるようになる」という憶測が出ている。また中国事情通は「中国人からすると、将来的には日本人と結婚をして中国人の血が流れている子孫を増やすという大きな狙いがある。そのためにはまず、地域に拠点を作ることが優先される」と語っている。人里離れた袋小路状態の集落ゆえ、「中国人を中心とした閉鎖的な集落ができるのでは」と不安が広がっている。

 日高山脈・十勝幌尻岳の山麓にあるポロシリ自然公園の隣の山間に「帯広南の丘 スイス牧場」という看板が立っている。森林に覆われ、牧場には見えないが、建物が数軒、木々に埋もれるように建っている。入り口とおぼしき林道には車が出入りした形跡はあるが、柵が設置され、「私有地につき立ち入り禁止」の看板が立っている。地元住民は「ほとんどの住民は存在すら知らない。所有者も全く分からない」と語り。帯広市農政課と管轄の川西農協も「名前を聞いたことはないし、全く把握していない」という。

 「場所は分からないが、中国人が牧場を丸々買ったという話を聞いた」という証言をする住民がいる。「山の奥に行くと、家はないはずなのに、いろいろな家が建っていて、だれが住んでいるのだろうと驚くことがある。『あの人は日本人?』という感じの人もいる。でも、だれが住んでいるのか、どういうルートで売買されたのか全然分からない」という証言もある。

 

(4)観光資源

 

 スキーリゾートで有名なニセコ町では、山田温泉ホテルが平成22年に7億円で中国資本に買収された。

 占冠村では、1千ヘクタールを超える総合リゾート施設「星野リゾート トマム」が、昨年秋、中国の商業施設運営会社「上海豫園旅游商城」に買収された。上海豫園旅游商城の大株主は、日本での不動産投資を積極的に進めている上海の中国民営投資会社「復星集団」(フォースン・グループ)。

 占冠村の中村博村長は、「買収は寝耳に水だった。中国企業の会長は『トマムにも投資する』と言っているが、具体的にどういう投資がなされるのか分からない。水の問題と乱開発が心配だ。網掛けをきちんとして、水資源の確保と乱開発は防がないといけない」と語る。

 住民は「中国資本が中国人をたくさん呼んできて、中国人の雇用を増やす可能性がある。村内では、中国人の街ができてしまう、という噂が立っている」という。

復星集団はトマム買収以前にも、新得町のリゾート地「サホロリゾートエリア」で宿泊施設を所有するフランスのリゾート施設運営会社「クラブメッド」を買収している。新得町の浜田正利町長は、「日本を守るという意味で、(外国資本による北海道の不動産買収に)制限は必要だと思う。特に土地に関しては国が制限をもうけないと…」と言う。

 エゾ富士「羊蹄山」の里・喜茂別町では、広大なゴルフ場を中国・北京の投資会社が買収した。完全なプライベートゴルフ場でクラブハウスも超高級な造りで、クラブハウスというよりはオーナーの別荘のようだったが、一般客の募集を始めている。

 喜茂別町の北方に位置する赤井川村では、「DROM ホテル・ドローム」「ドローム キャンプ・フィッシング フィールド」が今年5月、シンガポール企業の日本法人(札幌市)によって買収された。

 喜茂別町は新千歳空港から車で約1時間半、赤井川村は約1時間だ。「最初はニセコ町を中心に買収されていたが、赤井川村、喜茂別町と放射線状に伸びてきている。水源や資源があるところばかりで、買収の単位も100ヘクタール単位と大きくなっている」と地元住民は語る。

 前道議の小野寺秀氏は「270ヘクタールもあるドロームは国道沿いの木を残して中だけ伐採すれば、外からは全く見えない。入り口を閉めると、誰からも干渉されない閉鎖的なゾーンになる。大きな川も流れていて、自己完結的に生活するには最適の場だ」と指摘。その上で、「中国人の移民を受け入れるような流れになってきているが、そうした中国人が1カ所に住み着く可能性がある。自己完結的に住める地域には、アンタッチャブルな“集落”ができる可能性がある」と懸念を示す。

 また、「中国が狙っているのは水源地や森林、不動産だけではない。観光施設も買収している。今後、観光地の中国化が進み、利用するのは中国人がほとんどという事態になり、その場がチャイナタウン化するのは時間の問題だ」という。

 

(5)居住施設

 

 千歳市郊外には、家具・インテリア販売大手「ニトリ」の子会社「ニトリパブリック」が約6億5千万円を投じ、平成22年7月に中国人向けの別荘地を完成した。約6500平方メートルの敷地内に木造2階建て住宅17棟が並ぶ。1棟当たり平均3千万円で入居者を募集したところ、100人余りが応募、早々に分譲を完了したという。

 新千歳空港には政府専用機が格納されていて時折、訓練飛行が行われている。隣には北の防衛の要である航空自衛隊千歳基地があり、国防上重要な場所である。その新千歳空港の滑走路と千歳市美々の国道36号との間に広大な山林、原野が広がる。平成21年ごろ、この土地をめぐってある計画が進められていた。道庁側は安全保障上の問題を理由に、所有者に売却しないよう要望した。売却は途中で頓挫したから大事には至らなかった。」

 長崎県・対馬では、海上自衛隊施設の隣接地が韓国資本に買収された。「国として安全保障上重要なエリアを決めて、そこを国が管理するとか、買い上げるとかの方向にしないと手遅れになる。対馬の二の舞いになる」と小野寺氏は語る。

 札幌市中央区の宮の森地区は、札幌有数の高級住宅街である。そこで、ちょっとした騒動が持ち上がっている。騒動は中国系不動産会社「海潤(ハイルン)」(札幌市)が2月、宮の森の高級住宅街に3階建てマンション(5戸)2棟とコンセプトハウス、管理事務所を建設することを公にしたことに始まった。

 海潤はすでに宮の森地区で、3階建てマンション1棟(19戸)と空き家1軒のほか、札幌市内でも地上30階地下1階建てマンション(99戸)や地上20階地下1階建てマンション(53戸)を仲介販売するなど、手広く不動産ビジネスを展開している。

 住民側が危惧したのは、マンションなどの民泊利用である。住民側は「宮の森の環境を考える会」を結成し、居住目的で販売すること、居住者の責任で旅行者には利用させないことなどを明文化した協定書の原案を送付した。回答を求めたが、返事がないまま工事が進められたことから6月中旬、管理規約原案の開示などを求め、札幌簡裁に調停を申し立てた。

 

(6)商業施設

 

 札幌市内のビルに、道内のマンションなど不動産を買いあさっている中国系企業や、買収した不動産を管理する中国系企業が集中するケースが目立ってきている。

 札幌市中央区の狸小路商店街近くでは、再開発計画が進み、新しいビルは地下3階、地上29階建てのビルが建つ。商業・業務向け施設は地下2階から6階。7階から29階までは130戸の分譲マンションになる予定だ。4階から6階までは中国系の店舗が入り、分譲マンションは中国人が購入しそうだという。

 札幌の不動産業界に詳しい関係者は、「札幌には正体の分からない会社が入っているビルもある。中国人だけのビルを造りたいと考えている会社もあるという話を聞いたことがある」と述べている。

 

(7)安全保障上の懸念

 

 JR函館線小樽築港駅に近い高台に平磯公園がある。小樽市内の観光名所の一つで小樽港や小樽市の中心街が一望でき、「重要眺望地点」に指定されている。

 この公園から1段下がった高台に今年6月上旬、日本料理専門のレストランがオープンした。崖の一部は城壁のように石垣が組まれ“要塞”のように見える。今年3月、農産物の生産、販売業などを行う札幌市内の中国系企業がこの土地を購入した。一帯もともと国有地だった。周囲の森林地帯は国有地で、民間企業が管理を委託されている。国有地に囲まれた“要塞”のような土地が、中国系企業に買収されたわけである。

 小樽港は、米軍艦船や海上自衛艦の重要拠点である。防衛省関係者や情報関係者は、「買収された高台は、港を監視するには最適の場所だ。米軍艦船や自衛隊艦船が寄港する埠頭や航路を見渡せる場所を外国資本に簡単に買われるのはいかがなものか。軍港や防衛施設周辺の不動産管理をもっと厳しくする必要がある」と警告する。「要塞のようなレストランが中国人の拠点になる可能性もある」という危惧もある。

 

(8)自然環境破壊の恐れ

 

 北海道・洞爺湖温泉の温泉街から西に約3キロ離れた洞爺湖町月浦地区で7月下旬、中国を拠点に不動産投資を展開する企業グループ「永同昌集団」の現地法人(札幌市)が、約7万7千平方メートルの土地を買収した。

 同グループは、リゾート型別荘を建設すると公表。約100億円を投入し、約500室、最大1500人を収容できる高級宿泊施設を中心とする大規模リゾートを開発、中国本土やマカオに住む富裕層や中間層を対象に平成30年3月頃をメドに約100室を先行開業する方針だという。

この壮大な構想は、地元・洞爺湖町に大きな波紋を広げている。同町の担当者は、「土地の買収、開発計画は新聞報道で初めて知った。全く寝耳に水の話だった」と言う。月浦地区は国立公園特別地域で、開発行為は法律で制限されており、開発するには自然公園法で環境省に認可申請を、さらに特定開発行為にあたるため北海道にも認可申請をしなければいけない。しかし、同社はいずれからも許認可を受けていない。同町の担当者らは「自然環境は破壊される恐れがあるし、今後、どう展開していくのか全く予想がつかない」と憤りを隠さない。

このケースに見られるような環境破壊への危惧と計画の不透明さが、新たな問題として浮上している。

 

(9)地方行政への影響

 

 中国人を含む外国人居住者が増えた場合、「常設型住民投票条例」が問題になる。「非常設型住民投票」は、住民の賛否を問う事案ごとにその都度、議会の議決を経て実施に必要な住民投票条例を制定するもの。一方、「常設型」は、投票の資格や投票方法などをあらかじめ条例に定めておいて、どんな些細なことでも請求要件を満たしていればいつでも実施できるとするもの。市町村が独自に制定でき、外国人にも投票権が保障される場合もあり、地方行政に直接参画できることになる。

 27年4月1日現在、芦別市、北広島市、増毛町の3市町が、常設型住民投票条例を制定している。また、179市町村のうち51市町村で自治基本条例が制定されており、このうち6市町村は自治基本条例の中に住民投票を規定した上で、実施する際の具体的内容や手続きなどを盛り込んでおり、実質、常設型住民投票を認める内容になっている。外国人に対しては、5市町村が居住期間などの条件付きで投票権を認めている。

 前道議の小野寺氏は、「アメリカ総領事館の職員から、『常設型住民投票条例が制定されると、外国人が自治体の首長のリコールなどができるようになる。それは選挙権を与えたぐらいのインパクトがあり、行政を牛耳ることができる。そのような地域に中国人がドッと入ってくると、中国の思いのままになる』と忠告された」とも語っている。

 

(10)深刻化する現状に基づく将来予測

 

 明治から大正にかけて、先人たちが極寒の地を開拓した北海道。過疎化、高齢化など社会的な問題を背景に不動産を手放さなければならない現実がある。道民の間には、中国にあまり抵抗感がなく、他にだれも買ってくれない、使ってくれないなら、中国人でもいいじゃないかという傾向がある。そこを狙ったかのように、中国資本が北海道の不動産を買いあさっている。

 小野寺前道議は、「中国以外の国の資本も入っていれば、北海道は投資対象の価値があるのかと納得できるが、こうも中国資本が多いと、なぜ、中国資本ばかりと考えてしまう。何か意図があるのではと勘ぐらざるを得なくなる」と、中国資本進出の背景に疑問を投げかける。

また小野寺氏は、数年前の世界ウイグル会議の関係者との対談を振り返り、次のよう話す。「『今の北海道は、ウイグルによく似ている。中国人を受け入れると、じわじわと入ってきてコミュニティーを作っていったが、あるとき、手のひらを返したように、本国からあそこの土地は自治区だと。その瞬間から、それまでいい人だった隣人が豹変した』と話していた」と。

 中国資本が跋扈する北海道の現状に危機感を募らせる声が上がっている。

 まず土地を買うが、その後は動かない。そんなケースは北海道ではたくさんある。大きな目標を掲げるが、意図は不透明である。「とどまるところを知らない中国資本の“侵攻”に「このままでは虫食い状態に買われてしまう」と洞爺湖町の職員は不安を隠さない。

「このままいけば、子供の代になると、ここは日本か、という事態になりかねない。政治家には日本の国が日本じゃなくなってしまうだ、という危機感はないのか」とある牧場経営者は語っている。

 道内の中国系不動産会社で働いた経験のある札幌市内の男性は、「不動産を購入する中国人の多くは、日本での永住権を得るのが目的。不動産を持っていると永住権を得られやすいということが半ば常識化している」と言う。

 中国人観光客が日本を訪れる際、「相当の高所得を有する者とその家族」には、特定の訪問地要件をもうけない数次ビザ(有効期間5年、1回の滞在期間90日以内)が発給される。外国人が日本国内で会社を設立し、事業所が確保され、資本金が500万円以上か常勤従業員が2人以上いると、中長期在留のための経営・管理ビザを取得できる。このビザを一度取得すると、事業実績などに応じて在留期間を1年、3年、5年と更新でき、継続して10年以上在留すると、永住権を申請できる。

不動産会社勤務の男性は「中国人観光客が増えれば増えるほど、観光ビザで来日して、不動産を買いあさるという流れに拍車がかかることは否定できない。中国人が、さまざまな形で北海道に大量に押し寄せてくるのは時間の問題だ」と見る。

 道内には中国人観光客を誘致したり、中国人に不動産を斡旋する中国系企業が増えている。いずれもネットワークが確立されていて、情報を共有しているという。

 在日中国人のチャイナウオッチャーは、「北海道、沖縄、大阪、東京と、全国の不動産情報が掲載されている。それだけ、日本の不動産に関心を持っている中国人がいるということ。特に北海道は注目の的だ」と言う。

 また「日本に住んでいる中国人は150万人以上、観光客は年間300万人以上、日本人妻は11万〜12万人、中国人と日本人との間に生まれた子供12万〜13万人。中国は日本を狙っている」と前置きした後、「特に北海道には関心が集まり、積極的に進出計画を進めている。一部中国メディアの間では、北海道は10年後、中国の第32番目の省になると予想されているほどだ」と述べる。

小野寺秀氏は、「土地問題や森林問題、それに水源地問題は、管轄が国土交通省、環境省、総務省、外務省、農林水産省、防衛省と各省にまたがるため一元化されていない。なかでも、外務省は『内外人無差別』の姿勢だから足並みがそろわない。各省横断的な、総括的な巨大な力を持ったプロジェクトチームを作るほかない。それも急がないと時間がない」と提言する。

 

 私見を述べると、外国人土地取得への懸念や不安の声は、北海道から上がっているだけではない。全国のそこここに同じ思いの声が上がっているはずである。わが国は、国家安全保障の観点から、外国政府・外国資本による土地取得を規制する法整備を急がねばならない。日本を愛し、日本を憂える政治家は、この課題に真剣に取り組んでもらいたい。対処が遅れれば、悔いを洗剤に残すことになるだろう。日本をチベットやウイグルのようにしてはならない。

 

以上は、産経新聞が本年(28年)5月中旬に掲載した「北海道が危ない」というシリーズ記事および7月末と10月上旬の続編の記事を項目別に整理し、要点をまとめ、若干の私見を加えたものである。ページの頭へ

 

結びに〜日本を守るため法整備が急務


 北海道が危なくなっている。その現状は、決して一地方の問題ではない。日本全体の問題である。根本的には、我が国が外国人の土地取得にほとんど無防備に近い状態になっていることによる。独立主権国家として、まことに危うい状態である。(1)

 平成25年(2013年)10月22日安倍晋三首相は、衆院予算委員会で、外国資本が日本国内の防衛施設の周辺や長崎・対馬など国境離島の土地を相次いで買収していることについて「土地の規制のあり方について安全保障上の重要性に鑑み、しっかり検討していく」と述べ、国防や公益を害する恐れのある土地買収に歯止めをかけるための法整備が必要との考えを示した。首相は「防衛施設周辺における外国資本の土地取得は、安全保障に関わる重要な問題だ」と強調した。ただし、外国資本の土地買収を規制する法整備には、個人の財産権保護の観点や、外資を理由に買収を制限できない世界貿易機関(WTO)のルールなどを考慮する必要性があることも指摘した。

 その後、今日(平成28年10月現在)まで、一向に法整備は進んでいない。この3年間の間にも、北海道を始め、全国で外国資本による水源・森林・農地等の買収が進んでいる。本年10月4日、安倍首相は、再び衆院予算委員会で、外国人や外国資本により森林や水源地の買収が進められている問題について「政府としても大変重要な問題であると考えている」と述べ、対応を検討する考えを示した。「安全保障上、重要な国境離島や防衛施設周辺での外国人や外国資本による土地取引・取得に関しては国家安全保障に関わる重要な問題と認識している。水源の保全についても重要な観点と思っており(対応を)検討していきたい」と述べた。この答弁が示しているのは、過去3年間、ほとんど何も進んでいないということである。政府は、我が国の危機的な状態を急ぎ調査し、鋭意法整備を進めなければならない。

国家の主権と独立、国民の生命と財産、日本の国柄と誇りを守るために、外国政府・外国資本などの土地取得を規制する法整備が急務である。

 まず国防上重要な土地に関して、既存の外国人土地法を有効化する政令を発すること。次に、国民の生命と生活に直結する水源・森林・農地を守るための総合的な法律を作ることである。首相の強力なリーダーシップのもと、関係省庁を横断したチームを編成し、早期実現を図ってほしい。(ページの頭へ)

 

註1 外国人土地取得の問題だけでなく、北海道は、国家安全保障上、沖縄と同じくらいに危なくなっている。なぜそうなってしまったか。アイヌ系日本人・砂澤陣氏が、著書『北海道が危ない』(育鵬社)に、アイヌ利権の告発に始まり、地元メディアの偏向、北教組の違法行為、新左翼の工作等について克明に書いている。同憂の方々にお勧めする。

 

補説:21世紀の新たな「北の守り」を固めよう

2017.4.20

 

 平成29年(2017)4月15日、札幌市で講演を行った。中国等の外国資本の土地・資源の購入によって「北海道が危ない」と述べ、外国人土地取得の規制と、ロシアから以上に中国からの新たな「北の守り」が必要であること等を語った。講演のうち関係部分の概要を掲載する。

 

●北海道が危ない!

 

 私は昨28年10月に行った講演で「北海道が危ない」ということを話した。主旨は、次の通り。

 

 「旧ソ連の脅威に対して『北の守り』ということがいわれた。ソ連の解体後も、ロシアは北方領土の不法占拠を続けている。近年、地域の経済開発、軍事拠点化、土地の無償分与等を進めて、実効支配を強化している。経済協力の拡大だけでなく、領土返還と平和条約締結の進展を願うところが、ロシアはしたたかである。容易な課題ではない。

 『北の守り』の重要性は、今も変わっていない。そのうえ、北海道では、近年外国資本による土地の買い占めが、新たな脅威となっている。中国等の外国資本が、水・観光・農業等の資源を買い占めている。ニセコ、倶知安、帯広等や札幌の宮ノ森等での買収の事例が伝えられている。

 北海道の危機は、日本全体の危機でもある。この危機を乗り越えるために、皆さんに日本人としての自覚を持ち、日本精神を取り戻すことを呼びかけたい。」と。

 

 昨28年12月の安倍=プーチン首脳会談では、残念ながら私の予想通り、北方領土交渉に進展はなかった。その一方、この数か月の間にも、中国等の外国資本の進出は、さらに広がっている。地元の皆さんは、良くご存知と思うが、最近の動きを伝えたい。

 中国は20年ほど前から北海道を狙っている。そして計画的に、北海道の土地や資源を買い、中国人を送り込んできていると見られる。

 今から約12年前、平成17年、札幌市の第1合同庁舎で、「夢未来懇談会」なる会合が開かれた。国土交通省と北海道開発局の主催だった。そこで「北海道人口1000万人戦略」と題して、北海道チャイナワークの張相律社長が講演した。

 張氏は、北海道の人口を1千万人に増やすための戦略として、(1)農林水産業や建築業を中心に海外から安い労働力を受け入れる、(2)北海道独自の入国管理法を制定し、海外から人を呼び込む、(3)授業料の安いさまざまな大学を設立し、世界から学生を募集するーーなどの持論を展開した。

 そして「北海道に限定し、ノービザ観光を実施し、観光客を増やす」「住宅など不動産を購入した裕福な外国人には住民資格を与える」「留学生を積極的に受け入れ、北海道に残る仕組みを作る」「研修制度を廃止し、正式な労働者として労働力を受け入れる」などの具体的な提案をしたという。

 人口1000万人というが、これは日本人の人口を増やすということではない。日本人半分、外国人半分の場所にしようということである。もちろんその多くは、中国人である。チベットやウィグルでは、中国人が大量に移住し、人口の多数を占めるようになってしまっている。

 この張氏の話は、個人の意見に過ぎない。だが、中国共産党がこうした計画を持っている可能性は、十分ある。ここ10数年の間に、中国資本による北海道の土地・資源の購入が急速に広がっている。ニセコやトマムリゾートなど観光地に進出していることは、ご存じのとおり。洞爺湖温泉でも、昨年12月、中国企業が経営するホテルがオープンした。 

 また、北海道で中国資本に買収された森林や農地などは、推定で7万ヘクタールに上る。だが、それが何に使われているのか、実態ははっきりしない。たとえば、道内には、中国資本が関係しているのでは、とみられる太陽光発電所が50件前後あるという。いったん買ってしまえば、そこを農地にしたり、集落を作ったりできる。太陽光発電はその集落で使える。知らぬ間に中国人がドンドン増え、農地や水源地を握られていく可能性が高い。

 

●釧路を“北のシンガポール”に

 

 特に最近、中国が目をつけているのが、釧路市である。釧路は、釧路港や空港があり、道東の太平洋側で社会、経済、文化の中心的機能を担っている。

 昨28年5月21日、中国の程永華駐日大使が釧路市を訪問し、蝦名市長と会談した。大使は、「釧路市が民間・地方外交を積極的に進め、中日関係の改善と発展を後押しするためにさらなる努力をされるよう期待している」と熱く語った。続いて12月張1等書記官が、「釧路はアジアの玄関口として国際港湾物流拠点としての成長が期待できる」「北米にも近い。将来は(中略)南のシンガポール、北の釧路といわれるような魅力がある」と語った。すなわち、釧路を”北のシンガポール”にと言うわけだが、シンガポールの経済を握っているのは、中国系である。 

  海洋進出をもくろむ中国は、太平洋に出ようとしている。「その拠点として釧路を押さえるのが狙いだ」と防衛省関係者らは分析し、「すべて習主席の指示を受けた国家戦略なのは間違いない」と見ている。

 釧路市や隣の白糠町で、不動産が買収され中国系の企業の進出が目立っている。白糠町の小中学校では、中国人講師によって、中国の歴史、文化が紹介されたり、中国語教育が行われている。白糠高校では、26年度から中国語が学校設定科目に指定されている。

 釧路市には、「孔子学院」の開設が検討されている。孔子学院は、中国共産党の世界戦略に沿って各国の大学に設置されている文化機関。文化交流の皮をかぶったプロパガンダ組織に過ぎないことがわかって、米国やカナダの大学では、孔子学院を閉鎖する動きが出ている。そういういわくつきのものを、これから釧路市に造ろうとしている。このまま中国のペースで進むと、北海道の一角が中国の手の内に入ってしまうだろう。

 

●外国人土地取得の規制が必要

 

 諸外国では、外国人・外国資本が土地を買う場合、一定の制限が設けられている場合が多い。米国では包括通商法によって、大統領は国の安全保障を脅かすと判断した場合は、事後であっても土地取引を無効にできる権限を持つ。

 わが国も戦前はちゃんとしていた。大正15年(1926)に外国人土地法という法律が施行された。同法は第4条で「国防上必要ナル地区ニ於テハ勅令ヲ以テ外国人又ハ外国法人ノ土地ニ関スル権利ノ取得ニ付禁止ヲ為シ又ハ条件若ハ制限ヲ附スルコトヲ得」とある。同条の2項では具体的な地区を「勅令ヲ以テ之ヲ指定ス」と定めている。すなわち、国防上必要な土地については、外国人による土地取得の制限を勅令で定めるとしている。だが、大東亜戦争の敗戦後、すべての勅令が廃止され、同法の実効性が失われたままになっている。

 平成20年に韓国資本が長崎県・対馬の土地買収などを行っているのに対し、同法の効力の有効性が確認された。だが、その後、具体的な対処がされていない。まず、国防上重要な土地に関して、外国人土地法を有効にする政令を発すること。次に、国防だけでなく、国民の生命と生活に直結する水源・森林・農地を守るための総合的な法律を作ることが急務である。

 ところが、この課題がなかなか進まず、ようやく昨年になって自民党や日本維新の会が、外国資本の不動産買収に対する法規制強化に向けて動き出した。だが、その取り組みは遅々としている。

 その一方で国土交通省は、日本国内で外国人が不動産取引をする場合に手続きを円滑化するマニュアルを作成している。日本の不動産を外国資本に斡旋するような姿勢である。売国という言葉があるが、まさに国を売るような行為である。こういう姿勢を改めさせなければならない。

 

●21世紀の新たな「北の守り」を

 

 最近中国では、「北海道は10年後には、中国の第32番目の省になる」という予想がされている。共産党系の新聞がそう書いている。北海道が中国の一部になってしまったら、言論の自由、表現の自由は制限され、宗教は弾圧を受ける。チベットやウィグルは省ではなく自治区だが、仏教やイスラーム教が弾圧され、反対する者は多数殺されている。

 まさかと思うかもしれないが、中国は計画を立てたことを着々と実行する国である。毛沢東による核開発計画がそうだった。まだ中国が貧しい発展途上国だった時、毛沢東は核兵器を持つと決め、開発を進めた。中国は今や米露に次ぐ核大国になっている。大量の核兵器、ICBM等を保有していることが覇権主義的行動のもとになっている。また、南シナ海は、最初は九段線の中は中国の管轄だと言葉で言っているだけだった。だが、中国共産党は、計画的に人工島を作り、基地を築き、ミサイルや軍用機を配備するなどして軍事拠点化し、南シナ海を我がものにしようとしている。北海道も、油断できない。真剣に北海道の将来と日本の将来を考えていただきたい。

 中国による2050年の東アジアの予想地図というものがある。その地図には、日本の西半分(愛知県・岐阜県・石川県より西)は「東海省」、東半分は「日本自治区」と書かれている。出生率の低下で日本の人口はどんどん減少する。そこで、列島の西半分に溢れ出た中国人を1億人単位で移住させ、「東海省」として中国の一部とする。少数民族となった日本人を、東半分に強制移住させ、「日本自治区」として、これも中国の版図に組み込む、という意図とみられる。

 北海道は、この予想地図では、「日本自治区」の側にあるが、10年後(2027年)には、自治区どころか中国の完全な一部である省になるということを、中国では予想している。いわば「北海省」である。日本全体を中国の版図に入れるに先立って、まず北海道を押さえにかかっている可能性がある。

 こうしたことを考えると、かつては旧ソ連に対していわれた「北の守り」が、今日では中国の進出から北海道を守り、それによって日本を守るという新たな意味を持つ事態になっていると言える。今やロシアからという以上に、中国から北海道を守るという、21世紀の「北の守り」を真剣に考えなければならない。(ページの頭へ)

 

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